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兄弟として(最終話)
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「陽向・・・・これからのことだけど」
「わかってる。もう、しないんでしょ?俺もそろそろやめた方がいいかなって思ってた」
「え・・・・そうなのか?」
あまりにもあっさりした言葉に、俺はちょっと驚いた。
「うん。実際は俺はきょおくんの弟じゃないわけだし、血が繋がってないならいいかなって思ってたんだけど。でも、お義父さんが知ったらかわいそうだし。それに俺、もてるからきょおくんとしなくても他にいくらでも相手がいるし」
「おい!」
俺は思わず椅子から立ち上がった。
「だ、だめだぞ!小坂とか雄介とか‥‥絶対だめだ!」
「ふふ」
「笑ってる場合じゃない!」
「冗談だよ。もう誰かを誘惑したりしない」
けらけらと笑う陽向に、俺の心はまだ休まらない。
「きょおくんとお義父さんには本当に感謝してるんだ。俺を家族として迎えてくれて・・・・。あの日・・・・お義父さんがうちに来て、俺と俺のお父さんの関係を知られたからお父さんは俺と一緒に死のうとしたんだよね」
ふと、陽向が視線を落としてそう言った。
「陽向、それは―――」
「責めてるんじゃないよ。お父さんはいつもきょおくんのお父さんのことすごく優しくて責任感の強い人だって言ってた。すごく尊敬してたんだ。その人に自分の秘密を知られて、きっと・・・・耐えられなかったんだ。一番知られたくなかった人に知られて」
「そうなのかな・・・・」
「そうだと思う。俺・・・・今はわかるよ。お父さんはお母さんがいなくなって、追い詰められたんだよね。愛する人が他の人と出て行っちゃって・・・・。心に大きな穴が開いちゃったんだ。その穴を埋めるために、きっと俺をお母さんの代わりにするしかなかったんだよね」
「陽向・・・・」
「でも、俺はそれでもよかったんだ。お父さんが元気になってくれるなら・・・・幸せになってくれるなら・・・・。それが間違ってることでもよかった。だけどお父さんは・・・・それじゃダメだってわかってたんだ」
―――それじゃダメだってわかってた。
そうだ。
きっと陽向の父親も、自分の間違いに気づいていたのにどうにもできなかった。
自分の抑えることができなかった。
それほど、妻を失ったことに心を痛めていたんだろう。
でも・・・・・
「俺がこうしてきょおくんのお父さんの子供としてこの家に来ることができて、きっとお父さんも喜んでると思う」
陽向が、顔をあげて潤んだ瞳で俺を見つめた。
「そうかな・・・・。そうならいいけどな」
「きっとそう。だから・・・・もう、やめなきゃね。そうじゃないとお父さんがきっと悲しむ」
「うん・・・・そうだな」
「ね、きょおくんもうどん食べない?おいしいよ」
「え?ああ・・・・」
陽向がまたキッチンへ行くと、うどんを丼に入れ俺の前に置いてくれる。
俺は「いただきます」と手を合わせてからうどんを口の中へ―――と、本当においしい。
「・・・・うまい」
「でしょ?これでいつでもお嫁に行ける」
「おい!」
「冗談だってば。―――けど、そんなに心配ならこれからも俺との関係続ける?」
「え―――」
「なんてね。大丈夫。お義父さんに心配かけるようなこと、しないよ」
にやりと笑う陽向に、若干不安を覚えつつ―――
それでも俺たちは、再び兄弟として新たに日常をスタートさせることになったのだった。
それから本当に陽向との関係がただの兄弟になったのかというと―――
それは、俺たちだけの秘密・・・・。
「わかってる。もう、しないんでしょ?俺もそろそろやめた方がいいかなって思ってた」
「え・・・・そうなのか?」
あまりにもあっさりした言葉に、俺はちょっと驚いた。
「うん。実際は俺はきょおくんの弟じゃないわけだし、血が繋がってないならいいかなって思ってたんだけど。でも、お義父さんが知ったらかわいそうだし。それに俺、もてるからきょおくんとしなくても他にいくらでも相手がいるし」
「おい!」
俺は思わず椅子から立ち上がった。
「だ、だめだぞ!小坂とか雄介とか‥‥絶対だめだ!」
「ふふ」
「笑ってる場合じゃない!」
「冗談だよ。もう誰かを誘惑したりしない」
けらけらと笑う陽向に、俺の心はまだ休まらない。
「きょおくんとお義父さんには本当に感謝してるんだ。俺を家族として迎えてくれて・・・・。あの日・・・・お義父さんがうちに来て、俺と俺のお父さんの関係を知られたからお父さんは俺と一緒に死のうとしたんだよね」
ふと、陽向が視線を落としてそう言った。
「陽向、それは―――」
「責めてるんじゃないよ。お父さんはいつもきょおくんのお父さんのことすごく優しくて責任感の強い人だって言ってた。すごく尊敬してたんだ。その人に自分の秘密を知られて、きっと・・・・耐えられなかったんだ。一番知られたくなかった人に知られて」
「そうなのかな・・・・」
「そうだと思う。俺・・・・今はわかるよ。お父さんはお母さんがいなくなって、追い詰められたんだよね。愛する人が他の人と出て行っちゃって・・・・。心に大きな穴が開いちゃったんだ。その穴を埋めるために、きっと俺をお母さんの代わりにするしかなかったんだよね」
「陽向・・・・」
「でも、俺はそれでもよかったんだ。お父さんが元気になってくれるなら・・・・幸せになってくれるなら・・・・。それが間違ってることでもよかった。だけどお父さんは・・・・それじゃダメだってわかってたんだ」
―――それじゃダメだってわかってた。
そうだ。
きっと陽向の父親も、自分の間違いに気づいていたのにどうにもできなかった。
自分の抑えることができなかった。
それほど、妻を失ったことに心を痛めていたんだろう。
でも・・・・・
「俺がこうしてきょおくんのお父さんの子供としてこの家に来ることができて、きっとお父さんも喜んでると思う」
陽向が、顔をあげて潤んだ瞳で俺を見つめた。
「そうかな・・・・。そうならいいけどな」
「きっとそう。だから・・・・もう、やめなきゃね。そうじゃないとお父さんがきっと悲しむ」
「うん・・・・そうだな」
「ね、きょおくんもうどん食べない?おいしいよ」
「え?ああ・・・・」
陽向がまたキッチンへ行くと、うどんを丼に入れ俺の前に置いてくれる。
俺は「いただきます」と手を合わせてからうどんを口の中へ―――と、本当においしい。
「・・・・うまい」
「でしょ?これでいつでもお嫁に行ける」
「おい!」
「冗談だってば。―――けど、そんなに心配ならこれからも俺との関係続ける?」
「え―――」
「なんてね。大丈夫。お義父さんに心配かけるようなこと、しないよ」
にやりと笑う陽向に、若干不安を覚えつつ―――
それでも俺たちは、再び兄弟として新たに日常をスタートさせることになったのだった。
それから本当に陽向との関係がただの兄弟になったのかというと―――
それは、俺たちだけの秘密・・・・。
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