鬼に飼われて生きる少女 ~異世界転移し、鬼と一緒にヒトを食べて生きています~

しんいち

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鬼の世界へ

8 何の肉?

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 リューサさんは、私の方を向いてニヤッとしてる。給仕のイマさんカリさんも、同じように興味深そうに見て来る。

 た、食べなきゃ…、ダメよね…。こ、これ……。
 食べないと、この世界で生きて行く気が無いって判断されて、私が、こんな風に食卓に並べられることになるのかも……。

 私が食べるかどうか、絶対に試されている!!

 ……あ、いや、いや、いや、もしかすると!
 ヒトのと見せかけておいて、別の肉なのかもしれませんよ。
 だって、この鬼さんたち、私を怖がらせるようなことばっかりしてくるからね。
 今回も、そう。きっと、そう。
 それに、人肉って高級食材だって言ってましたよ。
私なんかに、そんな高級なモノ食べさせてもらえるはず無いじゃない。

 うん、大丈夫よ。きっと!
 う、ううううううううう~!!
 た、食べるぞ~!!

 フォークを刺し、ナイフを入れる。
 あ、凄く軟らかい。
 赤身肉。見た目、牛肉っぽい?
 切ったのを目の前に持ってくる。中心部は赤っぽく、ミディアムレア。高級っぽいのが怖い…。
 いや、これは、牛肉。
 きっと牛肉。
 高級な牛肉…。

 恐々、口へ入れます。モグモグ咀嚼します。
 軟らかい…。
 う、これ牛肉の味じゃない……。ちょっと癖がある。
 ううう……。
 そ、そう、これは羊だよ!
 うん、クセがあるから羊。きっとそう。
 うう~ん、羊にしては、クセが弱めで軟らか。マトンじゃなくてラムなのね。子羊よ。それも、と~っても高級なヤツ。

 二口目。うん、軟らかい。このクセも、嫌な感じじゃないね。
さすが、高級ラム。美味しい、美味しい!

「どう、お味は?」

「は、はい…。さ、最高に…お…美味しい…です」

 あ、あれ?
 なんで私の声、震えてるの…。
 美味しいよ、この肉。これ、ラムですよね、高級な。

 何のお肉か、訊きたいな。でも、その質問が出来ません。
なんで、その質問が出来ないのかな…。
 えっと、「何のお肉ですか?」って、訊くだけのコトですからね。訊いても無作法じゃありませんよね。そんなで怒られたりしないよね。

 で、でも……。

 訊けない!

 まず、全部食べちゃわなきゃね。残す方が無作法ですよ。
 うん、美味しいよ。とっても!
 こんな美味しいお肉、食べたことない!最高!!
 お芋も…、お芋も食べちゃって……。

「あらあら、凄い食べっぷりね。そんなにお腹空いてたかな? お代わり用意しようか?」

「い、いえ!! 結構です、もう満腹です!
有難うございました。とっても、美味しかったです」

「そう、美味しかったの……。良かった」

 リューサさんも、イマさんも、カリさんも、ニカッと怪しい笑み…。
 こ、これって、やっぱり…、そう言うことなんですかね……。

 お、お、お水、お水。
 だめ。絶対吐いちゃダメよ。これからリューサさんが何を言っても…。
 違うよね。きっと、怖がらせて楽しんでるのよね。
 今、食べたのって、羊よね。
 絶対そう! 羊と言って!!

「よかったわよ。我が牧場の最高肉を御馳走したからね」

「わ、我が牧場の…最高肉……?」

「そうよ~。潰したての15歳の女の子~。新鮮だから、ミディアムレアでね~。美味しかったわね~」

 15歳…私と同年の、女の子……。

 私、食べちゃった……。

 込み上げてくる吐き気。必死に我慢します。
 再度水を飲んで落ち着けます。

 そうか…。そうよね……。
 やっぱり、そうよね。
 食べちゃったよ、私…。

 食べちゃった…。人間の肉……。


 食事は、まだ終わりではありませんでした。デザートが出てきました。
 緑色…。抹茶のアイスクリームですね。結構、和風っぽいモノ多いですね。
 でも、味なんか分かりませんでした。
 多分、とっても美味しかったんだと思いますけど。
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