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21 夏実の再提案
しおりを挟む「さてと。良いモノ見せて聞かせてもらいました。有香ちゃん、お疲れ。じゃあ、次回は、いよいよ夏実さんの切腹ね」
「あ~、美紀さん、いや、会長! それに関してですね~。私から再度の提案す~。もう一回だけ、切腹延期しませんか~。
あ、これ、自分が切腹したくないから引き延ばしてるんじゃないですよ~。これだけは勘違いしないでくださいね~」
「より良い切腹をするために必要な事なら、私は受け入れますよ。別にあなたが切腹したくなくなったなんて思ってないし、したくなければしないでも良いんですしね。強制は一切しない」
「いや~。切腹はしますよ~。ただですね~。私は子宮内と胃・小腸の一部をお見せしました~。で、有香ちゃんは、今日、大腸内と小腸内を見せてくれました~。
でも、三人しかいない会員の中で~、一人だけ何にも見せてない人がいるってのは、これ如何なもんなのかな~と思いましてね~」
「そんなこと言ったって、ジャンケンの結果だし…」
美紀さんの言う通りです。みんなでジャンケンしたことですので、別に不公平ではありません。
「私も有香ちゃんと同じで、内臓フェチの気が少しあるみたいでしてね~。美紀さんの麗しい内臓を、死ぬ前に拝んでみたいんですよ~。私が先に切腹しますから~、私は美紀さんのを見る機会が無いわけなんですからね~」
それは確かに…。夏実さんの言い分も、理解できます。内臓フェチの私としましては。
「そんなこと言っても、もう内視鏡は三つとも使ったじゃない」
「いや~、別に、同じの何度も使ったって良いでしょうに。使い捨てじゃないんですから~」
その通りです。別に何回使ったって良いというか、普通は何度も使うモノです。
「それにですよ~。この会の現在の目的は、会長の美紀さんが最も麗しい切腹を成し遂げることっすよね~。
その為に私も有香ちゃんも協力して自分たちの内臓見せたんすよ~。でも~、切る本人の内臓の様子を調べるのって~、スッゴク重要じゃないかと思うんすよね~。
特に腸って、ヒトによって位置のずれとかもある物っすからね~。やっぱ、本人で確認しないとね~。違いますか~?」
「ううっ、ち、違わないわね…」
そうです。そうです。全くその通りですよ。
夏実さんが正しい!
「ということで~、次週は美紀さんの腸を調べるってことでどうですか~?」
「ええ~! 私の大腸の中を見るってこと? でも、下剤とか腸管洗浄剤の準備が無いわよ。今からじゃ、事務局に連絡しても間に合わないかも」
「いや、それ無しで良いんじゃないですか~? 美紀さん、実際の切腹の時の内臓の処理に~、内臓の内容物のことも考えたいって言っていましたよね~。じゃあ、綺麗にしてない内臓の中も確認した方がよくないっすかね~」
「そ、そんな、それ、汚いわよ…。でも……、確かに…それも、一理あるわね」
「有香ちゃんは~、どう思います~?」
「賛成、賛成! 私も夏実さんに賛成! 美紀さんの内臓、見てみたいです」
「いや、あなたは私の切腹で見られるでしょうに…」
分かってますよ。でも、それとこれとは別ですよ。
それに、ですね。そうすれば、夏実さんの切腹が延びるのです。
折角仲良くなったのです。もう少しお話とかもしたい。
会えなくなってしまうなんて寂しい。少しでも長く生きていてもらいたいですよ!
「分かりました。事務局には、既に夏実さんの遺体処理依頼を申請済みだけど、延期の連絡をします。次週は、私の内視鏡ということで! 夏実さんの切腹は再来週ですね」
やった~。夏実さんの切腹、とりあえず一週間延期だ~!!
応援ありがとうございます!
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