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第26話
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家に着替えを取りに行き、そのまま咲也の家へと向かう。
今日から咲也と2人で生活・・・・・と思っていたのに。
『タクも来る?』
咲也の言葉に、俺の浮き足立っていた気持ちが一気にクールダウンされる。
咲也の言いたいことは分かるよ。
俺が咲也に会っていなかった1週間の間、体調の良くない咲也を心配してずっとそばについていてくれたのはタクだ。
そんなタクにお礼がしたくて『何かおいしいもの作るよ』と言った、咲也の気持ちは分かる―――つもりだ。
でも、頭では分かっていても、心のざわつきは止まらない。
大体、圭くんにしたって・・・・・
カウンター内とはいえ、客からも丸見えだって言うのにあんなに接近して、見詰め合ったりしてさ。
圭くんに見せる咲也の笑顔は、どこか甘えているようで、女の子みたいに可愛くて―――
俺の胸が、きしむように痛んだ。
だんだん、自分に自信がなくなってくる。
俺にとって咲也はもうなくてはならない特別な存在だけど、咲也にとっては?
俺は、咲也にとって特別な存在になれるのだろうか・・・・・
「ただいまー」
咲也とタクが帰ってきて、咲也が俺を見てにこりと笑った。
「良かった、ちゃんといた」
「そりゃ、いるよ。風呂、入れといた」
「ほんと?ありがと。じゃあ俺すぐに何か作るから、2人とも座っててよ」
そう言って咲也は持っていたバッグをソファーへ置くと、キッチンへと入って行った。
タクはソファーに座ると、ちらりと俺を見た。
「・・・・・すいませんね、おじゃまして」
そう言ってにやりと笑うタクは、全然悪いと思ってない顔だ。
「別に・・・・俺に謝ることないし」
「でも、気に入らないと思ってるでしょ?カフェにいる時から、そんな顔してますもんね」
「・・・・・咲也が、タクを大切に思ってることはわかってるし」
「・・・・・それは、親友としてって言いたいんですか?」
タクと俺の視線が一瞬交錯する。
「―――まだ、諦めるつもりはありませんから」
「知ってるよ」
「あなたもでしょ?」
「うん」
「お待たせ」
サラダと、おつまみ的な料理をいくつか作ってくれた咲也。
俺とタクにビールを出してくれ、咲也自身はアイスコーヒーを飲んでいた。
「さっくんて料理うまいよね。将来、自分で店出せるんじゃない?」
タクの言葉に、咲也は照れたように笑う。
「そりゃ、出せたら嬉しいけど。でもタクだって自炊でしょ?前に泊った時作ってくれたチャーハン、うまかったよ」
「あー、あれは唯一の自信作だから。滅多に作らないよ。さっくんが来たときだけね。また遊びに来てよ」
「うん。あ、今度は柊真も一緒に行こうよ」
咲也が俺を見る。
「え、俺?・・・・・タクがいいなら、いいけど」
「―――別に、構いませんよ。幹ちゃんと圭ちゃんも呼んじゃう?」
タクの言葉に、咲也が笑う。
「ふはは、いいね。今度みんなで集まってパーティーでもする?」
「うるさそう。俺んちはマンションだから騒がしいのは無理だなあ。それなら、さっくんちの方がいいよ」
どんどん進んでいく話を、俺はビールを飲みながらぼんやり聞いていた。
タクとは幼馴染だし、年も同じだから気が合うのだろう。
なんだか、俺だけ取り残されたみたいに感じてしまっていた。
「柊真?眠い?」
突然顔を覗きこまれ、俺はドキッとして体を引いた。
「へ?」
「ぼーっとしてるから。お風呂、入る?」
「・・・・・ん、そうする」
俺はそのまま部屋を後にした。
咲也とタクは楽しそうに話を続けている。
風呂に入り、体を洗い湯船につかる。
大きな溜息が洩れた。
咲也が好きで、一緒にいたいと思った。
咲也を守りたいと思った。
でも、圭くんやタクといる時の、咲也の楽しそうな顔を見てると、不安になる。
咲也の傍にいるべきなのは、タクや圭くんなのかなって。
ぶるぶると、首を振る。
ダメだ、こんなんじゃ。
夏美と、約束したのに。
俺が咲也を守るって・・・・・。
風呂から出て家から持ってきたスウェットに着替えていると、脱衣所の扉が開き、咲也がひょいと顔を出した。
「あ―――柊真、出てた?」
「何?どうかした?」
「うん・・・・・ちょっと入っていい?」
「??いいよ?」
なんだろう?
