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第27話
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突然柊真に抱き寄せられて、唇が重なって―――
俺は、頭の中が真っ白になった。
―――なんで・・・・・?
呆然と、目を開けてされるがままになっていると―――
柊真がはっとしたように、俺から離れた。
「あ・・・・っ、ご、ごめん、俺・・・・・」
「柊真・・・・?」
「違うんだっ、あの、これは・・・・・」
「―――何してるんですか?」
扉が開き、タクが顔を出した。
「あ―――」
柊真が、俺から離れる。
「な、何でもないよ。あの―――ごめん、俺、もう寝るから」
そう言うと、柊真は俺と目を合わすことなく、出て行ってしまった―――。
タクが、俺を見る。
「さっくん?・・・・・真田さんと、何かあったの?」
その言葉に、俺はゆっくりと首を振った。
「・・・・何も。何もないよ。きっと・・・・柊真が見てたのは、俺じゃないんだ・・・・・」
「さっくん・・・・・?」
『違うんだ』って、柊真は言ってた。
それは、キスしたこと?
俺にキスしようとしたわけじゃなくて、なっちゃんにしたかったってこと?
だから・・・・・・
「さっくん!どうしたの?」
タクが、俺の肩を掴んだ。
「あ・・・・・・」
気付けば、俺の目からは涙が零れ落ちていた。
「さっくん・・・・俺が、いるから―――」
「タク・・・・?」
タクが、俺を抱きしめた。
「俺が、いつでも傍にいるから・・・・・だから、泣かないで」
タクの腕はあったかくて・・・・
でも、俺の心にはどこかに穴が空いているようで―――
零れ落ちる涙は、止めることができなかった・・・・・。
その夜俺は眠れなくて・・・・・
どうせ寝られないんだったら、なっちゃんに代わってもらって柊真に会いに行ってあげればいいのにと思ったんだけど、今日に限ってなっちゃんは出て来なかった。
「・・・・・何で出てこないの?柊真が来てんのに・・・・会わなくていいの?」
そう1人ごとを言ってみても、一向になっちゃんが出てくる気配はない。
「・・・・・意味わかんねえ・・・・柊真も、なっちゃんも・・・・何なんだよ・・・・」
ふとんを頭までかぶり、無理やり目を瞑る。
それでも眠気はやってこなくて、思い浮かぶのは柊真の顔ばかり。
柊真はなっちゃんの恋人で、柊真が俺の傍についててくれるのはなっちゃんが俺の中にいるからだ。
そんなこと、最初からわかっていたはずなのに柊真のことを考えると胸が痛い。
それでも、俺は柊真にそばにいて欲しいと思う。
なっちゃんが俺の中にいる間だけでもいいから―――
『コンコン』
扉をノックする音に、俺はがばっと起きあがった。
「・・・はい」
扉が静かに開き―――
顔を出したのは、柊真だった。
「柊真・・・?」
「ごめん、起こして・・・・ちょっといい?」
「・・・・どうぞ」
柊真は、中に入ってくると俺の前に立った。
「―――さっきは、ごめん。俺・・・」
「・・・・俺の方こそ、ごめん。なっちゃんが、今日は出て来てくれなくて・・・・・」
「それ!」
突然柊真が大きな声を出し、ずんずんと俺に近付くと俺の肩を掴んだ。
「それ、違うから!」
「え・・・・?」
「さっきも言ったけど・・・・俺、夏美に会いたいからここにいるわけじゃない。今も、夏美に会うために来たわけじゃない。俺はただ、咲也に誤解されたくないから・・・・・」
「誤解って・・・・・?」
柊真はじっと俺を見つめていた。
言おうか言うまいか、迷っているようにも見えた。
俺はただ、柊真を見つめその言葉を待っていた。
「・・・・・俺が、今守りたいのは・・・・・夏美じゃなくて・・・咲也だよ」
「え・・・・・?」
空耳かと思った。
それか、俺の頭がおかしくなったのかと。
「俺は、咲也を守りたい・・・・咲也が、大事なんだよ。だから、ここにいる。夏美に言われたからじゃ、ないよ」
「でも・・・・じゃ・・・・さっきのは・・・・?」
「さっきのって・・・・」
「キス・・・・したじゃん。あれは・・・・?俺のこと、なっちゃんだと思ってしたんじゃないの・・・・?」
そう言って、柊真を見上げた。
柊真は俺から目をそらせて俯いていたけれど、その耳は暗がりの中でもはっきりとわかるほど真っ赤で―――
「・・・・・あれは・・・・・咲也が、可愛くて・・・・・」
「え・・・・・俺、男だけど・・・・・」
「男だって、可愛い。咲也は、自分のことわかってないんだよ。咲也を見てるやつがどんな気持ちになるか―――」
「俺を、見てるやつ・・・・・?」
何の事だかわからなくて、俺は首を傾げた。
「よく、わからないけど・・・・・じゃあ、柊真は俺をどう見てるの?」
「だから、それは・・・!」
「ちゃんと言ってくれなきゃ、わからないよ、俺バカだもん」
俺は、柊真の手を握った。
柊真の、俺の見る目が揺れる。
「それは・・・まだ言えない・・・・」
「なんで?」
「・・・・それは・・・・言えない」
「なんで?」
「だから、それは・・・・・」
「うん?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・キス、していい?」
「・・・・・うん」
そっと目を閉じると、柊真の柔らかな唇が俺の唇に重なる。
柊真の腕が、優しく俺の体を包んだ。
あったかくてドキドキするのに、安心できる、不思議な感覚・・・・・。
―――柊真が、好きだ・・・・・。
深まるキスに、俺は柊真の首に腕を絡め、夢中で応えていた・・・・・。
俺は、頭の中が真っ白になった。
―――なんで・・・・・?
