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第二章 バスク子爵領

第七十話 ブルーノ侯爵領にむけての作戦会議

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「アルス王子、我々はいつブルーノ侯爵領へ出発すれば良いですが?」
「可能なら明日朝に囚われていた子ども達を迎えに来る部隊が着く。その後に出発してほしい。調査は長くても一週間で、結果次第で直ぐにブルーノ侯爵邸を抑えにかかる」
「俺らも子ども達は見送りたいですね」

 まだ闇ギルドからの襲撃がないとは断言出来ないため、子ども達を見送るまでは俺達も見守らないと。
 後は変装セットがいつできるかだな。
 あっ、あの子達はどうしようか。

「アルス王子、テリー様。俺に懐いている三人の子どものあつかいはどうしますか?」
「あの子ども達は、まだ親の事等がはっきりしない。かといってサトーから引き離すと駄々をこねるのも目に見えている。暫くはサトーの元で面倒を見るのがいいだろう」
「サトー殿がブルーノ侯爵領に行っている間は、バスク邸で責任をもって預かりましょう」
「すみません、アルス王子、テリー様」

 取り敢えず話し合いはこんなものかな。
 後は早めにみんなと打ち合わせをしよう。
 あっ、そうだ。エステル殿下とリンさんの件はどうしようか。

「アルス王子、エステル殿下とリンさんの件は、暫くは伏せておいた方がいいですか?」
「うーん、まだ未確定ではあるし情報漏れるのはまずいから、まだ伏せておこう。まあ二人の雰囲気が明らかに変わっているから、気づく人は気づくな」
「そうですよね。暫くは呼び方もそのままにしておきます」
「えー、呼び方そのままになの?」
「エステル殿下、事件が解決するまでですよ」
「よし。あのクズムシダインを、さっさと殺っちまおう」
「エステル殿下、わたしも同意見です」

 エステル殿下にリンさん、事件解決までとはいえ元婚約者の貴族嫡男を殺っちまおうとは。
 なんかこの元婚約者は、モブ扱いであっという間にやられちゃいそうだ。

 今後の事を話し合うため、オリガさんやマリリさん含めて俺の部屋に移動……なのだが、俺の後ろからの視線が痛い。

「あのー、エステル殿下にリンさん。何で腕を組んでいるんですか?」
「むふふ、いいじゃない」
「そうです!」

 エステル殿下とリンさんが、俺の腕を組んでくる。
 二人ともテンション上がりまくりだ。
 前世でもこんな経験ないし、柔らかくて気持ちいいし、いい匂いだし。

「はあ、サトーがいくら自制してもエステルお姉様は隠す気がないのじゃ」
「リン様がはしゃいでますね」
「なんだオリガよ、お主も休日はガルフとあんな感じではないのか?」
「私にはあんな感じは無理です……」

 ビアンカ殿下とオリガさんが何か話しをしているが、そういえばここにいるメンバーはルキアさん以外みんな婚約者がいるんだ。
 後でガルフさんとマルクさんに、色々アドバイスを聞こう。

「ほら、部屋につきますから流石に離れて下さい」
「じゃあ、後でもう一回やる」
「エステル殿下だけズルいです。わたしもやります」
「はあ」

 なんかため息しか出ないぞ。
 特にリンさんの豹変ぶりにビックリだ。

「サトーよ、既に尻に敷かれておるぞ」

 ビアンカ殿下、既に諦めてますよ。

 かちゃ。

「うるさいとおもったらお兄ちゃんだった。お兄ちゃん、リンお姉ちゃんとエステルお姉ちゃんと何で腕を組んでいるの?」
「ミケよ、俺が知りたい」
「うん?」

 どうも廊下がうるさくてミケが先にドアをあけた。
 まだ両サイドから腕を組まれている俺を見て、なんだか不思議そうに見ていた。

「「あ、お兄ちゃんだ!」」
「パパ、おかえり」
「ただいま、良い子にしていたか?」
「「「うん!」」」
「じゃあ、後でご褒美をあげよう」
「「「やった!」」」

 ドアをあけたら、三人が俺に抱きついてきたので頭を撫でてあげた。
 三人は大人しく待っていたようだ。
 ご褒美は何がいいかな?
 ひとまず先に話をしよう。

「さて、早ければ明日の朝に違法奴隷とされた子どもの迎えの部隊が来ます。俺達は、早ければその部隊を見送り後にブルーノ侯爵領に出発します」
「では今日中に準備をしないといけませんね」
「はい、後は既に我々は闇ギルドに顔が知られているので、道中並びにブルーノ侯爵領では変装をしていきます」
「ミケも変装するの?」
「特にミケは別の意味で変装が必要だな。ブルーノ侯爵領は貴族主義の人が多いから、獣人だと泊まれない可能性もある。人間に変装だな」
「おお、ミケは人間になるよ!」

 ブルーノ侯爵領では何が起きるか全く分からないので、用心に用心を重ねないと。
 特にミケは獣人だから、特に用心しないとな。

「一週間を目処にして領主邸の制圧を目指すことになる。先ずは現地の情報収集からだな」
「うむ、出来るだけ早く制圧したいのじゃが、事を急いでは失敗の原因じゃ。最低でも領主邸の中の情報だけでも集める」
「今回は特にタラちゃん達のアルケニー組と、ヤキトリ達の鳥組が重要になる。負担が大きくなるかもしれないが頼むぞ」
「任せて、サトーお兄ちゃん」
「主のために頑張ります」
「全てはマスターのために」

 俺とビアンカ殿下で作戦に関しての話をしたが、前回以上にタラちゃん達の負担が大きそうだ。
 
「タラちゃん達の情報を元に、行ければホワイトも潜入してもらう。よろしくな」
「チュウ!」

 多分、今回の作戦の要がホワイトだ。
 恐らくルキアさんが住んでいた時に比べて、屋敷の構造が変わっている可能性もある。
 どこに何があるか把握しないと。

「はーい、ブルーノ侯爵領には誰が向かうのですか?」
「マリリよ、良い質問じゃ。今回はサトーに妾にエステルお姉様、それとミケにリンにオリガにマリリなのじゃ。ガルフとマルクはワース商会の件等でこちらに残るのじゃ」
「あれ、お兄ちゃん。ララとリリとレイアは?」
「今回はお留守番だ。特に貴族主義の所だから、三人には危ない所だし」
「「「えー!」」」
「ごめんな、俺達も早くお仕事終わりにするからね」
「「「うー」」」

 三人が文句を言うが、こればかりはどうしようもない。
 ガルフさん達も連れていけないのに、子ども達を連れて行くのは難しいよ。

「リーフにシルもスラタロウも一緒だ。ベリルは引き続き子ども達の護衛を頼むぞ」
「ウォン」

 ベリルもまだ連れては行けない。
 色々と経験が不足している。もう少ししたらだな。

「さて、大体はこんなもんだな。この後街に買い物に行く予定だ」
「主よ、質問があるぞ」
「何だ、シル」
「どうしてエステルとリンが主にくっついているのだ?」
「スルーしてくれ」
「スルー?」
「そうだ、スルーだ」

 はあ、この説明をしている間も二人はずっとくっついたままなんだよな。
 俺の前にはミケも含めて子ども達が座っているし、人口密度が凄いことに。
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