咲也は中に入ってくると、扉を閉めて俺を見つめた。
あ・・・・あんまり見つめられると、ドキドキするんだけど・・・・・・
「柊真、ごめんね」
「へ?何が?」
「俺、忘れてて・・・・タクがいたら、なっちゃん出てこれないのに・・・・」
「ああ・・・・・」
そういえばそうだ。
俺も、言われるまで忘れてたよ。
「タク、今日は泊ってくと思うけど・・・・俺、後で柊真のとこに行くよ、タクが寝てから」
「え?」
「―――会いたいでしょ?なっちゃんに」
そう言って、俯く咲也。
少し元気のないその様子が、気になった。
「別に、大丈夫だよ。無理しないで、寝なよ。また具合悪くなったら大変だしさ。これからしばらくはここにいるんだし―――」
「―――いいの?」
「え・・・・なんで?」
「だって・・・・せっかくここに泊るのに、なっちゃんに会えないなんて・・・・・」
「そんなこと・・・・・って、あれ?咲也、もしかして・・・・・・」
俺は、急に思いついた。
咲也は、まさか・・・・・
「俺が、夏美に会うためにここに泊ると思ってる?」
「ち・・・・がうの?」
「違うよ!俺は、咲也が心配だから―――!」
「だって、なんか元気なかったじゃん。俺が、タクを呼んだからかと思って・・・・・」
「いや、それは―――」
間違ってはない。
間違ってはないけど、それは夏美に会えないからじゃないんだよな・・・・・
どう説明したらいいのかわからなくて・・・・・
不思議そうに目を瞬かせている咲也を見ていたら、なんだか無性に切なくなってきて―――
気が付いたら、俺は咲也を抱き寄せ、その赤い唇にキスしていた・・・・・
今日から咲也と2人で生活・・・・・と思っていたのに。
『タクも来る?』
咲也の言葉に、俺の浮き足立っていた気持ちが一気にクールダウンされる。
咲也の言いたいことは分かるよ。
俺が咲也に会っていなかった1週間の間、体調の良くない咲也を心配してずっとそばについていてくれたのはタクだ。
そんなタクにお礼がしたくて『何かおいしいもの作るよ』と言った、咲也の気持ちは分かる―――つもりだ。
でも、頭では分かっていても、心のざわつきは止まらない。
大体、圭くんにしたって・・・・・
カウンター内とはいえ、客からも丸見えだって言うのにあんなに接近して、見詰め合ったりしてさ。
圭くんに見せる咲也の笑顔は、どこか甘えているようで、女の子みたいに可愛くて―――
俺の胸が、きしむように痛んだ。
だんだん、自分に自信がなくなってくる。
俺にとって咲也はもうなくてはならない特別な存在だけど、咲也にとっては?
