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1章 出会い
小隊長イリス
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「こちらに来い。」
「いや!街の皆にこんな酷いことをして……誰か分からないけど絶対に許さない!」
「はぁ……めんどうだ。連れていけ。」
「っ!……シエル……!」
俺は気配を消したまま、屋根から飛び降りた。
サヘラと兵士の間に立ち、近づいた兵士たちを鞘に入れたままの剣で横に薙いで吹き飛ばした。
「めんどうなのはどっちだよ。」
そしてこの場にいる全員に聞こえる声でそう言った。
「シエル!!」
サヘラはこんな状況でも嬉しそうに俺の名前を呼んだ。
お前が狙われているんだぞと言ってしまいそうになり、深々と溜め息を吐いた。
だが、正直そんなことを言えるほど余裕は無い。
無理矢理サヘラを助けるために無謀に敵部隊に突っ込んだこともあるが、サヘラの腕の中に少女がいるのだ。
サヘラと少女に目立った外傷は無いが、守る対象が増えるとなると少し不利になる。
「その子は?」
「えっと、逃げてるうちにママとはぐれちゃったんだって……だから一緒にここから逃げようとしたら、この人がしつこく邪魔してくるの!」
そう言ってサヘラは男の方を指差した。
目の前に立つ黒髪の長髪の男が着ている鎧は、周りにいるやつらよりも装飾が異なり、こういった状況にも関わらず落ち着いている。
なるほど。多分こいつがこの騒ぎのリーダーだろう。
確実にサヘラを狙っている。
「……何者だ?」
「聞く前に自分が名乗ったらどうだ?」
男の質問に対して反抗してみる。
「それもそうか。」
先程の兵士たちとは違い、男は冷静だった。
「俺の名はイリス。見ての通りエデュス国の騎士であり、この隊を率いている。」
イリスと名乗った男は堂々とそう言った。
主犯だと言っているようなものだ。
「お前の名は?」
「……シエル。」
奴の質問に対して俺も名乗る。
「ほう……シエルとやら。なぜ貴様はここにいるのだ?ここの住人と共に逃げればよかっただろう?貴様にそいつは関係ないはずだ。そいつをこちらに渡せばここで見逃してやってもいい。」
イリスがそんなことを言ってきた。
確かに俺にとってサヘラは赤の他人。
記憶喪失で何者かも分からない。
だが──
「……お前も国の兵隊なら分かるだろ。」
俺はサヘラと少女を後ろに、剣先をイリスへ向けた。
「何かを守るために剣を振るえ。理由なんてそれだけで十分だ。」
これは小さい頃によく言われた言葉だ。
守るだなんて大層な言葉を吐いたが、元々俺がサヘラをこの街に置いていったせいで被害が出たのだ。
責任を背負わなければならない。
これ以上被害を出さないよう、こいつらをここで止めるんだ。
「ならば貴様を殺してでもその女を連れていこう。」
俺の発言にイリスも剣を抜き、真っ直ぐとこちらに構える。
イリスの言葉に危険を感じたのか、サヘラも警戒を強めていた。
以前状況は変わらず、はっきり言って不利だ。
せめてサヘラたちがここから離れてくれれば、戦闘がしやすく、リスクも少ない。
「……お前らはなんでこいつを狙うんだ?」
張り詰めた空気の中、そんな質問を投げた。
そもそも何故サヘラがエデュス国の連中に狙われているのかが分からない。
当の本人は記憶喪失のせいで何も分からないが、こいつらは何か知っているだろう。
そう思っていたのだが、返ってきた答えは一度聞いたことがあるものだった。
「私にそれを知る権利は無い。ただ王の命令で動いているだけだ。」
それは家に来たあの兵士と同じ答え。
隊を率いるこいつですら聞かされていないだと?
エデュス国の王は一体何を考えているんだ……?
サヘラは……一体何者なんだ……?
