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第25話
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『夏美さんが望んでるから、さっくんの傍にいるってことですか?』
タクの言葉が、頭の中にこだまする。
そんなこと、わかってる。
柊真は、なっちゃんの頼みだから俺の傍にいるんだ。
なっちゃんが俺の心配をするから、その心配を取り除けるように俺を守ってくれてるんだ。
なっちゃんがいなくなれば・・・・柊真も、俺の傍からいなくなる・・・・・。
そんなこと、とっくにわかってたことなのに―――
なんでこんなに、胸が痛いんだろう・・・・・。
「咲也?どうした?気分悪い?」
少しぼんやりしていた俺の傍に、圭くんが立っていた。
心配そうに俺の顔を覗き込む。
「あ、ごめん、大丈夫だよ。ちょっとぼーっとしてただけだから」
「ほんとに?具合悪かったら適当に休めよ」
「ありがと、圭くん」
俺が笑うと、圭くんはちょっと照れたように目をそらせた。
意外とシャイなんだよね、圭くん。
昔からかっこよくて、優しくて頭の良い圭くんは、俺の憧れだった。
俺のことを弟のように可愛がってくれる圭くんは、俺にとっても兄のような存在だ。
ここには頼りになる圭くんがいて、明るくて面白い幹ちゃんがいて、いつも俺を助けてくれるタクもいる。
もちろん、ずっと一緒ってわけじゃないけど・・・・・
でも俺だってもうすぐ二十歳で、1人でだって暮らせる年だ。
きっとすぐに、なっちゃんだって安心して俺の中から出ていける・・・・・。
それは、本当はいいことのはずなのに、俺の胸は痛くて・・・・・
柊真が、ずっと俺の傍にいてくれればいいのにと、願ってしまっていた・・・・・。
「柊真、着替えとか取りに行かなくていいの?」
休憩中、俺は自分で作ったパスタを食べながら柊真に言った。
「え?ああ、そうだね」
柊真は、今気付いたというような顔をする。
ホント、のんきだよなあ。
「今日から泊まるなら、今のうちに取りに行っちゃえば?」
「あー、そうだね・・・・うん、じゃあそうする」
「あ、でさ、またこの店戻ってくるのも面倒だろうし、直接俺の家に行ってれば」
「え・・・・」
俺は、ポケットに入れていた家の鍵を出した。
「カギ、渡しとくから、入ってていいよ」
俺の言葉に、タクがちょっと顔を顰める。
「さっくん、そんな簡単に家の鍵―――」
「柊真なら大丈夫」
「・・・・ずいぶん、信用してるんだ」
「まぁ・・・・なっちゃんの恋人だったわけだしね。あー、もし心配なら、タクも来る?」
「「え?」」
「ふっ、またはもった。タクにはいっぱい心配かけちゃったし・・・今日、ちょっと早いからさ、何かおいしいもの作るよ」
「ほんと?」
「うん。食べてってよ」
俺の言葉に、タクが嬉しそうに笑う。
「・・・・・じゃ、俺、着替えとってくる」
何となく元気がなくなった気がする柊真がそう言って、鍵を手にカフェを出て行った。
「?どうかしたのかな?柊真、ちょっとへこんでなかった?」
「さあね。それより、ほんとに俺行っていいの?邪魔になんない?」
「ふはは、邪魔って何。タクが邪魔なわけないじゃん」
そう言うと、タクはにっこりと笑って俺を見た。
「それならいいけど。―――俺、さっくんに呼ばれたらいつでも駆け付けるからさ、何かあった時には遠慮せずに俺に言ってね」
「うん、ありがと」
「あの人・・・・真田さんといるときって、どんな話してんの?」
「どんなって・・・・絵の話とか・・・・あとは、なっちゃんの話、かな」
「夏美さんの・・・・・」
「うん・・・・・。なっちゃんも、柊真と話したがるし・・・・」
ふと口をついて出た言葉に、タクが怪訝な顔をする。
「は?なっちゃんもって・・・・・どういう意味?」
「あ・・・・何でもない。ほら、なっちゃんも、俺と柊真が仲良くなったら喜ぶかなって・・・・・」
とっさに言うと、タクは特に疑問に思った様子もなく、ああと頷いた。
「そうだね。真田さんも、夏美さんが2人が仲良くなって欲しいと思ってたとか言ってたし」
「・・・・・うん。なっちゃん、心配性だから」
「・・・・それ、さっくんもでしょ」
「え?」
タクの言葉に、俺はパスタを食べていた手を止める。
「さっくんも、心配性じゃん。いつも人の心配ばっかりして。少しは自分の事も気にしないと、また倒れちゃうよ」
心配そうに俺を見つめるタクに、ここ数日の自分を振り返る。
体調の悪くなってしまった俺を、いつも気遣ってくれていたタク。
凄く心配をかけていたんだと、いまさらながら思う。
「ん・・・・ごめん、タク。いつもありがとう」
そういって笑って見せると、タクはちょっと照れくさそうに、それでも俺の目を見て笑ってくれた。
「俺は、いいの。好きでそうしてるんだから。・・・・真田さんも、そうだと思うけどね」
「え・・・・?」
―――それは、どういう意味?
