異世界を救え~善なる8人の転生者の中に1人の偽善者が紡ぐ世界~

ヒビキ タクト

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第25話 リアムの実力

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一つだけレイが気がかりなことがあると言って伝えてくれた。

何でも公爵家の子供も希望の星学園のSクラスに受かっているそうだ。
公爵家の子供が何故希望の星学園に入学したのかは謎であるが、レイよりも立場が上のことからも気をつけておいてくれと念を押された。

その後も今後の方針などの話をし、入学までの間に今よりも強くなって再会することを誓った。

リアムも今後は学院でダンジョンに挑む前にすこしでもレベルを上げたいと考えている。タイガと共に低ランクの魔物でレベルを上げているが、レベル20を超えたあたりからなかなか上がらなくなってきたからだ。

そろそろ本格的に動くことを考え、いつまでも実力を隠す訳にもいかないのですこしでもレベルを上げることで肉体強度を上げておきたいと思っている。

レベル1つや2つでは差ほど変わらないが、10や20もレベルが変われば反射スピードや肉体強度が上がり戦闘面でも頭一つ分は違ってくる。
さらには魔法や物理的ダメージも軽減される。もちろん強い魔物程、魔法や攻撃力が強くなるのでダンジョン奥深くに潜るためにはレベルが高くないと命がいくつあっても足りない。

魔法に関しても魔法の向上に励み使える魔法を増やす予定だ。
サクラのおかげでリアムは魔力がずっと1の状態で魔力操作を何年間も行ってきた。そのおかげで最後の方は何とか魔力1なのに魔力を感じれるところまできていたので、他の誰よりも魔力操作に長けている。さらにはサクラがずっと魔力を吸い取ってしまっていたおかげで魔力回復のスキルを覚え、魔力最大値も上がり続けていたのである。

実を言うと入学試験の時は精密な魔力操作で剣の切っ先だけに薄っすらと風の刃を纏わせ木剣を切っていたのだ。精密な魔力操作と一点集中のスキル、そして無詠唱がなせるリアムの秘策であった。

そして、一番凄いのは精霊魔法には魔法属性の相性があるのだが、桜属性に値するリアムには苦手な属性がないのだ。木には光、水、風、土、陰、太陽(火)と全ての自然が共存して成り立つことからか、全ての魔法を無詠唱で唱えられるのだ。

この事実を知った時のリアムは丸一日サクラを撫で続けたとか…。

桜属性を知れば知るほど驚くほどのチートであったのだ。

全ては奇想天外と生命の祝福のスキルが始まりだったかもしれないが、桜の木の加護とクルミの運上昇のおかげでリアムのスキルは上振れしている。本当のことを言えば、自分の居場所を作るために桜の木の下で一人の寂しさを紛らわせるためにサクラに話しかけていたことが偽善スキルに反応したのかも…、こればかりは誰も知るよしがない。

ちなみに毎年スキルの恩恵を授かるのだが、5歳からのスキルはこんなかんじだ。

5歳・クリーン
6歳・桜の木の加護
7歳・召喚(一度のみ)
8歳・隠蔽
9歳・目力

・隠蔽
故意に隠すこと。他から見えないように隠すことが出来る。

・目力
目を見て話す時、説得力が上がる。目に力を込めて見ると遠くがいつもよりよく見える

クリーンや目力は一般的に良くあるスキルだが、他の3つは間違いなく運が良かったとしか言えない。

さらには魔法を使えない期間、ひたすら剣を振り肉体を鍛えるために走り続けた結果、剣術スキルと身体能力スキルも10歳とは思えない程のレベルに上がっている。

そんなリアムを王家の者が前衛と勘違いし、B級冒険者の前衛を試験官にしたことはここだけの話だ。


王城での会話

「アドベルト陛下、例の試験結果の報告書がきました」

「ほぉ、見せてみろ」

アルベルトは大臣から手紙を預かると真剣な表情で読んでいる。

時に驚き、さらには神妙な顔をしながら大臣に言葉を発した。

「B級冒険者相手に一撃で試験を終わらせたそうだ」

「な、なんと」

流石の大臣でさえも驚くほどだ。

「あやつの底が知りたくなった」

「いかがなさいますか?」

「公爵の子供以外にも影の子も配置しておけ」

「畏まりました」

「それにしても来年の希望の星学園にばかり優れた者が多く行くのは何故だ?」

「………。」

「流石に解らぬか。まあ、良い。経過を見届けるとしよう」

こうしてリアム達の知らぬ所で着々と見定められているのであった。
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