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王宮絵巻
王宮の宴 1
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国王の御言葉により舞踏会が始まった。
今宵は小規模なパーティであったが、それでも王家が主催するものである。
爵位を持つほぼ全ての貴族が招待され、随所で和やかに歓談の輪が広がっていた。
そんな中を、目立たないようにアラスタは進んだ。
普通なら戦勝の勇者であるが、何せベガドリア男爵である。
非常に微妙な立ち位置なので、アラスタの実家であるセージ次席公爵家の派閥に属する者でもなければ声をかけづらい。
その雰囲気をアラスタは最大限利用した。
「そこにいらっしゃるのは、バズル男爵殿ではございませんか?」
腹の出たバズル男爵は、振り向いてアラスタの姿を認める。
「やはり、バズル男爵殿。
ご機嫌麗しゅう。」
「おぉ、これはベガドリア男爵殿。
この度は御武勇、誠におめでとうございます。」
バズル男爵としては、この場で最も口を利きたくない人間である。
何せ、非常に微妙な立ち位置の存在である。
さりとて、同列の貴族に話しかけられて無視できるわけがない。
「御息女のフィーナ嬢には、本当にお世話になっております。」
「おぉ。
娘は息災ですか?」
「家令として、助けて頂いております。
彼女おらずして領内の管理は成り立ちません。
本来ならば王都にお連れしたかったのですが、お恥ずかしい話、私と彼女が不在では領内の何もかもが停止してしまいます。」
「それは、心中お察し申し上げます。」
当たり障りのない会話。
そこへ、一人の男が現れた。
「ご歓談中、失礼する。
私も娘と話をさせてくれないかな。」
「セージ公爵閣下!」
「父上殿。」
王国の次席公爵、アラスタの父である。
「父上、こちらはバズル男爵殿です。
我がベガドリア男爵家の家令の、御父上であらせられます。
家令フィーナ嬢は非常に優秀な方ですので、バズル男爵殿に色々なことを御教授頂いておりました。」
「それはそれは。
フィーナ嬢が博識であらせられるのは、娘からもよく聞いております。
さ、立ち話など止めにしませんか。
そこのサロンで、ゆっくり話しようではありませんか。」
公爵に言われ、断れる勇気のある男爵などいない。
三人は廊下を少し進んだサロンで会話を楽しむ。
王宮付きの侍女が軽食や飲み物を運んでくる。
そして数分後。
「申し訳ありませんバズル男爵殿。」
侍女に耳打ちされたアラスタが立ち上がり、頭を下げる。
「せっかくのご歓談に中座する失礼をお許しください。
とある伯爵様が、是非にもと私の話を御所望されているそうです。
父上、バズル男爵様には恩義がございます。
くれぐれも失礼なきよう、よろしくお願い致します。」
「うむ。
早めに戻るのだぞ。」
セージ公爵の言葉に、再びアラスタは頭を下げる。
同列の男爵とはいえアラスタは公爵令嬢で、セージ公爵は貴族社会の次席である。
バズル男爵は自分が恭しく扱われていることに感激していた。
今宵は小規模なパーティであったが、それでも王家が主催するものである。
爵位を持つほぼ全ての貴族が招待され、随所で和やかに歓談の輪が広がっていた。
そんな中を、目立たないようにアラスタは進んだ。
普通なら戦勝の勇者であるが、何せベガドリア男爵である。
非常に微妙な立ち位置なので、アラスタの実家であるセージ次席公爵家の派閥に属する者でもなければ声をかけづらい。
その雰囲気をアラスタは最大限利用した。
「そこにいらっしゃるのは、バズル男爵殿ではございませんか?」
腹の出たバズル男爵は、振り向いてアラスタの姿を認める。
「やはり、バズル男爵殿。
ご機嫌麗しゅう。」
「おぉ、これはベガドリア男爵殿。
この度は御武勇、誠におめでとうございます。」
バズル男爵としては、この場で最も口を利きたくない人間である。
何せ、非常に微妙な立ち位置の存在である。
さりとて、同列の貴族に話しかけられて無視できるわけがない。
「御息女のフィーナ嬢には、本当にお世話になっております。」
「おぉ。
娘は息災ですか?」
「家令として、助けて頂いております。
彼女おらずして領内の管理は成り立ちません。
本来ならば王都にお連れしたかったのですが、お恥ずかしい話、私と彼女が不在では領内の何もかもが停止してしまいます。」
「それは、心中お察し申し上げます。」
当たり障りのない会話。
そこへ、一人の男が現れた。
「ご歓談中、失礼する。
私も娘と話をさせてくれないかな。」
「セージ公爵閣下!」
「父上殿。」
王国の次席公爵、アラスタの父である。
「父上、こちらはバズル男爵殿です。
我がベガドリア男爵家の家令の、御父上であらせられます。
家令フィーナ嬢は非常に優秀な方ですので、バズル男爵殿に色々なことを御教授頂いておりました。」
「それはそれは。
フィーナ嬢が博識であらせられるのは、娘からもよく聞いております。
さ、立ち話など止めにしませんか。
そこのサロンで、ゆっくり話しようではありませんか。」
公爵に言われ、断れる勇気のある男爵などいない。
三人は廊下を少し進んだサロンで会話を楽しむ。
王宮付きの侍女が軽食や飲み物を運んでくる。
そして数分後。
「申し訳ありませんバズル男爵殿。」
侍女に耳打ちされたアラスタが立ち上がり、頭を下げる。
「せっかくのご歓談に中座する失礼をお許しください。
とある伯爵様が、是非にもと私の話を御所望されているそうです。
父上、バズル男爵様には恩義がございます。
くれぐれも失礼なきよう、よろしくお願い致します。」
「うむ。
早めに戻るのだぞ。」
セージ公爵の言葉に、再びアラスタは頭を下げる。
同列の男爵とはいえアラスタは公爵令嬢で、セージ公爵は貴族社会の次席である。
バズル男爵は自分が恭しく扱われていることに感激していた。
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追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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