「タク、それ・・・・・」
「休憩、もうすぐ終りじゃないの?」
「え?あ、ほんとだ」
つい、話に夢中になってしまっていた。
俺は慌てて残ったパスタをかき込むと、皿とグラスを持って、カウンターへ戻ったのだった・・・・・。
タクの言葉が、頭の中にこだまする。
そんなこと、わかってる。
柊真は、なっちゃんの頼みだから俺の傍にいるんだ。
なっちゃんが俺の心配をするから、その心配を取り除けるように俺を守ってくれてるんだ。
なっちゃんがいなくなれば・・・・柊真も、俺の傍からいなくなる・・・・・。
そんなこと、とっくにわかってたことなのに―――
なんでこんなに、胸が痛いんだろう・・・・・。
「咲也?どうした?気分悪い?」
少しぼんやりしていた俺の傍に、圭くんが立っていた。
心配そうに俺の顔を覗き込む。
「あ、ごめん、大丈夫だよ。ちょっとぼーっとしてただけだから」
「ほんとに?具合悪かったら適当に休めよ」
「ありがと、圭くん」
俺が笑うと、圭くんはちょっと照れたように目をそらせた。
意外とシャイなんだよね、圭くん。
昔からかっこよくて、優しくて頭の良い圭くんは、俺の憧れだった。
俺のことを弟のように可愛がってくれる圭くんは、俺にとっても兄のような存在だ。
ここには頼りになる圭くんがいて、明るくて面白い幹ちゃんがいて、いつも俺を助けてくれるタクもいる。
もちろん、ずっと一緒ってわけじゃないけど・・・・・
でも俺だってもうすぐ二十歳で、1人でだって暮らせる年だ。
きっとすぐに、なっちゃんだって安心して俺の中から出ていける・・・・・。
それは、本当はいいことのはずなのに、俺の胸は痛くて・・・・・
柊真が、ずっと俺の傍にいてくれればいいのにと、願ってしまっていた・・・・・。
「柊真、着替えとか取りに行かなくていいの?」
休憩中、俺は自分で作ったパスタを食べながら柊真に言った。
「え?ああ、そうだね」
柊真は、今気付いたというような顔をする。
ホント、のんきだよなあ。
「今日から泊まるなら、今のうちに取りに行っちゃえば?」
「あー、そうだね・・・・うん、じゃあそうする」
「あ、でさ、またこの店戻ってくるのも面倒だろうし、直接俺の家に行ってれば」
「え・・・・」
俺は、ポケットに入れていた家の鍵を出した。
「カギ、渡しとくから、入ってていいよ」
俺の言葉に、タクがちょっと顔を顰める。
「さっくん、そんな簡単に家の鍵―――」
「柊真なら大丈夫」
「・・・・ずいぶん、信用してるんだ」
「まぁ・・・・なっちゃんの恋人だったわけだしね。あー、もし心配なら、タクも来る?」
「「え?」」
「ふっ、またはもった。タクにはいっぱい心配かけちゃったし・・・今日、ちょっと早いからさ、何かおいしいもの作るよ」
「ほんと?」
「うん。食べてってよ」
俺の言葉に、タクが嬉しそうに笑う。
「・・・・・じゃ、俺、着替えとってくる」
何となく元気がなくなった気がする柊真がそう言って、鍵を手にカフェを出て行った。
「?どうかしたのかな?柊真、ちょっとへこんでなかった?」
「さあね。それより、ほんとに俺行っていいの?邪魔になんない?」
「ふはは、邪魔って何。タクが邪魔なわけないじゃん」
そう言うと、タクはにっこりと笑って俺を見た。
「それならいいけど。―――俺、さっくんに呼ばれたらいつでも駆け付けるからさ、何かあった時には遠慮せずに俺に言ってね」
「うん、ありがと」
「あの人・・・・真田さんといるときって、どんな話してんの?」
「どんなって・・・・絵の話とか・・・・あとは、なっちゃんの話、かな」
「夏美さんの・・・・・」
「うん・・・・・。なっちゃんも、柊真と話したがるし・・・・」
ふと口をついて出た言葉に、タクが怪訝な顔をする。
「は?なっちゃんもって・・・・・どういう意味?」
「あ・・・・何でもない。ほら、なっちゃんも、俺と柊真が仲良くなったら喜ぶかなって・・・・・」
とっさに言うと、タクは特に疑問に思った様子もなく、ああと頷いた。
「そうだね。真田さんも、夏美さんが2人が仲良くなって欲しいと思ってたとか言ってたし」
「・・・・・うん。なっちゃん、心配性だから」
「・・・・それ、さっくんもでしょ」
「え?」
タクの言葉に、俺はパスタを食べていた手を止める。
「さっくんも、心配性じゃん。いつも人の心配ばっかりして。少しは自分の事も気にしないと、また倒れちゃうよ」
心配そうに俺を見つめるタクに、ここ数日の自分を振り返る。
体調の悪くなってしまった俺を、いつも気遣ってくれていたタク。
凄く心配をかけていたんだと、いまさらながら思う。
「ん・・・・ごめん、タク。いつもありがとう」
そういって笑って見せると、タクはちょっと照れくさそうに、それでも俺の目を見て笑ってくれた。
「俺は、いいの。好きでそうしてるんだから。・・・・真田さんも、そうだと思うけどね」
「え・・・・?」
―――それは、どういう意味?
「タク、それ・・・・・」
「休憩、もうすぐ終りじゃないの?」
「え?あ、ほんとだ」
つい、話に夢中になってしまっていた。
俺は慌てて残ったパスタをかき込むと、皿とグラスを持って、カウンターへ戻ったのだった・・・・・。
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