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第五章 四角三角
第8話
しおりを挟む「タキさん?お久しぶりです。ね?ちゅうして?」
「タキちゃん?どういうことかな?」
今朝、ミコが家を出てしばらく待つと手紙が飛んできたので待ち合わせ場所に行き、待った?と聞いたら今来たところとミコが嘘を吐いたので罰としてその場でキスをし、指輪の売ってる店に入ってミコの指輪を買おうと思ったら、恋人同士で贈り合ったらどうかという商売上手な店員さんに勧められるままにお互いの指輪を買った。
ツタが指を一周する様な指輪を見てミコが、これが良いと言うのでそうなった。俺もそれが良いなと思ったけど何となく、ミコはもっとシンプルなものを選ぶのだろうと思っていたから聞いてみたら、それは後々に取っておいて、今は色々楽しむんだそうだ。なるほど。
指輪ではしゃぐ歳でもないかしらね?と言いながら、家までの帰り道に何度も見てはにやにやしながら、似合う?って聞いてきたには参った。可愛過ぎる。
…で、だ。
家に帰ったら可愛過ぎる罪の罪人にお仕置きをして、昼でもなんでも関係無い!俺はケーキ食べます!と思ってたのに、家の前で何だか話をしてる2人を見付けた。1人はオイちゃんだ。そしてもう1人はブルゼットだった。
…この子のこと忘れてたわ。
・・・。
「…どうぞ。」
「いただきます…おいし。改めまして、タキさん、お久しぶりです。ミックさんも…もうミックさんだと変ですよね?」
「ああこれ?うふふ、指輪してるけどまだなの。まだだからミックのままで良いわよ?うふふ…って、違う!ブルゼットちゃん?あなた…。」
「ホントだ!ミコちゃん達指輪してる!ねぇ、見せて?」
「え?んもう、オリアも気付いた?うふふ、これはまだ違うのよ?それに、見るだけだからね?欲しくなってもあげないわよ?」
「…ブルゼット、久しぶりだね。色々聞きたいことがあるけど、まず、今日はどうしたの?」
「え?学校が長期休みに入ったから、挨拶も兼ねてね…。」
「挨拶?」
「ええ。私も、その、お仲間に入れて貰えるみたいなので…ただ、さっきはオリアさんに怒られてしまいまして…。」
「別に怒った訳じゃないよ?タキちゃんがまたかと思っただけ。さ、ミコちゃん。欲しがらないから大丈夫だよ!今度私もタキちゃんに買って貰うし!私は別にお揃いじゃなくても良いもん。それより、ね?見せて見せて!」
「そんな見る程のものじゃないと思うけど…ほらこれ。ツタのモチーフになっててね、一目見て、これだ!ってなったの。」
「うん、可愛い!ツタって、ずっと離さない、だっけ?それだけで結婚みたいじゃん!どっちが選んだの?」
「私がこれ選んだら、タキ君もそう思ってたって。」
「きゃーっ!もうさ、ホントに結婚しちゃったら?」
「お仲間?」
「ミックさんとオリアさんと、あともう1人いるんですよね?その、えっち仲間…。」
「あのさ、ブルゼットごめん、ちょっと俺まだ理解が…。」
「私は駄目?私にはその資格無い?」
「ち、違う違う!いや違わないけど、そうじゃなくて…。」
「まだもうちょっと、恋人って関係を楽しもうって。考えてみれば私達、あんまりそういうことしてないから。今日も、わざわざ待ち合わせて、デート定番のあれ、やってみたの。」
「あれ?って、待った?みたいなやつ?やーん、ホントに初々しいじゃん!どっちが待ってたの?」
「私が先に出て待ってたの。」
「ふぅん。いやー、私なら先にタキちゃんに行って貰って、後ろから目隠しで、だーれだ?ってやるかな?ねね?それでミコちゃんはちゃんと、ううん今来たとこって言ったの?」
「じゃあ私も!ね?良いでしょ?駄目なんて言っちゃ駄目です!ね?私は大丈夫だから!」
「いや、ブルゼットは…てか、あれ?ミコの手紙は読んだんだよね?」
