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第十三章 王都生活編その2

第二百八十二話 ビンドン家に対する沙汰其の二

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 ビンドン伯爵家へ最初の沙汰を言い渡してから三週間。
 二度にわたる奴らとの壮絶な戦いもあり、正式な沙汰を言い渡すのが遅れていた。

 そして今日、正式な沙汰が言い渡される。
 公衆衛生管理違反が追加となり、厳罰が言い渡される可能性が高い。
 マイケル君とナンシーは、王妃様達にあった際に土下座して謝罪していたけど、ビンドン伯爵家に対する厳罰は免れないと思っている。
 今日も、二人とも硬い表情をしている。

 最初の沙汰の時と同じく、俺とエステルが同行して謁見の間で沙汰が言い渡される。

「昨日関係者には沙汰を言い渡したが、ここでマイケルとナンシーに対して改めてビンドン伯爵家に対する沙汰を言い渡す」

 最初の沙汰と同じく、陛下から宰相にバトンタッチされた。

「まず個人に対する沙汰を発表する。ビンドン伯爵は長年の横領に加えて贈収賄も確認された。更に今回の公衆衛生管理違反も加わり、ビンドン伯爵は死刑とする」

 死刑という判決内容に、マイケル君とナンシーはビクッとした。
 そりゃ身内が死刑となれば、かなり驚くだろう。

「領主夫人に関しては、贈収賄に加えて侍従への虐待も確認された。更に、次男と共謀してナンシーの母親であるメイドの殺害も判明した。よって領主夫人も死刑とする」

 またかよ。
 ブレンド家でもあったけど、証拠隠滅でもはかったのか。
 ナンシーは、目を見開いてビックリしている。

「嫡男は横領も確認されたが、ギース領への襲撃事件を起こしたゴレス家へ資金援助をしていたことが判明した。嫡男は無期懲役とする」
「嫡男夫人は横領により金品を購入していたため、教会送りとする」
「次男は横領に加えて、先のナンシーの母親殺害も加味し死刑とする」
「次男夫人は、嫡男夫人と同様に横領による金品購入で教会送りとする」
「不正に関わった執事や侍従は、それぞれの罪に応じて有期刑とする」

 思ったよりも家族の罪が重かったのか、マイケル君とナンシーは顔を真っ青にしている。
 この分だと、自分達も厳罰になると思っているのだろう。

「続いて、ビンドン家に対する処罰を言い渡す。不正蓄財で得た金品は全て没収とし、伯爵夫妻、嫡男夫妻並びに次男夫妻は個人資産も没収とする」
「この度の罪により、ビンドン家は伯爵から男爵へ降格とする。また当主をマイケルに強制交代とする」
「マイケル並びにナンシー、保護された侍従は未成年の為、ライズ伯爵の保護下に置く事とする」

 何とか男爵で踏みとどまったか。
 御家断絶にならなくて良かった。

「以上で、ビンドン家に対する沙汰の言い渡しを終了する」

 宰相からの言い渡しが終わった。
 マイケル君とナンシーは、自分に対する処罰が無い事に不思議そうな顔をしていた。

 その後は、いつもの控室に移動。
 陛下と閣僚も集まっていた。

「何だ? 自分達は、何も罰せられないとの顔をしているな」
「はい、私達もビンドン家の不正を止められませんでした。それに、私はメイドを叩いたりしています」
「私も、メイドが叩かれているのを見てみぬふりをしていました。私にも、どうか罰を与えてください」

 陛下は不思議な顔をしているマイケル君とナンシーに話しかけていた。
 マイケル君とナンシーは、自分にも罰を与えるべきと言っていた。

「王妃達に土下座してビンドン家の不正を謝罪していた。そして、屋敷や市街地の対応を積極的に行った。叩いたレベルであれば、これだけ動けば十分だ」
「御家断絶が当初の決定路線だったが、二人の働きを見て方針を変えた経緯もある。今回罪になる人間は謝罪すらしていないが、二人なら大丈夫だと判断した」

 陛下と宰相が話したけど、俺も二人はいい動きをしていたと思う。
 キツイ仕事を進んでやっていたし、そこは俺も宰相に報告する時に評価して伝えた。

「俺も二人の働きは評価できると思っているし、罪はおかした大人が償うべきで子どもがかぶる事ではない。だから、二人は安心して良いよ」
「はい」
「ありがとうございます」

 もう少し大人になれば、色々と分かると思ってほしい。

「それよりも、屋敷をどうにかしないといけませんね。少なくとも食器やカーテン類も全部交換です。後は侍従も追加しないといけません」
「侍従ならあてがある。タヌキ侯爵の所で病気になっていた侍従が回復した。ハゲ伯爵やその他取り潰された家の内でも、問題ない侍従がいる。シルクの所とレイアの所も、侍従は出せるぞ」
「おお、遂にレイアの屋敷も人が入る!」

 侍従が大丈夫なら、屋敷の中をどうにかしないと。
 やはり、もう少し薬草取りしてお金を貯めないと。

「流石に資金援助は難しいが、薬草取りであっという間に資金は貯まるだろう。幸いにして、この騒ぎでかなりの薬草を消費してしまった」

 やはりそういう事になるか。
 それに薬草が足りないなら、うちの出番だ。
 これにて話し合いも終了。
 うちに帰って、皆に話をする。

「ということで、二人とメイドもお咎めなし。シルク様とレイアの所にも侍従が入るので、時間を見て薬草取りをします」
「薬草取りなら、ミケにお任せだよ!」
「ふふふ、何せララはCランク冒険者」
「ここはリリの出番だね!」
「レイアの家の事だから、レイアも頑張る」
「やりすぎない程度に頑張って」

 とはいえ、絶対に物凄い量を取ってくるだろう。
 薬草取りをする日は、事前に教えてと伝えておいた。
 でないと、こちらが事務処理で大変になる。
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