疑問が深まるばかりだった。
「なら──」
他にも質問をしようとしたが、
「もういいか?」
イリスが一瞬にして距離を詰めてきた。
振りかざされた剣を反射的に剣で受ける。
……振りが速い。兵を多く持つだけはある。
「ほう、これを受けるか。ならば──」
イリスが剣から片手を離し、こちらに向ける。
その手が青白く光り、小さな球体が形成されていった。
恐らく魔弾だろう。
だが、その手は俺には効かない。
放たれる前にその球体は溶けるように消えていった。
「なんだ?」
「離れろ。」
受けた手とは逆の手でナイフを取り出し、横に薙いだ。
イリスはバックステップでそれを避ける。
それに追撃するよう、ナイフを投げた。
しかし、ナイフは弾き落とされ、イリスは少し離れた所で再び剣を構えた。
「シエル……」
後ろで少女を抱えるサヘラが不安そうな声を上げる。
「その子を連れてここから逃げろ。それが今お前にできることだ。」
と言っている場合では無さそうだ。
イリスが隙のない構えで少しずつ距離を縮めてきている。
「貴様の魔法か?」
「さぁな。」
俺は構えながら一定距離を保つ。
……ここから動くのは不可能だな。
離れればサヘラたちを守ることができなくなる。
2人をここから逃がせばなんとかなりそうだが。
しかし相手は先程までの雑魚とは違う。
イリスはそんな俺を見て、一気に距離を詰めてきた。
直ぐ様、防御態勢に入る。
一回目の剣撃が鳴ると同時に、イリスが凄まじい連撃を見せる。
「どうした?守ってるだけでは勝てんぞ?」
イリスは嫌な笑みを浮かべてそんなことを言った。
避けるとサヘラたちに危険が及ぶことをこいつは理解している。
めんどうだ……どうしようか……
剣を受けながら思考を巡らせる。
「シエル……血が……!」
周りにいる他の兵士たちの警戒を怠らないよう、最低限の防御をしているため、完璧に防ぎ切れず、皮膚が少し切られている。
サヘラはそれを心配しているのだろう。
こういうことは慣れていると言えば嘘になるが、それなりに戦闘経験があり、大したことではない。
「死ねぇ!」
するとサイドから一人の兵士が剣を突き出す。
俺はイリス剣を強く弾き、勢いのまま体を回転させる。
そして兵士に向けて、強烈な回し蹴りを入れた。
兵士は後方に飛ばされ、地面を転がっていった。
「その体勢で受けられるか?」
「チッ……!」
咄嗟に剣を受けるが──
パキィィン……
甲高い音と共に剣が折れ、刃の先が地面に刺さった。
イリスがその隙を見逃す訳がなく、蹴りを入れてきた。
蹴りの勢いは強く、体が宙に浮いたが、地面に手をつき反動を少し抑え、足を地に着けた。
「中々の身体能力だな。どこで身に付けた?」
「言っても無駄だろ。」
強気でそう言ったものの、剣がない。
素手と剣では力の差はあまりにも大きい。
さらには──
「離して!」
俺が離れたことにより、サヘラと少女が捕まっていた。
さっきの小部隊の隊長……もう集まってきたのか……
「おっと動くなよ?」
サヘラと少女の首に剣を向ける。
武器を失い、人質を取られるという最悪の状況となってしまった。
「いや!街の皆にこんな酷いことをして……誰か分からないけど絶対に許さない!」
「はぁ……めんどうだ。連れていけ。」
「っ!……シエル……!」
俺は気配を消したまま、屋根から飛び降りた。
サヘラと兵士の間に立ち、近づいた兵士たちを鞘に入れたままの剣で横に薙いで吹き飛ばした。
「めんどうなのはどっちだよ。」
そしてこの場にいる全員に聞こえる声でそう言った。
「シエル!!」
サヘラはこんな状況でも嬉しそうに俺の名前を呼んだ。
お前が狙われているんだぞと言ってしまいそうになり、深々と溜め息を吐いた。
だが、正直そんなことを言えるほど余裕は無い。
無理矢理サヘラを助けるために無謀に敵部隊に突っ込んだこともあるが、サヘラの腕の中に少女がいるのだ。
サヘラと少女に目立った外傷は無いが、守る対象が増えるとなると少し不利になる。
「その子は?」
「えっと、逃げてるうちにママとはぐれちゃったんだって……だから一緒にここから逃げようとしたら、この人がしつこく邪魔してくるの!」
そう言ってサヘラは男の方を指差した。
目の前に立つ黒髪の長髪の男が着ている鎧は、周りにいるやつらよりも装飾が異なり、こういった状況にも関わらず落ち着いている。
なるほど。多分こいつがこの騒ぎのリーダーだろう。
確実にサヘラを狙っている。
「……何者だ?」
「聞く前に自分が名乗ったらどうだ?」
男の質問に対して反抗してみる。
「それもそうか。」
先程の兵士たちとは違い、男は冷静だった。
「俺の名はイリス。見ての通りエデュス国の騎士であり、この隊を率いている。」
イリスと名乗った男は堂々とそう言った。
主犯だと言っているようなものだ。
「お前の名は?」
「……シエル。」
