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第22話
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イチと話すのは楽しかった。
会社では一番下っ端だった俺。
その俺の1つ上で、しかも直くんの高校の同級生。
一見、合わなさそうにも見えたけど話してみるとすごく話しやすいし、頭の回転が速いから俺の下手な説明でもすぐに汲み取ってくれて仕事もしやすかった。
だから一緒にご飯を食べてる時もすごい楽しかったんだけど―――
『悠太くん危ないし』
そう言われて、ちょっとカチンと来てしまったんだ。
年下って言っても1つしか違わないわけだし、俺は同年代で対等に付き合えると思ってたから、なんだか馬鹿にされたような気がして―――
『俺がまだ、悠太くんと一緒にいたいの』
ちょっと照れたようにそう言われて、嬉しいような、恥ずかしいような―――
不思議な気持ちだった。
でも、悪い気はしなかったから、家に誘ったんだ。
明日は休みだし、遅くなりそうだったら泊まっていってもらってもいいかなって―――
「ごめんね、悠太くん。急に来ちゃって大丈夫だった?」
意外に気ぃ使いなイチに、思わず笑う。
「何言ってんの、俺が誘ったんだよ?今誰もいないしさ、全然ウェルカムだよ」
「ならよかったけど」
「逆に、誘っちゃってよかった?待ってる彼女とかいないの?」
「いないよ、彼女なんて」
そう言ってグラスに注いだビールを口に運ぶイチ。
「そうなの?イチってもてそうだし、彼女の1人や2人いそうじゃん」
「もてないよ。なに、1人や2人って。悠太くんこそ、もてそうじゃん」
「俺は駄目、口下手だし、いつも一言余計だって母さんにも怒られてるよ」
そう。別に、女嫌いとかじゃないし彼女がいたこともあるけど―――
嘘をつくのは良くないと思って、思ってることを何でも口にしちゃうからいつも知らないうちに彼女を怒らせちゃって、結局喧嘩別れになっちゃうんだよな。
「女の子って、正直に言ってっていうくせに本当に正直に言うと怒ったりするじゃん」
「あ~、わかるわかる!あるよね、そういうこと。男同士だったら笑って済ませちゃうようなことでも、男と女だと変にぎくしゃくしちゃったりするよね」
「そうそう。そういうの面倒くさくなっちゃって、最近は男同士で遊んだりする方が気楽かなって思うよ」
「―――で、その相手が坂井だったりするんだ?」
「うん、まあそうだね。家が近いから会いやすいし」
俺は頷いてそう言ったけど―――
イチは、何となく微妙な表情で目をそらした。
なんだろ。
イチと直くんは仲がいいんだと思ってたけど―――
あ、もしかして。
「直くんは、友達多いから、俺もその中の一人だよ。イチが誘えばイチとも会うでしょ?」
「・・・・へ?・・・・ああ、まあ・・・・」
あれ・・・・?
「ごめん、直くんが俺と仲いいから妬いてんのかと思っちゃって。直くんにとっては俺もイチも同じ友達だと思うよ?」
イチは、しばらく俺の顔をぽかんとした顔で見つめていたけれど―――
急に、下を向いて大きなため息をついた。
「・・・・・・違うんだよな~~~~~~~」
・・・・・・・・・
俺、なんかまずいこと言った・・・・・?
会社では一番下っ端だった俺。
その俺の1つ上で、しかも直くんの高校の同級生。
一見、合わなさそうにも見えたけど話してみるとすごく話しやすいし、頭の回転が速いから俺の下手な説明でもすぐに汲み取ってくれて仕事もしやすかった。
だから一緒にご飯を食べてる時もすごい楽しかったんだけど―――
『悠太くん危ないし』
そう言われて、ちょっとカチンと来てしまったんだ。
年下って言っても1つしか違わないわけだし、俺は同年代で対等に付き合えると思ってたから、なんだか馬鹿にされたような気がして―――
『俺がまだ、悠太くんと一緒にいたいの』
ちょっと照れたようにそう言われて、嬉しいような、恥ずかしいような―――
不思議な気持ちだった。
でも、悪い気はしなかったから、家に誘ったんだ。
明日は休みだし、遅くなりそうだったら泊まっていってもらってもいいかなって―――
「ごめんね、悠太くん。急に来ちゃって大丈夫だった?」
意外に気ぃ使いなイチに、思わず笑う。
「何言ってんの、俺が誘ったんだよ?今誰もいないしさ、全然ウェルカムだよ」
「ならよかったけど」
「逆に、誘っちゃってよかった?待ってる彼女とかいないの?」
「いないよ、彼女なんて」
そう言ってグラスに注いだビールを口に運ぶイチ。
「そうなの?イチってもてそうだし、彼女の1人や2人いそうじゃん」
「もてないよ。なに、1人や2人って。悠太くんこそ、もてそうじゃん」
「俺は駄目、口下手だし、いつも一言余計だって母さんにも怒られてるよ」
そう。別に、女嫌いとかじゃないし彼女がいたこともあるけど―――
嘘をつくのは良くないと思って、思ってることを何でも口にしちゃうからいつも知らないうちに彼女を怒らせちゃって、結局喧嘩別れになっちゃうんだよな。
「女の子って、正直に言ってっていうくせに本当に正直に言うと怒ったりするじゃん」
「あ~、わかるわかる!あるよね、そういうこと。男同士だったら笑って済ませちゃうようなことでも、男と女だと変にぎくしゃくしちゃったりするよね」
「そうそう。そういうの面倒くさくなっちゃって、最近は男同士で遊んだりする方が気楽かなって思うよ」
「―――で、その相手が坂井だったりするんだ?」
「うん、まあそうだね。家が近いから会いやすいし」
俺は頷いてそう言ったけど―――
イチは、何となく微妙な表情で目をそらした。
なんだろ。
イチと直くんは仲がいいんだと思ってたけど―――
あ、もしかして。
「直くんは、友達多いから、俺もその中の一人だよ。イチが誘えばイチとも会うでしょ?」
「・・・・へ?・・・・ああ、まあ・・・・」
あれ・・・・?
「ごめん、直くんが俺と仲いいから妬いてんのかと思っちゃって。直くんにとっては俺もイチも同じ友達だと思うよ?」
イチは、しばらく俺の顔をぽかんとした顔で見つめていたけれど―――
急に、下を向いて大きなため息をついた。
「・・・・・・違うんだよな~~~~~~~」
・・・・・・・・・
俺、なんかまずいこと言った・・・・・?
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