俺は、咲也にとって特別な存在になれるのだろうか・・・・・
「ただいまー」
咲也とタクが帰ってきて、咲也が俺を見てにこりと笑った。
「良かった、ちゃんといた」
「そりゃ、いるよ。風呂、入れといた」
「ほんと?ありがと。じゃあ俺すぐに何か作るから、2人とも座っててよ」
そう言って咲也は持っていたバッグをソファーへ置くと、キッチンへと入って行った。
タクはソファーに座ると、ちらりと俺を見た。
「・・・・・すいませんね、おじゃまして」
そう言ってにやりと笑うタクは、全然悪いと思ってない顔だ。
「別に・・・・俺に謝ることないし」
「でも、気に入らないと思ってるでしょ?カフェにいる時から、そんな顔してますもんね」
「・・・・・咲也が、タクを大切に思ってることはわかってるし」
「・・・・・それは、親友としてって言いたいんですか?」
タクと俺の視線が一瞬交錯する。
「―――まだ、諦めるつもりはありませんから」
「知ってるよ」
「あなたもでしょ?」
「うん」
「お待たせ」
サラダと、おつまみ的な料理をいくつか作ってくれた咲也。
俺とタクにビールを出してくれ、咲也自身はアイスコーヒーを飲んでいた。
「さっくんて料理うまいよね。将来、自分で店出せるんじゃない?」
タクの言葉に、咲也は照れたように笑う。
「そりゃ、出せたら嬉しいけど。でもタクだって自炊でしょ?前に泊った時作ってくれたチャーハン、うまかったよ」
「あー、あれは唯一の自信作だから。滅多に作らないよ。さっくんが来たときだけね。また遊びに来てよ」
「うん。あ、今度は柊真も一緒に行こうよ」
咲也が俺を見る。
「え、俺?・・・・・タクがいいなら、いいけど」
「―――別に、構いませんよ。幹ちゃんと圭ちゃんも呼んじゃう?」
タクの言葉に、咲也が笑う。
「ふはは、いいね。今度みんなで集まってパーティーでもする?」
「うるさそう。俺んちはマンションだから騒がしいのは無理だなあ。それなら、さっくんちの方がいいよ」
どんどん進んでいく話を、俺はビールを飲みながらぼんやり聞いていた。
タクとは幼馴染だし、年も同じだから気が合うのだろう。
なんだか、俺だけ取り残されたみたいに感じてしまっていた。
「柊真?眠い?」
突然顔を覗きこまれ、俺はドキッとして体を引いた。
「へ?」
「ぼーっとしてるから。お風呂、入る?」
「・・・・・ん、そうする」
俺はそのまま部屋を後にした。
咲也とタクは楽しそうに話を続けている。
風呂に入り、体を洗い湯船につかる。
大きな溜息が洩れた。
咲也が好きで、一緒にいたいと思った。
咲也を守りたいと思った。
でも、圭くんやタクといる時の、咲也の楽しそうな顔を見てると、不安になる。
咲也の傍にいるべきなのは、タクや圭くんなのかなって。
ぶるぶると、首を振る。
ダメだ、こんなんじゃ。
夏美と、約束したのに。
俺が咲也を守るって・・・・・。
風呂から出て家から持ってきたスウェットに着替えていると、脱衣所の扉が開き、咲也がひょいと顔を出した。
「あ―――柊真、出てた?」
「何?どうかした?」
「うん・・・・・ちょっと入っていい?」
「??いいよ?」
なんだろう?
咲也は中に入ってくると、扉を閉めて俺を見つめた。
あ・・・・あんまり見つめられると、ドキドキするんだけど・・・・・・
「柊真、ごめんね」
「へ?何が?」
「俺、忘れてて・・・・タクがいたら、なっちゃん出てこれないのに・・・・」
「ああ・・・・・」
そういえばそうだ。
俺も、言われるまで忘れてたよ。
「タク、今日は泊ってくと思うけど・・・・俺、後で柊真のとこに行くよ、タクが寝てから」
「え?」
「―――会いたいでしょ?なっちゃんに」
そう言って、俯く咲也。
少し元気のないその様子が、気になった。
「別に、大丈夫だよ。無理しないで、寝なよ。また具合悪くなったら大変だしさ。これからしばらくはここにいるんだし―――」
「―――いいの?」
「え・・・・なんで?」
「だって・・・・せっかくここに泊るのに、なっちゃんに会えないなんて・・・・・」
「そんなこと・・・・・って、あれ?咲也、もしかして・・・・・・」
俺は、急に思いついた。
咲也は、まさか・・・・・
「俺が、夏美に会うためにここに泊ると思ってる?」
「ち・・・・がうの?」
「違うよ!俺は、咲也が心配だから―――!」
「だって、なんか元気なかったじゃん。俺が、タクを呼んだからかと思って・・・・・」
「いや、それは―――」
間違ってはない。
間違ってはないけど、それは夏美に会えないからじゃないんだよな・・・・・
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