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第十八章 結婚式の話

第三百六十三話 二人のこれからの予定

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 ララとリリを宰相の執務室に連れていくと、既に二人用の小さな仕事机も用意されていた。

「ララです」
「リリです」
「「よろしくお願いします」」
「わあ、小さくて可愛いね」
「これからよろしくね」
「「はーい」」

 ララとリリは挨拶をすると、早速執務室の女性陣に囲まれていた。
 レイアも良く囲まれるけど、どうも前から小さい子が好きな様だ。

「じゃあ、サトーはこれを処理してくれ」

 どーん。
 俺の机に、山の様な書類が現れた。
 新年早々、とんでもない量ですけど。

「宰相、効果音付きで書類の山が出来ましたが」
「きっと気のせいだ。さて、サトーは仕事が一杯あるから、儂らでララとリリを案内しよう」
「「はーい」」
「おい、本当に全員この部屋から出ていく気か! おーい」
「パパ、頑張って」

 ばたん。
 宰相が先頭に立って、本当に全員をひきつれてララとリリの王城案内に行ってしまった。
 えーっと、どっきりじゃないよね?
 本当に帰ってこないぞ。
 広い執務室の中、俺は一人で山の様に積まれている書類を処理し始めた。
 結局全員が帰ってきたのは、お昼休みになる寸前だった。

「ここはこうするんだよ」
「なるほど、こうか」
「覚える事がいっぱいだ」
「でも、覚えるのがとても早いわ」

 午後も沢山の書類に囲まれながら、ガリガリと処理を進める。
 ララとリリには、レイアと女性陣で色々と教えている。
 くそ、俺も教えたいのにこれじゃ目の前の作業で手一杯だそ。

「ほれ、サトー追加だ」

 どーん。

「宰相、またもや効果音つきで書類が増えたのですが」
「下の部署がやる気になっている証拠だ。良いことだろう」
「何で俺一人で処理しているのですか……」
「なら、来たばっかりのララとリリにやらせるか?」
「いえ、頑張ります……」

 くそー、まだララとリリには書類やらせるには早いし、結局俺がやるしかないのかよ。
 終業まで、俺は必死になって仕事をする事になってしまった。

「サトー、お帰り。随分と疲れているね」
「エステルよ、お前も山のような書類を処理してみるか?」
「アハハハ、できるわけ無いじゃん。お風呂にでも入って、ゆっくりしたら? 今日は二人の歓迎会だし」

 屋敷に帰ると、お菓子をもぐもぐと食べながらエステルが出迎えてくれた。
 もう疲れたから、さっさとお風呂に入ろう。

「「「ガハハハハ!」」」

 お風呂からあがってパーティルームに行くと、既に歓迎会が始まっていた。
 相変わらず偉い人が、部屋の一角を占領して大騒ぎしていた。

 ソフィーとジュリエットも、うちに泊まった経験もあるから、慣れた様子で子ども達に混じって楽しく食べている。
 因みに今日はスラタロウ特製のお鍋。
 皆でワイワイするにはうってつけの物だ。
 
「サトーさん、だいぶお疲れですね」
「新年早々、大量の仕事が……」
「それは、お疲れ様です」

 早速というか、ソフィーとジュリエットが話しかけて来たのだが、新年早々ヘロヘロになってしまったので申し訳ない。
 本当は色々と話をしないといけないな。

「皇帝陛下と公王陛下にも、改めて挨拶に行かないといけませんね」
「日程は調整しますので、ご心配なく」
「全てをサトーさんに任せる事はありませんので」

 うう、ソフィーもジュリエットも良い子だ。
 色々と配慮してくれる。
 エステルに二人の爪の垢を飲ませてやりたいぞ。

「そういえば、二人は今後どうやって過ごされますか?」
「暫くはリンさんとフローレンスさんについて動きます」
「改めて、この街の事をよく知らないといけませんので」

 うん、正解だ。
 エステルだと、きちんと説明はするがいつの間にか話が脱線するぞ。

「お兄ちゃん、こっちで一緒に食べよう。ソフィーお姉ちゃんとジュリエットお姉ちゃんも、こっちだよ」
「分かったよ。引っ張らないでくれ」

 ミケに手を引っ張られながら、別のテーブルに移動する。
 そんな俺の様子を、ソフィーもジュリエットもにこやかに見つめていた。
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