呆然と、目を開けてされるがままになっていると―――
柊真がはっとしたように、俺から離れた。
「あ・・・・っ、ご、ごめん、俺・・・・・」
「柊真・・・・?」
「違うんだっ、あの、これは・・・・・」
「―――何してるんですか?」
扉が開き、タクが顔を出した。
「あ―――」
柊真が、俺から離れる。
「な、何でもないよ。あの―――ごめん、俺、もう寝るから」
そう言うと、柊真は俺と目を合わすことなく、出て行ってしまった―――。
タクが、俺を見る。
「さっくん?・・・・・真田さんと、何かあったの?」
その言葉に、俺はゆっくりと首を振った。
「・・・・何も。何もないよ。きっと・・・・柊真が見てたのは、俺じゃないんだ・・・・・」
「さっくん・・・・・?」
『違うんだ』って、柊真は言ってた。
それは、キスしたこと?
俺にキスしようとしたわけじゃなくて、なっちゃんにしたかったってこと?
だから・・・・・・
「さっくん!どうしたの?」
タクが、俺の肩を掴んだ。
「あ・・・・・・」
気付けば、俺の目からは涙が零れ落ちていた。
「さっくん・・・・俺が、いるから―――」
「タク・・・・?」
タクが、俺を抱きしめた。
「俺が、いつでも傍にいるから・・・・・だから、泣かないで」
タクの腕はあったかくて・・・・
でも、俺の心にはどこかに穴が空いているようで―――
零れ落ちる涙は、止めることができなかった・・・・・。
その夜俺は眠れなくて・・・・・
どうせ寝られないんだったら、なっちゃんに代わってもらって柊真に会いに行ってあげればいいのにと思ったんだけど、今日に限ってなっちゃんは出て来なかった。
「・・・・・何で出てこないの?柊真が来てんのに・・・・会わなくていいの?」
そう1人ごとを言ってみても、一向になっちゃんが出てくる気配はない。
「・・・・・意味わかんねえ・・・・柊真も、なっちゃんも・・・・何なんだよ・・・・」
ふとんを頭までかぶり、無理やり目を瞑る。
それでも眠気はやってこなくて、思い浮かぶのは柊真の顔ばかり。
柊真はなっちゃんの恋人で、柊真が俺の傍についててくれるのはなっちゃんが俺の中にいるからだ。
そんなこと、最初からわかっていたはずなのに柊真のことを考えると胸が痛い。
それでも、俺は柊真にそばにいて欲しいと思う。
なっちゃんが俺の中にいる間だけでもいいから―――
『コンコン』
扉をノックする音に、俺はがばっと起きあがった。
「・・・はい」
扉が静かに開き―――
顔を出したのは、柊真だった。
「柊真・・・?」
「ごめん、起こして・・・・ちょっといい?」
「・・・・どうぞ」
柊真は、中に入ってくると俺の前に立った。
「―――さっきは、ごめん。俺・・・」
「・・・・俺の方こそ、ごめん。なっちゃんが、今日は出て来てくれなくて・・・・・」
「それ!」
突然柊真が大きな声を出し、ずんずんと俺に近付くと俺の肩を掴んだ。
「それ、違うから!」
「え・・・・?」
「さっきも言ったけど・・・・俺、夏美に会いたいからここにいるわけじゃない。今も、夏美に会うために来たわけじゃない。俺はただ、咲也に誤解されたくないから・・・・・」
「誤解って・・・・・?」
柊真はじっと俺を見つめていた。
言おうか言うまいか、迷っているようにも見えた。
俺はただ、柊真を見つめその言葉を待っていた。
「・・・・・俺が、今守りたいのは・・・・・夏美じゃなくて・・・咲也だよ」
「え・・・・・?」
空耳かと思った。
それか、俺の頭がおかしくなったのかと。
「俺は、咲也を守りたい・・・・咲也が、大事なんだよ。だから、ここにいる。夏美に言われたからじゃ、ないよ」
「でも・・・・じゃ・・・・さっきのは・・・・?」
「さっきのって・・・・」
「キス・・・・したじゃん。あれは・・・・?俺のこと、なっちゃんだと思ってしたんじゃないの・・・・?」
そう言って、柊真を見上げた。
柊真は俺から目をそらせて俯いていたけれど、その耳は暗がりの中でもはっきりとわかるほど真っ赤で―――
「・・・・・あれは・・・・・咲也が、可愛くて・・・・・」
「え・・・・・俺、男だけど・・・・・」
「男だって、可愛い。咲也は、自分のことわかってないんだよ。咲也を見てるやつがどんな気持ちになるか―――」
「俺を、見てるやつ・・・・・?」
何の事だかわからなくて、俺は首を傾げた。
「よく、わからないけど・・・・・じゃあ、柊真は俺をどう見てるの?」
「だから、それは・・・!」
「ちゃんと言ってくれなきゃ、わからないよ、俺バカだもん」
俺は、柊真の手を握った。
柊真の、俺の見る目が揺れる。
「それは・・・まだ言えない・・・・」
「なんで?」
「・・・・それは・・・・言えない」
「なんで?」
「だから、それは・・・・・」
「うん?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・キス、していい?」
「・・・・・うん」
そっと目を閉じると、柊真の柔らかな唇が俺の唇に重なる。
柊真の腕が、優しく俺の体を包んだ。
あったかくてドキドキするのに、安心できる、不思議な感覚・・・・・。
―――柊真が、好きだ・・・・・。
深まるキスに、俺は柊真の首に腕を絡め、夢中で応えていた・・・・・。
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