転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
761 / 1,191
第二十九章 新しい町を作ろう!

九百五十七話 衛星都市建設予定地の測量

しおりを挟む
 ということで、王都の衛星都市建設を早めることになり、僕たちは現地調査にいきました。
 王都から馬車で一時間ほどの距離にあるちょっと岩がゴロゴロしているところで、現地測量の兵も来ています。
 今日の保護者役は、王家が忙しいのでカーセント公爵です。

「ここは地盤はしっかりしていて地面を掘れば井戸水も出てくるのですが、如何せん岩がたくさん転がっています」
「昔あった大岩が風化した物だと言われておりますが、これを処分するのがかなり大変です」

 職員が説明するけど、確かに環境は良いのに目の前にある岩がとても邪魔です。
 僕たちの背丈以上はあって、小さく割って運ぶこともできるけど労力がかなり大変です。
 触ってみるとかなり硬いですね。

「すみません、これって建築資材として使えますか?」
「あっ、はい、使用可能です。過去にお家で必要な資材を切り出していたそうです」

 ふむふむ、全てまっさらにしようかと思っていたけど、それはやめた方が良さそうです。
 むしろ、石材の切り出し場所として有効活用できそうです。
 ということで、作戦は決まりました。

「じゃあ、僕とスラちゃん、プリンで、岩が多い方に岩をまとめますね」
「「はっ?」」

 職員が何言っているのって表情をしているけど、このくらいなら全然大丈夫です。
 一緒についてきたカーセント公爵は、僕たちが何をするのか分かったので思わず苦笑していました。

 シュッ、シュッ、シュッ。

「「はあああ!?」」

 目の前から巨石が消えていき、職員がおかしい叫び声をあげていました。
 ある程度アイテムボックスに収容したら、どんどんと反対側に置いていきます。
 もちろん、岩が崩れないように気をつけます。

「カーセント公爵、こんな感じでいいですか?」
「おお、大丈夫だ。どんどんやってくれ」

 オッケーも出たので、僕たちはどんどんと岩をアイテムボックスに入れて運んでいきます。
 こうして、一時間もあれば大抵の岩は運び終えました。
 後は小さな石ばかりなので、まとめて平らにしちゃえばいいですね。

「すみません、後は何をすればいいですか?」
「は、はい、測量を行います……」
「凄い、これが副宰相の魔法……」

 職員が何がブツブツと呟いているけど、気を取り直して兵と一緒に測量を始めた。
 後は、暫く待ちですね。

「リズ、やることがない……」
「じゃあ、お茶の準備をしよー!」

 シュッ、ドーン。

 僕がリズに声をかけようとしたら、リズは既にこの前購入した店舗型の家をマジックバッグから取り出していた。
 最低限のテーブルやイスに家事型の魔導具もセットされていて、リズとサンディ、イヨはお茶の準備を始めていた。
 最新魔導具のトイレも完備しているし、おもてなしは完璧です。
 僕たちだけでなく、カーセント公爵もちょっと呆れながら店の中に入った。
 せっかくなので、アイテムボックスに入っている甘味も出そう。

「こんなところで、店に入ってティーブレイクできるとは。いやはや、びっくりしたぞ」
「こういうものがマジックバッグ入る、リズの魔力が凄いんですけどね」
「これも、アレク君がいつも一緒に一生懸命訓練している証拠だな」

 カーセント公爵は、お菓子をつまみながら厨房であーだこーだーやっているリズたちを眺めていました。
 スラちゃんもいるから、味を間違えることもないでしょう。
 まあ、毎朝訓練は厳しくしているし、効果はあると思います。
 こうして、職員の測量が終わるのを待って王都に戻りました。

「アレク君の判断は間違っていない。採石を生業とするものにとっては好環境だろう」

 宰相に報告したけど、逆に仕事があるよと人を集めるのに良いアピールになるそうです。
 冒険者も住みやすいし、少し頑張れば畑もできるので環境としては悪くないと思います。
 後は、職員がどんな計画を立案してくるかを待つばかりですね。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

放逐された転生貴族は、自由にやらせてもらいます

長尾 隆生
ファンタジー
旧題:放逐された転生貴族は冒険者として生きることにしました ★第2回次世代ファンタジーカップ『痛快大逆転賞』受賞★ ★現在4巻まで絶賛発売中!★ 「穀潰しをこのまま養う気は無い。お前には家名も名乗らせるつもりはない。とっとと出て行け!」 苦労の末、突然死の果てに異世界の貴族家に転生した山崎翔亜は、そこでも危険な辺境へ幼くして送られてしまう。それから十年。久しぶりに会った兄に貴族家を放逐されたトーアだったが、十年間の命をかけた修行によって誰にも負けない最強の力を手に入れていた。 トーアは貴族家に自分から三行半を突きつけると憧れの冒険者になるためギルドへ向かう。しかしそこで待ち受けていたのはギルドに潜む暗殺者たちだった。かるく暗殺者を一蹴したトーアは、その裏事情を知り更に貴族社会への失望を覚えることになる。そんな彼の前に冒険者ギルド会員試験の前に出会った少女ニッカが現れ、成り行きで彼女の親友を助けに新しく発見されたというダンジョンに向かうことになったのだが―― 俺に暗殺者なんて送っても意味ないよ? ※22/02/21 ファンタジーランキング1位 HOTランキング1位 ありがとうございます!

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。