月の影に隠れしモノは

しんいち

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仙界にて

11 高橋舞衣 …決心…

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 『選択の儀』と呼ばれる儀式は、明日の日の出とともに始まります。
 場所は、さっき通った建物の、階段を上がった二階。
 順番は決まっていて、あの骨折の人も候補者で、三番目の人なんだ…。
 というか、あの人をあんな目に合わせた奴が一番、二番はホストって、祥子様、言ってたけど…。

 私は、祥子様の言葉を思い出しながら温泉へ向かいます。
 部屋で服を脱いで、扉を開けると、少し行ったところに露天風呂。
 真っ暗になるかと思ったら、今日は満月かな? 月明かりで結構明るい。
 トロっとするような、いいお湯。気持ちイイ…。
 あの人、怪我けがは大丈夫かな。
 感じ良い人だったけど。選ばれなかったら龍に食べられるって、それもひどいよね!
 あの人、助けてあげたい…。

 湯から上がって、指定の白い着物を着ます。
 薄くて透けちゃいそう。
 この着物も、祥子様が糸からつむいで織って縫った物って言ってたな。
 私じゃ絶対無理。帰らなきゃ。
 そのためには仕方ない。帰るためなのよ。
 でも、私、バージンなのよね。
 私を一番感じさせた人が選ばれるって言ってたな。
 最初は痛いっていうけど、どうなんだろう?
 ……。

 眠れない夜を過ごします。
 もうすぐ、ロストバージンか…。こんな形、嫌だな。
 でも仕方ないよね。


 空が、だんだん明るくなってくる。
 扉が開き、相変わらず巫女姿のままの祥子様が部屋に入って来ました。

「寝られなかったようじゃな」

「はい」

「まあ、当然じゃな。過去、グーグー寝ておった者は一人もおらん」

 そうよね。こんな心理状態に置かれて、スヤスヤ眠れる人なんて、いるはず無い。
 祥子様に付いて、儀式の行われる石造りの建物の二階へ移動します。
 十メートル四方の屋上広場のようなところで、一抱えほどの大きさの丸い石が等間隔に三つ。
 ここに候補の男性が坐るようです。
 広場の丘側には部屋があり、この中で交合の儀式がされるとのこと。
 部屋壁の真ん中辺りには、広場側への畳半分ほどの張り出しで、正面には壁も戸も無い、人が一人立てるだけの番所のようなスペースがあります。
 選別の儀式の際には、私がそこへ入るのだそうです。
 そこから男性が坐る石までは、五メートルほど。
 その距離で二人が龍に食べられるのを見るなんて、ゾッとします。

 空には、白と黒の龍が飛んでいます。
 想像していたより、龍は小さい…かな。
 頭からしっぽの先まで、五メートルくらい?
 儀式の間、この部屋の上に龍が下りるとのことだから、これ以上大きかったら、つぶれちゃいますもんね。
 二匹の龍のすぐ下で、私は三人の男性とセックスすることになるのか…。

 部屋に入ると、中央につたが絡まったベッド。
 蔦は天井から外へつながっていて、この蔦を通して私の快感を龍が感じるということです。
 なんで、そんなんで分かるんだろう…。
 それはよく分かんないんですが、そういうことで、セックスはベッドの上でしなければ意味をなさないとのこと。これは男性にも伝えられているそうです。

 ジャーン! 銅鑼どらが鳴ります。
 あと三〇分で始まる。
 私はベッドに腰かけて待ちます。
 よく考えたら、この薄い着物、透けてる。
 乳房もアソコのヘアーも…。
 恥ずかしい。
 でも、これからセックスするんだから、今更よね……。
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