私の宇宙人恐怖体験

しんいち

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食用地球人の章

26 消化器摘出の前処置

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 これより私の胃や腸は、パルが食べる“食材”として体外へ取り出されます。
 食材用の摘出の場合は、麻酔薬を使用できないんですって。
 ……考えてみれば、当然ですよね。食べる物ですから、変な薬品が混入していてはいけないもんね。

 でも・・・、それじゃあ、とっても痛いじゃない!

 え? 私の脳に埋め込んだチップからの信号で、完全ではないにしても痛覚遮断できるの?
 うわ、なんて便利な……。痛い思いして入れてもらってよかったよ、脳チップ。
 クローンの管理の為に作成した“私”専用のチップで、屠殺の時にも役立っているとか。
 私のクローンを苦しませないようにしてくれているのは、少し嬉しいかも。パルは優しいね。

 痛覚遮断。発信機のような装置の、簡単な操作のみ。少しビクビクッと体が痙攣します。その他は変わりありません。体が動かないなんてこともありません。
 これで、解除するまで痛みを感じなくなった?
 スゴイね。

 私は全裸でベッドに仰向け。手足の力を抜いて伸ばし、横たわっています。
 やっぱり天井は鏡状態で、裸の私の全身が映っています。前と同じですね。
 首からお腹に掛けて、更に、肛門部分に刺激臭の液体がベットリ塗られる。消毒ですね。これも前回の消化器摘出と同じ。そして、塗られたところ、ちょっと冷たい・・・。

 私の隣には、もう一つ同じ大きさのベッドというか、金属製の台が並べられている。これが前回とは違う。
 台の上面周囲部分が5センチ程度の高さの枠状になっているのは、流れ出た血液を零さないようにする為でしょう。
 これは、人間を食肉解体する為の専用の台っぽいです。

 パルは別室に行き、そこから・・・裸の私を連れてきた!
 私のクローンだ!!

 すごいよ。初めて見たよ。今の私よりほんの少しだけ若い、20歳相当の私なんだね。
 でも、見た目では全く区別つかないなぁ。目の前にもう一人の私がいるなんて、なんか、変な気分ですよぉ。

 私は驚いているけど、クローンの私は、私を見ても無反応。そのまま隣の解体台に、スッと仰臥しました。
 金属製だから冷たいだろうし硬くて痛いだろうけども、平然としています。

 パルは、私のと別の発信機を操作します。クローンはビクッと体を痙攣させます。痛覚遮断したのね。
 レーザーメスを取り、クローンのお腹を先に切開します。そっちは消毒をしません。消化器を私に移したら、彼女の残りは食肉にされるんだね。

「ぐうっ」

 クローンが小さく声を上げた。
 痛い? 痛覚遮断が効いてない?

 そっか、完全じゃないって言ってたような・・・。というコトは、私も痛いんだな。少しくらいは仕方ないね。
 でも、クローンの私、怖くないのかな。今から殺されちゃうんだよ? 
 怖がらないように育てられているのかな?!
 半年での促成培養だから、言葉とかも分からないのかも・・・。

 クローンのお腹、大きく縦に切開されました。
 赤い血が幾筋かタラーッと流れ出ます。切り口が開いて、中の小腸が少し見えています。

 続けて、そのまま胸から首まで切られる。
 胸のお肉を肋骨から削ぎ取るようにして、内部を保護している肋骨を剝き出しに。更にそれを一本ずつ切る。2年半前の私がされたように。
 クローンの口から喉に、グニョッと人工呼吸装置が突っ込まれました。クローンは苦しそうですが、されるがままで一切抵抗しません。
 胸の肋骨が蓋を外すようにカパッと外される。肺が剥き出し。
 その、ピンク色した綺麗な右肺を、潰さないように胸の中から外へ出す。これは、食道を摘出するための前処置です。
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