転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
1,025 / 1,192
第三十二章 新入生

千二百二十一話 みんなで王城に集まって自己紹介です

しおりを挟む
 卒園式の翌日、僕は予定通りルーカスお兄様の結婚式の打ち合わせを行うために王城に行くことになっています。

「ふんふんーん、みんなと一緒に遊ぶの楽しみだなー!」

 リズはクラスメイトの屋敷に遊びに行く予定で、サンディも一緒についていきます。
 リズは朝からウキウキが止まらなくて、鼻歌を歌いながら荷物の準備をしていました。
 因みに、イヨも一緒について行くことになっていて、相変わらずの無表情ながらもワクワクが見て取れました。

「リズ、ちゃんと屋敷の人に会ったら挨拶をするんだよ」
「大丈夫だよ、バッチリ挨拶するよ!」

 リズは挨拶とかはキチンとする方だけど、他人の屋敷に行くのでキチンと言っておきます。
 因みに、エレノアはスラちゃんが迎えに行くそうです。
 そして、僕はみんなに手を振りながら王城に向かいました。

「準備はバッチリなの。後は、スラちゃんを待つだけなの」

 王城に着くと、エレノアも準備万端って感じで僕を迎えてくれました。
 クラスメイトの屋敷に遊びに行くのが、待ち遠しいって感じですね。
 因みに、ルカちゃんとエドちゃんたちは今日は勉強がお休みなので、後で僕の屋敷に遊びに行くそうです。

「はあ、私も遊びに行きたかった……」

 そんな中、どよーんとした空気を隠す気がないのが、僕と一緒にルーカスお兄様の結婚式の会議に酸化するルーシーお姉様でした。
 二日間のお休みの後は生徒会長として入園式に向けて忙しくなるから、今のうちに遊びたかったみたいですね。
 因みに、ルーシーお姉様の従魔のピーちゃんは、エリちゃんのところに行って遊んでいるそうです。
 プリンはというと、いつも通り僕の頭の上でスヤスヤと寝ているけどね。

「ほらほら、会議は長くない予定だしすぐに終わるわよ」
「はーい……」

 苦笑しているティナおばあさまに促されても、ルーシーお姉様のやる気は低空飛行でした。
 僕も長い会議は好きじゃないので、さっさと終わらせちゃいましょう。
 僕はゲートで来賓を呼びつつ、会議室に向かいました。

「その、何で私までこの会議に呼ばれているのでしょうか……」

 会議室に行くと、珍しく固まってしまっているヤザンさんの姿がありました。
 昨日卒園式で学園を卒業したばかりだけど、よく考えると生徒会長でカーセント公爵の孫でもあるんだよね。
 そうなると、アイビー様の弟として会議に参加しても問題ないと思います。
 しかし、初めてヤザンさんに会う人もいるので、今日来た来賓に紹介しましょう。
 因みに、教皇国から来たカレン様は炊き出しなどでヤザンさんの事を知っています。
 帝国からは皇妃様とリルム、教皇国からはカレン様と外交担当のいつもの枢機卿、共和国からはクレイモアさんと部下が来ています。
 若干クレイモアさんが、ヤザンさんの事を獲物を狙う目で見ているのは気のせいでしょうか……

「えっと、アイビー様の弟で昨日学園を卒業したヤザンさんです。生徒会長をしていて、僕に生徒会のことを色々と教えてくれました」
「「「おおー」」」
「アレク君、その説明はちょっと大げさな気がするよ……」

 ヤザンさんがかなり苦笑しているけど、生徒会長として僕に色々と教えてくれたのは間違いないもんね。
 そして、この話を聞いたクレイモアさんのテンションが上がったのは気のせいでしょうか……
 クレイモアさん、先ずは会議を優先しましょうね。
 すると、今度はリルムが僕に話しかけてきたのです。

「アレクお兄ちゃん、リルムも後でリズちゃんとエレノアちゃんのところに遊びに行きたいな」

 上目遣いで見てきたのだけど、流石に帝国の皇女様なので勝手な判断はできません。
 皇妃様の方を向いたら、ニコリと頷いていました。
 もしかして、最初からリルムがリズとエレノアのところに遊びに行くのが決まっていた?
 しかも、今日はメアリのところに遊びに行っているから、まさに話をするところなんだよね。
 すると、カーセント公爵がこんな事を言ってきたのです。

「ここにいる方をご招待することもあるだろう。これだけの方が来られるなんて、我が家の誇りだ」

 カーセント公爵も、この事態を予想していたみたいです。
 もちろん、念の為に近衛騎士などが護衛に付きます。
 ではでは、さっそく会議を始めましょう。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

悲恋小説のヒロインに転生した。やってらんない!

よもぎ
ファンタジー
悲恋ものネット小説のヒロインに転生したフランシーヌはやってらんねー!と原作を破壊することにした。

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。