「うん、でも…あれ?ザラさんから聞いてないんですか?」
「母さんから?何を?」」
「私もお仲間に入ることとか、長期休みの間はここで一緒に住むとか…ザラさんの方から言っておくって言ってたのに…。」
「母さんが来たの?」
「お義母様?ああ…うん、まぁ、その、言ったけど。」
「ザラ?…あ、さてはキスでもされたな?」
「…黙秘します。」
「きゃー!やだもー!私まで照れるぅ!」
「ちょっと、もう、恥ずかしいってば!」
「うん。一昨日来て、向こうは皆タキさんと順番に、その、えっちしてるからあなたも入れて欲しい?って。でも、こないだデビイが持って帰ってくれたミックさんからの手紙に一夫多妻じゃないって書いてあったから、そう話したら、言い方が悪かったわねって。妻はミックさんだけだって。でも、タキさんは今病気なんですって?」
「病気?いや?」
「女の子と見たら誰彼構わずその、えっちしたくなる病気で、発作が起きても我慢してると死んじゃうって。珍しい病気だから治し方はまだわからなくてタキさんのお父さんもそれが原因で亡くなったって…。」
母さんの絶妙な嘘加減。
「ミックさんはそれで、タキさんを好きで助けたいって思う女の子で仲間を集めて、順番に相手して貰ってるんだって。それでザラさんが、あなたもタキを助けたくない?って聞いてきたんですけど、そんなの、言うまでも無いでしょ?でも学校があるからまだ無理かなって思ってたんですけど、とりあえず長期休みの間はタキさんのお家に住むようにしておくからって言われたんです。」
「なるほど。はっきり言うけど、その話は嘘だよ。」
「…やっばり、重症なんですね…。」
「どういうことかしら?」
「わかんない。わかんないけど、よく見たらあの子、滅茶苦茶綺麗じゃない?髪の毛ふわふわしてて可愛い。良いなぁ。スタイルも良いし、マキちゃんと同い歳くらいなのかな?」
「ブルゼットちゃんは16歳よ。」
「いぃっ!?ジウロク!?私の10個下じゃん!」
「私なんて30個近く離れてるわよ!」
「ザラさんが言ってました。この病気は自覚症状が無いんだって。それで、重症化すると止まらなくて、そうやって自分が色んな女の子と、その、えっちしてることを知ると心と精神がおかしくなってしまうから、自己防衛で忘れたり、否定したりするようになるって…。」
「いやいや、大体俺まだえっちもした事ないから!」
「タキさんは忘れちゃってるだけなの!本当は、本当はタキさんは、毎日…私は、苦しんでるタキさんを少しでも楽にする為に来たの!…私、準備してきた。勉強もしてきた。だから、私のことを好きにしても良いの!」
「しないよ!…そ、そうだ!デ、デビイは?デビイはどうしてる?元気かな?」
「タキちゃんが押されてるよ?」
「あの子、ああ見えて押しが強いみたいなの。ま、それでもまだ16だからね。タキ君は、妹が戯れてるみたいに思ってるだけじゃないかな?」
「ふぅん。デビイっていうのは?」
「ブルゼットちゃんが飼ってる犬で、ほら、私は犬って言った子よ。」
「ああ、そういうこと。」
「デビイ?あぁ…タキさん?デビイから手紙預かってるけど読みます?」
「え?デビイから?」
「うん!ちょっとこっち、横に来て?」
「え?あ、うん…でもそのまま渡してくれれば…。」
「えい。」
「馬乗りだけど?」
「戯れてるだけよ。本気じゃないでしょ?まさかこんなとこで、なんて流石に無いわよ。」
「お、おいブルゼット!何する…。」
「ごめんなさい。タキさんは一回すっきりした方が良いと思って。」
「なんで!?」
「私だけじゃ足りなくてデビイもなんて…タキさんの発作は話よりも酷いことになってる。」
「違うよ!俺は病気じゃないし、発作なんてのも無いから!」
「病気で忘れてるの!タキさんあのね?友達から聞いて、ちゃんと準備してきたから…。」
「ミコ!助けてよ!オイちゃん!」
「実は今日私…履いてないの!」
ばさっ!
