鬼の剛崎さんはΩです

サブマリン

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2話

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ピピピ、ピピピ、ピッ

 朝はどうにもボーっとする。
 無機質なアラーム音に起こされた俺はベットから起き上がり顔を洗いにいった。
 時刻は7:30分、朝のHRまで残り1時間なので少し急いで準備をする。風紀委員として遅刻は許されない。
 冷たい水により少し頭がクリアになった所で朝食を作る。今日の朝食は、いつも通りトースト2枚に卵焼き、サラダだ。朝は食べるのが億劫になるが食べておかないと力が出ないのでしっかりと食べる派だ。
 ちなみに同室者はいない。本来はΩ同士で二人一部屋なのだが、奇数人数で偶然一人部屋になる事ができた。

 朝食を食べ終わり、抑制剤を水と一緒に流し込む。時刻は8:10分。少し焦りながら制服を羽織り、その他身支度整えてから部屋を出た。


♢♢♢♢♢♢♢♢

5月上旬春の陽気はだいぶ落ち着いて、夏が近づいてきたような気がする。
俺はそんな取り止めのない事を考えながらボーっと校舎までの道のりを歩いていた。

「しんちゃんおッはよー!」
「うぉ」

 俺に突進してきたのは、同じクラスメイトの吉田博喜(よしだひろき)同じ風紀委員だ。
 隣に並ぶとだいぶ身長差があるのでつむじがよく見える。頭の隅にある寝癖が気になってしょうがない。

「おい、危ない」
「ごめんごめん~」

 謝罪と言えないほどふわふわとした声を出しながら俺から離れた。
 博喜は常に何も考えてなさそうな雰囲気を出しているが、風紀の仕事をバリバリこなす奴だ。
意外とできる奴で博喜の話術には尊敬していr「あ~~~~~~~~!!!!!」

「……………………………………突然なんだ」

前言撤回だ。朝からこんなデカい声を出す奴を尊敬したくは無い。

博喜は身を乗り出しながら興奮した様子で俺に問いかけた

「そういえば!昨日委員長に呼ばれたでしょ!?なに話してたの?もしかして愛の告白!????!」
「はぁ…………そんなわけないだろ」

思わず溜息が出てしまった。こいつはやっぱりバカだ。それに博喜はなんでもかんでも恋愛に繋げたがる傾向にある、気がする。少女漫画とかの読みすぎではないだろうか。

「じゃあ何話してたの~?」

俺はざっくりと伝えられる内容を話した。
話を全て聞き終わった博喜は、楽しそうな様子から一変つまらなそうな顔をしだした。


……やはりコイツはよく分からん。 


「ふーーん大変そうだね、まぁ、大丈夫でしょしんちゃんなら!」
「あぁ」
「それといつから転校生の監視始めるの?」
「今日の昼からだ」
「じゃあ一緒に食堂行こ!多分初めての日は食堂に案内されるでしょ!」 
「そうだな、昼は転校生の教室行ってから食堂いくぞ」
「アイアイサー!」

そこからは他愛のない話をしながら教室に向かった。


♢♢♢♢♢♢♢♢


四限目が終わると同時に、博喜と共に急いで上の階へ向かった。転校生のいる1-Sの教室に行く為だ。
 このような時、抱かれたいランキング上位の委員長や副委員長だったら廊下が大騒ぎになるのだが、同じく上位の俺がいても騒ぎがない。なんならむしろいつもより静かになる。親衛隊がいないからそれはそうなのだが。このように尾行をする時はとても助かるが、少しだけ複雑な気分になるのは内緒だ。

 1-S教室前階段の柱に隠れつつ、転校生を探す。
とても整った顔立ちをしていたしすぐ分かると思うのだが………昨日見せられた証明写真を思い出しながら探した。

ーー
ーーー
ーーーー

 全然いないんだが…………
 何故だ?実はもう委員長がSクラスから他のクラスに移行を、、?いや絶対に違うそれだったら連絡が来ているはずだ。冷や汗が出てきた。このまま転校生を見つけられないまま昼が終わってしまう。俺を信頼してくれている委員長に幻滅される。それは避けたい所だ。


「雫石急いで、お昼の時間終わっちゃうよ?」
「おい、雫石急かすんじゃねーよボケ」

 ハッと前を向いた。Sクラスから爽やかな笑顔の生徒と
ヤンキーチックな生徒が出てきた。彼らが呼ぶ"雫石"とは転校生の事である。

 これでようやく仕事を始められる、ホッとしながら彼らの後を追おうと立ち上がった。

「………」
「えっ?」

横からマヌケな声が聞こえる。
いやもしかしたら自分の声かもしれない。

いやおかしいだろ。



「何故……………アフロになっているんだ………?」


あの美少年はどこに行ったのだろうか。
思わず放心してしまった。



 

♢♢♢♢♢♢♢



剛崎達が去った後………

「やばいやばいやばい!剛崎様やばい!!!!」(小声)
「包容力えぐそう………あの胸筋に包まれて死にたい」(小声)
「みんな静かにして!まだ階段にいるわ!剛崎様は今お仕事中なのですよ!」(小声)

 抱かれたいランキング4位の剛崎にも勿論親衛隊がいる。と言っても、風紀委員は親衛隊の発足が認められていない為非公式だが。
 剛崎は口数が少ない事から、できるだけ彼がいる時は私語を慎む。そんなルールができていた。
今日も剛崎親衛隊は、密かに剛崎の事を見守っている





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