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仙界にて
8 選択の巫女
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「へえっ、ここどこ? 何? 何がどうなってるの?」
キョロキョロ周りを見回し、へたり込む舞衣。
眉を下げた困り顔で、見慣れない格好の祥子を見上げる。次に慎也を見て、慎也の腕の異変に気が付いた。
「えっ、な、何? どうしたんですか、その腕!大変じゃないですか! 救急車、呼びますよ!」
スマートフォンを出して操作しようとする。……が。
「あれ、圏外。どうしよう…」
おろおろし、右往左往状態。
こんな有名人に心配してもらえるなんて、慎也は幸せ者だ。しかし、やはり痛い。痛すぎて、脂汗が滴る。
「折れてますよね。とりあえず、添え木で固定しなきゃ」
舞衣は落ちていた木の枝を見つけ、それを拾って慎也に走り寄る。
カバンからタオルを出し、はさみで縦に半分にし、白く細い柔らかな手で、優しく慎也の折れた右腕をそっと持ち上げた。
慎也の腕には、さらに激痛が走る。何度も同じところに打ち込まれ、折れているどころか、骨が砕けてしまっているようだ。
「痛いですか? 我慢してくださいね」
舞衣は、手早く添え木をしてタオルで結び、固定する。
丁度、何週間か前に撮影したドラマで看護師役をしていて、こんなシーンがあったところだ。真面目な彼女は、応急手当をしっかり学んでいた。
「手際が良いのう。じゃが、これでは、明日までには治らぬな」
相変わらず祥子は手を出さず、憐れそうな顔をして眺めているだけ。
「明日までって、そんなの絶対無理でしょう! 早く病院行かなきゃ!」
舞衣は、何もしない祥子に非難めいた視線を向けた。
「病院? そんなものは、ここには無いぞ。医者もおらぬ」
「そ、そんな……」
返ってきた信じられない答えに、舞衣は絶句した。
…病院が無い?
携帯も繋がらない…。
どうすれば良い?…
フリーズしたように動かない舞衣。
自分のために、こんなにも心配してくれる舞衣に、慎也は唯々もう有難くて、本当に涙が出そうだ。もちろん、痛みででもなのだが…。
その一方で、傍観者を決め込んでいた祥子。少し考えるような素振りを見せた。
「ワラワが手助けするのは、反則っぽいがのう。じゃが、余りにこれは酷いな。あの者が、一番有利というのも気に喰わぬ」
祥子は、痛みで顔をゆがめている慎也の顔を、ジッとのぞき込む。
「うむ、其方は癒しの天性を持っているようじゃ。どれ、ちょっと、こっちを向け」
両手で慎也の頬を包み込んだ。
そして、いきなり!
自分の唇を、慎也の唇に合わせた!
慎也の口の中に、祥子の温かく弾力のある舌がヌチョッと入ってくる…。
舌がクチョクチョ絡められ、吸われる…。
これは、まさかまさかの、祥子からの熱烈ディープキスだった。
見ていた舞衣も驚いたが、実際にされている慎也の驚きは、それ以上だ。
(高橋さんの前でなんてことを! で、でも、この人も飛び切りの美人。 いや、でも千歳超える妖怪、あ、妖怪というとボコられる…)
慎也にとって、初めてのキス。おまけに、こんな過激な…。
頭には色々なことが浮かび、ショート寸前である。
…が、慎也は、合わせられている祥子の口から、何か吹き込まれてくるのを感じた。
実体のあるものではない。「気配」といった感じ…。
同時に、腹の中心部から、何か力が出てくるような感じがする……。
「よし、左手を折れた部分に当てて、治れと念じてみよ」
唇を離した祥子の指示。
慎也は、何が何だか訳が分からないながらも、取り敢えず、言われるままにする。
舞衣が添え木してくれた右手に、左手を当て、念じた。
(治れ! ……えっ、痛みが薄れてゆく…)
「暫く、そうしておれば治る。それが正に『手当』じゃ」
「な、なに? 治っていってるの? そ、そんな馬鹿な…」
舞衣は慎也の様子を見て驚き、信じられないといった表情で慎也の腕を凝視した。
「ワラワにも同じことが出来るがな、それは其方自身の力じゃ。ちょっと引き出してやっただけじゃからな。もう、これ以上の手出しはせんぞ」
(俺自身の力?)