「…。」
「戯れてるだけ?」
「違うみたい…。」
・・・。
「…解った?ブルちゃん?私達は別に、タキちゃんを救う為にえっちをする仲間な訳じゃないの。」
「でも、ザラさんが…。」
「お義母様、えとザラさんはね、ブルゼットちゃんに嘘を教えたのよ?タキ君は病気だけど、その病気じゃないの。ザラさんは、私達が病気で嘘を吐くとは言ってなかったでしょ?」
「ええ…それじゃ、ミックさんの手紙の通りってことですよね?私、もしかしてとんでもなく恥ずかしいことしちゃったんじゃ…。」
「大丈夫よ。私はもっと恥ずかしいことしたから。」
「オリアさん…ところで、そろそろ解いて貰っても良いですか?もう、あんなはしたないことはしませんから…。」
「まぁまぁ、ブルちゃん。折角来たのに手ぶらでなんて帰せないわ?」
「オイちゃん?まだ懲りないの?」
「え?えっと…もしかして、泊まるのも駄目ってことですか?」
「え?まぁ、別にタキ君は病気じゃないけど、別の病気だからあなたも心配だし…。」
「ど、どうしよう?…。」
「ブルゼット?まさか家出してきたとか?」
「ううん、そんなことしてないよ。違うんです。今日から1週間、パパとママとデビイは旅行に行っちゃってて…。」
「旅行?」
「うん。ザラさんが、偶々だけどロクラーンの海沿いの高級ホテルの部屋が1週間取れてるから家族で行ってくればって…。」
段々母さんの計画がしっかりしてきた…。
「カンジは居るんじゃないの?」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんで、彼女さんと旅行です。」
カンジにも彼女が…。
喜ばしいんだが、素直に喜べないぜ…。
ちらりと見るとミコと目が合ったけど、ミコも複雑な顔をしてた。
あいつも退学になる日は近い…。
「じゃあ帰っても1人なの?いや、その前に、親御さんもブルゼットがこっちに来ることとか理由とか知ってるの?」
「ザラさんは私と話した後にパパとママにも話をしたので。デビイにそっくりで、デビイも懐いてたから、パパもママも喜んでましたよ?それで事情を聞いて、私も助けたいって言ったら、パパも解ってくれました。後でママは、ザラさんが綺麗だからパパも弱いのねって言ってたけど、頑張ってって言ってくれました。」
ちょろ過ぎだろ。確かに母さんは綺麗だけど。
「それで、ブルゼットちゃんは帰っても1人なの?」
「はい…それで、恥ずかしいんですけど、まだ1人でってちょっと不安で…。」
「まぁ、それはそうよね。うん、解った。ブルゼットちゃん?うちに泊まりなさい?私達は全然構わないわ。」
「駄目駄目。タキちゃんのお家じゃ、4番目になってる未来しか見えないもん。」
ミコが了解してもオイちゃんが反対した。まぁその可能性は否定出来ないけど、かと言って放り出す訳にもいかん。
「まぁ、オリアの言うことも一理あるけど…。」
「それに、ミコちゃん達は今晩するんでしょ?」
「し、しない…かな?」
「絶対?その指輪に誓って?」
「し、しま、しませ…す?」
「ほらね。だから…。」
「いや、しません!しませんったらしません!だからブルゼットちゃんは泊まっても良いの!ね?そうしましょ?」
「私は助かりますけど…本当に良いんですか?タキさんも?」
「俺は良いよ。帰らせたらこっちも不安だし。」
「ありがとうございます。うふふ…良かった。」
「でも、ブルちゃんはタキちゃんのこと好きなんじゃないの?」
「え?それはまぁ…いえ、はっきり言っておいた方が良いですね。ミックさんの前だけど、嘘は吐きたくないですから。私はタキさんが好きです。やっぱりまだ、好きです。」
この子はやっぱり強い女の子だ。そんな子に真っ直ぐに想いを伝えられると、こっちも真面目に対応せざるを得ないが、ミコが居なかったら俺はあっさり負けてただろう。
スカートの中が無防備なのと椅子に縛り付けられるのは変だけど。
「本気みたいね。でも本気なら余計に2人と一緒は辛いと思うよ?この人達、目を離すといちゃいちゃしてるから。」
「そ、そんなこと…無いとは言えないけど…でも、私はブルゼットちゃんと、ちゃんと話をしたい…ううん、違う。ブルゼットちゃん、前は話を誤魔化しちゃって、嘘吐いちゃってごめんなさい。手紙にも書いたけど、やっぱり顔を見て、ちゃんと謝りたかったから。」
「そんな、良いんです。だって、結局は無理だったんだし、諦めるって言ったのも私ですから。でも、やっぱり中々好きって気持ちが消えなくて…。」
「ブルゼットちゃん…。」
「ねぇタキちゃん。そんなに問題起こしてたの?」
「問題起こしてたって…まぁ、ブルゼットには申し訳無いなって思うけど。」
「ふぅん。なんかミコちゃんも訳有りみたいだしね。よし!それなら、私に任せて!」
「駄目。」
「なんでよ!?」
「お仕置きだって言うんでしょ?駄目。これ以上変な風になりたくないもん。」
「そっか。解ったよ。」
…あやしい。
なんだろう?やけに聞き分けが良い。
いや、オイちゃんは基本的には素直で良い子だから、そんな風に疑うなんて良くない。
今だってほら、ブルゼットの拘束を解こうとしながら、斜めに紐を掛けるもんだからブルゼットのおっぱいが強調されてるじゃないか。流石、オイちゃんも解ってる。
解ってねぇじゃん。
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