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第十七章 みんなで温泉と開拓地

第三百五十九話 平穏な年末

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「ちょっと寒いですね」
「流石に年末になると、寒さが厳しいな」

 仕事仕事仕事の日々がずっと続き、気がつけば年末。
 昨日が御用納めだったので、今日は新年会に向けて買い出しを行っています。
 エステルとリン達は年末で街中は人が多いので、今日も歳末警らに出ている。
 俺はもう今年は仕事をしないぞ!
 という事で、フローレンスと一緒に買い出しに出ています。
 貴族なんだから、御用商人を呼び出せばいい。
 違うんです、単純に休日なのでデートがしたいのです。
 という理由で二人で街に出ています。
 あえて貴族の服装ではなく、一般人の服装をして街の人に溶け込みます。

「どこも歳末セールで大賑わいだな」
「新年三日間はお店が休みですから。今の内に買い溜めするのもありますね」
「我が家には、少なくとも一か月は余裕で過ごせる備蓄はあるからな」

 路地の露店では、ひっきりなしにお客さんが品物を買い漁っていく。
 商人も在庫を残したくないから、結構な値引きで販売している。
 うーん、まるでバーゲンセールに群がるおばちゃんの図だな。
 と、ここで巡回中のエステルとリンに遭遇した。

「サトー、何か良いものでもあった?」
「あの集団に突っ込む勇気は、俺にはない」
「あはは、流石に私でも無理だな」

 エステルも、俺が指さした先で繰り広げられている争奪戦をみて苦笑していた。
 そしてリンが更に追加情報を教えてくれた。

「市場の周辺は意外と安全なんです。あの争奪戦に参加しているおばさんの殺気で、スリとかも近づけないらしいですよ」
「スリの気持ちは良く分かる。自殺に行くようなものだぞ」
「あの状況でスリなんて行ったら、間違いなくおばさんに殴られますね」

 なんとも物騒な事を言いながら、エステル達は巡回に戻っていった。
 さて、俺達もそろそろ屋敷に戻ろう。
 
「「「お帰り!」」」
「ただいま」
「ただいま戻りました。良い子にしてましたか?」
「「「うん!」」」
「よし、お土産の焼き芋だ。皆で仲良くな」
「「「わーい、ありがとう!」」」

 屋敷に帰ると、マシュー君達が突撃してきた。
 早速焼き芋という戦利品を手に入れ、皆の元に戻っていった。
 食堂を覗くと、スラタロウが今晩の鍋料理を気合を入れて仕込んでいる。
 今日は、ノースランド公爵領産の魚介類を使った海鮮鍋だ。
 既にマチルダやコタローにタロー君が味見をしていて、ニコニコ顔になって一生懸命に美味しいと報告している。

「平穏な年末ですね」
「そうだね。夜はドラコの竜王妃様達が来るけど、その位はいつも通りだしね」
「少し賑やかな位が、この屋敷らしいと思いますわ」

 フローレンスと笑いながら、二人そろって食堂に入っていった。
 ちょっとの間だけど、穏やかな時間を満喫しよう。
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