「其方は、なかなかの潜在能力を持っておる。慣れれば大きな傷でも即座に治せるだろうが、今の力では、この骨折が完全に治るには二時間ほどはかかるぞ。巫女殿がしてくれた添え木は、暫くそのままにしておけよ。さあ、明日に備えて休め」
何が何だか、さっぱり分からないが、とにかく腕の痛みは確実に薄れてゆく。慎也は「手当」を続けた。
祥子は慎也に背を向け、舞衣の肩に手を回した。
「其方は、こちらへ来い。何故、ここに来たか教えてやろう」
美女二人はそのまま、慎也たちの部屋のある建物の、さらに奥にある建物に向かって行った。
キョロキョロ周りを見回し、へたり込む舞衣。
眉を下げた困り顔で、見慣れない格好の祥子を見上げる。次に慎也を見て、慎也の腕の異変に気が付いた。
「えっ、な、何? どうしたんですか、その腕!大変じゃないですか! 救急車、呼びますよ!」
スマートフォンを出して操作しようとする。……が。
「あれ、圏外。どうしよう…」
おろおろし、右往左往状態。
こんな有名人に心配してもらえるなんて、慎也は幸せ者だ。しかし、やはり痛い。痛すぎて、脂汗が滴る。
「折れてますよね。とりあえず、添え木で固定しなきゃ」
舞衣は落ちていた木の枝を見つけ、それを拾って慎也に走り寄る。
カバンからタオルを出し、はさみで縦に半分にし、白く細い柔らかな手で、優しく慎也の折れた右腕をそっと持ち上げた。
慎也の腕には、さらに激痛が走る。何度も同じところに打ち込まれ、折れているどころか、骨が砕けてしまっているようだ。
「痛いですか? 我慢してくださいね」
舞衣は、手早く添え木をしてタオルで結び、固定する。
丁度、何週間か前に撮影したドラマで看護師役をしていて、こんなシーンがあったところだ。真面目な彼女は、応急手当をしっかり学んでいた。
「手際が良いのう。じゃが、これでは、明日までには治らぬな」
相変わらず祥子は手を出さず、憐れそうな顔をして眺めているだけ。
「明日までって、そんなの絶対無理でしょう! 早く病院行かなきゃ!」
舞衣は、何もしない祥子に非難めいた視線を向けた。
「病院? そんなものは、ここには無いぞ。医者もおらぬ」
「そ、そんな……」
返ってきた信じられない答えに、舞衣は絶句した。
…病院が無い?
携帯も繋がらない…。
どうすれば良い?…
フリーズしたように動かない舞衣。
自分のために、こんなにも心配してくれる舞衣に、慎也は唯々もう有難くて、本当に涙が出そうだ。もちろん、痛みででもなのだが…。
その一方で、傍観者を決め込んでいた祥子。少し考えるような素振りを見せた。
「ワラワが手助けするのは、反則っぽいがのう。じゃが、余りにこれは酷いな。あの者が、一番有利というのも気に喰わぬ」
祥子は、痛みで顔をゆがめている慎也の顔を、ジッとのぞき込む。
「うむ、其方は癒しの天性を持っているようじゃ。どれ、ちょっと、こっちを向け」
両手で慎也の頬を包み込んだ。
そして、いきなり!
自分の唇を、慎也の唇に合わせた!
慎也の口の中に、祥子の温かく弾力のある舌がヌチョッと入ってくる…。
舌がクチョクチョ絡められ、吸われる…。
これは、まさかまさかの、祥子からの熱烈ディープキスだった。
見ていた舞衣も驚いたが、実際にされている慎也の驚きは、それ以上だ。
(高橋さんの前でなんてことを! で、でも、この人も飛び切りの美人。 いや、でも千歳超える妖怪、あ、妖怪というとボコられる…)
慎也にとって、初めてのキス。おまけに、こんな過激な…。
頭には色々なことが浮かび、ショート寸前である。
…が、慎也は、合わせられている祥子の口から、何か吹き込まれてくるのを感じた。
実体のあるものではない。「気配」といった感じ…。
同時に、腹の中心部から、何か力が出てくるような感じがする……。
「よし、左手を折れた部分に当てて、治れと念じてみよ」
唇を離した祥子の指示。
慎也は、何が何だか訳が分からないながらも、取り敢えず、言われるままにする。
舞衣が添え木してくれた右手に、左手を当て、念じた。
(治れ! ……えっ、痛みが薄れてゆく…)
「暫く、そうしておれば治る。それが正に『手当』じゃ」
「な、なに? 治っていってるの? そ、そんな馬鹿な…」
舞衣は慎也の様子を見て驚き、信じられないといった表情で慎也の腕を凝視した。
「ワラワにも同じことが出来るがな、それは其方自身の力じゃ。ちょっと引き出してやっただけじゃからな。もう、これ以上の手出しはせんぞ」
(俺自身の力?)
「其方は、なかなかの潜在能力を持っておる。慣れれば大きな傷でも即座に治せるだろうが、今の力では、この骨折が完全に治るには二時間ほどはかかるぞ。巫女殿がしてくれた添え木は、暫くそのままにしておけよ。さあ、明日に備えて休め」
何が何だか、さっぱり分からないが、とにかく腕の痛みは確実に薄れてゆく。慎也は「手当」を続けた。
祥子は慎也に背を向け、舞衣の肩に手を回した。
「其方は、こちらへ来い。何故、ここに来たか教えてやろう」
美女二人はそのまま、慎也たちの部屋のある建物の、さらに奥にある建物に向かって行った。
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