奴の質問に対して俺も名乗る。
「ほう……シエルとやら。なぜ貴様はここにいるのだ?ここの住人と共に逃げればよかっただろう?貴様にそいつは関係ないはずだ。そいつをこちらに渡せばここで見逃してやってもいい。」
イリスがそんなことを言ってきた。
確かに俺にとってサヘラは赤の他人。
記憶喪失で何者かも分からない。
だが──
「……お前も国の兵隊なら分かるだろ。」
俺はサヘラと少女を後ろに、剣先をイリスへ向けた。
「何かを守るために剣を振るえ。理由なんてそれだけで十分だ。」
これは小さい頃によく言われた言葉だ。
守るだなんて大層な言葉を吐いたが、元々俺がサヘラをこの街に置いていったせいで被害が出たのだ。
責任を背負わなければならない。
これ以上被害を出さないよう、こいつらをここで止めるんだ。
「ならば貴様を殺してでもその女を連れていこう。」
俺の発言にイリスも剣を抜き、真っ直ぐとこちらに構える。
イリスの言葉に危険を感じたのか、サヘラも警戒を強めていた。
以前状況は変わらず、はっきり言って不利だ。
せめてサヘラたちがここから離れてくれれば、戦闘がしやすく、リスクも少ない。
「……お前らはなんでこいつを狙うんだ?」
張り詰めた空気の中、そんな質問を投げた。
そもそも何故サヘラがエデュス国の連中に狙われているのかが分からない。
当の本人は記憶喪失のせいで何も分からないが、こいつらは何か知っているだろう。
そう思っていたのだが、返ってきた答えは一度聞いたことがあるものだった。
「私にそれを知る権利は無い。ただ王の命令で動いているだけだ。」
それは家に来たあの兵士と同じ答え。
隊を率いるこいつですら聞かされていないだと?
エデュス国の王は一体何を考えているんだ……?
サヘラは……一体何者なんだ……?
疑問が深まるばかりだった。
「なら──」
他にも質問をしようとしたが、
「もういいか?」
イリスが一瞬にして距離を詰めてきた。
振りかざされた剣を反射的に剣で受ける。
……振りが速い。兵を多く持つだけはある。
「ほう、これを受けるか。ならば──」
イリスが剣から片手を離し、こちらに向ける。
その手が青白く光り、小さな球体が形成されていった。
恐らく魔弾だろう。
だが、その手は俺には効かない。
放たれる前にその球体は溶けるように消えていった。
「なんだ?」
「離れろ。」
受けた手とは逆の手でナイフを取り出し、横に薙いだ。
イリスはバックステップでそれを避ける。
それに追撃するよう、ナイフを投げた。
しかし、ナイフは弾き落とされ、イリスは少し離れた所で再び剣を構えた。
「シエル……」
後ろで少女を抱えるサヘラが不安そうな声を上げる。
「その子を連れてここから逃げろ。それが今お前にできることだ。」
と言っている場合では無さそうだ。
イリスが隙のない構えで少しずつ距離を縮めてきている。
「貴様の魔法か?」
「さぁな。」
俺は構えながら一定距離を保つ。
……ここから動くのは不可能だな。
離れればサヘラたちを守ることができなくなる。
2人をここから逃がせばなんとかなりそうだが。
しかし相手は先程までの雑魚とは違う。
イリスはそんな俺を見て、一気に距離を詰めてきた。
直ぐ様、防御態勢に入る。
一回目の剣撃が鳴ると同時に、イリスが凄まじい連撃を見せる。
「どうした?守ってるだけでは勝てんぞ?」
イリスは嫌な笑みを浮かべてそんなことを言った。
避けるとサヘラたちに危険が及ぶことをこいつは理解している。
めんどうだ……どうしようか……
剣を受けながら思考を巡らせる。
「シエル……血が……!」
周りにいる他の兵士たちの警戒を怠らないよう、最低限の防御をしているため、完璧に防ぎ切れず、皮膚が少し切られている。
サヘラはそれを心配しているのだろう。
こういうことは慣れていると言えば嘘になるが、それなりに戦闘経験があり、大したことではない。
「死ねぇ!」
するとサイドから一人の兵士が剣を突き出す。
俺はイリス剣を強く弾き、勢いのまま体を回転させる。
そして兵士に向けて、強烈な回し蹴りを入れた。
兵士は後方に飛ばされ、地面を転がっていった。
「その体勢で受けられるか?」
「チッ……!」
咄嗟に剣を受けるが──
パキィィン……
甲高い音と共に剣が折れ、刃の先が地面に刺さった。
イリスがその隙を見逃す訳がなく、蹴りを入れてきた。
蹴りの勢いは強く、体が宙に浮いたが、地面に手をつき反動を少し抑え、足を地に着けた。
「中々の身体能力だな。どこで身に付けた?」
「言っても無駄だろ。」
強気でそう言ったものの、剣がない。
素手と剣では力の差はあまりにも大きい。
さらには──
「離して!」
俺が離れたことにより、サヘラと少女が捕まっていた。
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