異世界を救え~善なる8人の転生者の中に1人の偽善者が紡ぐ世界~

ヒビキ タクト

文字の大きさ
22 / 50

第22話 入学試験

しおりを挟む
ココロと両親の身支度が整うまで奴隷商人に簡単な奴隷の話を教えてもらった。

話しているとココロは最低限の身だしなみを整えてもらい現れたのだが、その容姿は痩せ細ってはいるが誰が見ても綺麗な容姿をしていた。

ちなみに奴隷商の話では現在エルフの奴隷がいるらしく、何でも自分に相応しいご主人様じゃないとお仕えしないとか…。それって本当に奴隷なのって思ってしまうが契約を交わしていることから事実みたいだ。
異世界小説では御馴染みではあるが、リアムにとっては他の可哀想な奴隷を一人でも雇ってあげた方が為になるのではと思っている。

ココロと両親の支度が整い一緒に宿に帰ったリアムはセイラに報告した。

セイラは事情を聞いた瞬間ココロを思いっ切り抱きしめた。
「もう大丈夫よ。皆さん大変な目に遭いましたね。村に帰ったらゆっくりして下さいね」

ココロも両親も突然のことでオロオロしている。

「ココロと両親は母さんに任せるよ」

「ええ、任せておいて」

こうしてココロと両親のことはセイラに任せリアムは入学試験に向けて準備をする。

そして一週間が経った入学試験当日。

希望の星学院の入学試験は王都とダンジョン都市の二か所で行われる。

貴族のお披露目会の後、準備をして王都にて試験を行えるように全学院が王都にて試験会場があるのだ。

王都の希望の星学院の試験会場に到着し、受付をうけると何故かすぐに試験会場に通された。

「リアムンド殿、こちらの試験会場にて模擬戦を行いますのでこちらの木剣をお使い下さい」

「あ、あの~、普通は全員に説明してから順番に行われるのではないのですか?」

「通常はそうですが、王家より実力は確かであるから形式場行っておけとの言付けを承っております。あちらにいるB級冒険者に一撃でも当てれば合格となりますので宜しくお願いします」

木剣を渡されたのだが、普通はB級冒険者に子供が一撃当てるのがどんなに至難の業か…。リアムは心の中で愚痴りながらも口角を上げ楽しそうにしている。

試験官の元に行きお辞儀をする。

「ほぉ、貴族なのに礼儀正しいな。だからと言って手加減はしてやれんぞ」

「大丈夫です。ちなみに一撃でも当てれば合格で宜しかったですか?」

「ああ。B級冒険者の俺に当てれるとでも思っているのか?」

「さぁ、どうでしょうね」

「面白れぇ、じゃあ開始と行こうか」

そして、審判の始めと言う掛け声とともに試合が始まった。

木剣を左に持ち、冒険者へと歩みよる。

冒険者は様子見のようで、リアムは予想通りと確信し徐々にスピートを上げる。

木剣の間合いのすこし手前で身体強化を使い、一気にギアを上げ左上段から切り落としを行う。

冒険者は子供のスピードとは思えない速さに驚くが難なく木剣で鍔迫り合いを行おうとした。

しかし、木剣と木剣が触れた瞬間に冒険者の木剣はスパンと切れ、リアムの木剣が冒険者に迫っていく。

これには流石の冒険者も焦り、咄嗟に躱そうとするが余りの速さと出来事にギリギリ躱すことができず冒険者の胴体に木剣の剣先が触れ一撃をもらってしまった。

その光景を見た審判は「それまで」と発し試合は終了した。

「おい、何故俺の木剣が切れた」

「切り札を簡単に教える程バカではないので」

「ちっ、もういい、合格だ」

冒険者は納得の行かない様子をしているが、一撃をもらったら合格と言った以上合格をだすしかなかった。

無事に合格したリアムは一礼をし、試験会場を後にするのであった。


リアムの合格をタイガは喜びながらも浮かない表情をしている。

「どうかした?」

「いえ、なんでもありません」

「俺はタイガのことを家族のように思っている。だから何かあれば遠慮なく言ってほしいな」

タイガはその言葉を嬉しく思いながら、やっと口にした。

「リアムンド様はいつも情報収集を大切にされますので、王都でもいろいろな情報を探っていたのですが…」

「それで何かあった?」

「私の故郷にて知っている者が塞ぎこんでいると言う情報を得まして」

タイガに詳しく説明させると、タイガと同じハーフの獣人が魔力暴走にて人を殺したことによって塞ぎこんでいるとか。魔力暴走の原因に死者が関与していたことで刑罰などはないが村での扱いも酷いことになっているそうだ。

「じゃあ、王都で用が済んだらタイガの故郷経由で帰ろうか?」

タイガはモヤが晴れたように笑顔となった。

「有り難うございます」

「でも、タイガの故郷に行くことは大丈夫なの」

「なんの未練もありませんので大丈夫です」

タイガは、自信を奴隷にした村に帰ることを心配してくれるリアムンド様に感謝しつつ、執事に対しても気遣えるこの主にずっと仕えたいと再度思うのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...