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鬼の世界へ

24 種付けと、通常の赤首輪

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 え~っと……。
見せて頂きました。種付けってやつ……。

 繁殖行為をする赤首輪の女性には、それぞれ個室(トイレとシャワー付き)が与えられます。自由に外へは出られませんので、監禁状態みたいなものです。
 そして、部屋の中の様子は監視通路から丸見えなんです。特殊なガラスになっていて、中からは外が見えないんですって。

 大声を出さないように言われ、監視通路から指示された部屋を見ていました。
 中に居るのは二十歳前くらいの美人さん。別に縛られたりはしていませんよ。部屋の中では自由です。ランニングマシンみたいなのまで置いてありました。

 入口の扉が開きました。ナユさんに導かれて、若い男性が入ってきました。
この男性は種付け初体験なんだそうです。女性の方は、既に二回の出産をしているとか。経験ありです。
 即座に裸になって、女性に跳び付いて行く男性。女性はそれを上手くいなし、ベッドへ導き、口づけをして・・・・。

 あ~!! もうこれ以上は、恥ずかしくって、詳しく話せませんよっ!!
 顔が熱くなる~!!

 とにかくです。上手く男性を導いて十分にあちこち刺激させて……。
 合体!
 ・・・で、コトは終わったのでした!



 外に出て…。

「どうだった?」

「は…、はい……。大変…、勉強に…なりました……」

「はははっ、顔真っ赤にしちゃって可愛いコト。難しいことは無いからね。大丈夫よ」

 うううううう~。私も、あんなコトをやらなければならないのですか……。



 ところで、です。私の場合は通常の赤首輪さんたちとは扱いが異なりますが、普通だったらどんなふうになるのかも詳しく教えてもらいました。

 赤首輪になったニンゲンは18歳相当になると、この施設に移されるそうです。
 18歳ではなく18歳相当っていうのも何か微妙な表現ですが、とにかくその年齢くらいでってことでしょう。
成長が良い子は早めにってことかもしれませんし、部屋の空き状況もありますから遅れることもありますよね。

 ここに移ると、さっきの個室で生活することになりますが、早速に処女膜除去し、例のお勉強。そして排卵日を見計らって種付けです。
 相手の男性は、通常はナユさんが決めるそうです。
排卵予定日とその前後三日、つまり七回の性交渉で一セット。一セットは、基本的には同じ男性が相手を勤めることになっています。
 これは、誰の子なのか把握できるようにする為。将来の赤首輪選別の際に遺伝子が偏らない様にするためだそうですが、赤首輪になる可能性が低い場合は途中入れ替えも有りだそうです。
 ナユさんは、結構頻繁に入れ替えをしているみたいです。つまり、そういう場合の子は始めっから白首輪確定の子…。
赤首輪になれる可能性って、平等じゃないんですね。やっぱり、なんかチョットせつない。

 ナユさんが男性を頻繁に入れ替えるのは、男性側に誰の子か分からなくする為です。
特定の子に愛情を持たせず、平等に育てさせるためだとか。
 そういうところは平等って、なんだかな~。どうなのかな~。

 種付けの終わった女性。大抵はそれで妊娠します。ダメな場合は次の排卵予定日。
 ただ、どうしても妊娠しにくい子もいるんですって。こればっかりは、外見からではわかりません。やってみない事には…。
 そして、三回続けて妊娠出来ない場合は、赤首輪剥奪。即刻お肉ちゃんって、そ、そんな~!
 子どもを産むのが仕事なわけですから、それが出来なければお払い箱なんですね。シビアです…。セックスも真剣にならざるを得ませんよ。もっとも、通常の赤首輪女性は、そんな運命知らないんですけどね……。

 妊娠すると十ヶ月ちょっとで出産。その後一ヶ月は特別室に移って赤ちゃんと過ごせてオッパイあげたりしますが、きっかり一ヶ月で取り上げられ、元の部屋に戻って次の出産準備となります。
 で、また種付けとなりますので、ほぼ、一年に一回の出産です。


 そうそう、人間って、普通は一度に産む赤ちゃんって、一人ですねよ。イマさんカリさんのような双子も偶にはいますけど…。
 だけどですね。それ、効率よくないですよね。たくさん増やしたいと思うと。
 だから、この施設では赤首輪の子に排卵促進剤を投与するんですって。リューサさんの作る薬です。
 この為、産まれるのは三つ子・四つ子・五つ子なんですって。
初回の妊娠の場合は負担が大きいので弱めにして三つ子くらい。後は基本、四つ子か五つ子。
食事に薬を混ぜるんだそうです。

「あ、あの、ナユさん。私も、もしかして、その薬投与されてます?」

「さあ? あなたのことは、私は関与してないから知らないよ」

 う、ううう~ん。人肉にばかり気を取られているけど、食事になんか変な薬混ぜられちゃったりしてるかもしれないんだ……。

 それに…。赤首輪になると赤ちゃんを産ませてもらってお肉にならずに済むって思ってましたけど、こっちも結構過酷です。
 毎年出産。オマケに、毎回複数の子を…。かなり負担ですよ。
これじゃあ早死にしちゃいそうです。思い切って訊いてみますと…。

「そうね、大抵30歳相当くらいまでしか、体がモタナイね。長くて35。それくらいで耐えきれなくなって、出産時に死んじゃうね」

「ええっ…。死んじゃう……。それ、死んじゃった後は、もしかして…」

「ああ、勿体無いから、食べるよ。普通はその年になると商品価値があまりないからね。出荷せずに、ここでの食用。
まあ、結局は食べられることになるのだけどもね、無理やり殺されるんじゃないし、たくさん子供産ませてもらってその年まで生きられるのだから、幸せなんじゃない?」

 そ、そんな~。それって、幸せなの???
 私は今、15歳。あと15年から20年の命ってことなのですか・・・。

「ところで美玖、牧場の方は見た?」

「いえ…。そっちは、ちょっと可哀想で足が向かなくて……」

「そうね。でも、キッチリ見て、説明聞いておいた方が良いよ。あと、イマちゃんの仕事もね。
あなた今、泣き出しそうな顔してるけど、絶対赤首輪が良いって実感できるからね」

 イマさんの仕事って…。人の屠殺ですよね……。

 その晩は、リューサさんは留守。秘書の二人も同行だそうです。
私は使用人食堂の方で、コックのラクッサさんとメイドのキヅハちゃんリオシちゃんと夕食を戴きました。
 皆さん、人間界のことに興味津々。結構いろいろ訊かれましたし、私もこっちの世界のことを教えて貰ったりしました。


 翌日は、朝食後に牧場の方へ行こうかな…とも思いましたが、やっぱりちょっと気が進みません。
 イマさんとカリさんもまだ帰ってきませんし、ラクッサさん、キヅハちゃん、リオシちゃんに代わりばんこに先生になってもらい、この世界の言葉の勉強をしました。
 三人には忙しいのにつき合わせちゃって申し訳ありません。でも皆さん、嫌な顔せずに真剣に丁寧に教えてくれます。とっても優しい…。
 鬼って怖い存在だと思っていましたが、全然違いますね。あ、でも、人間を食べるのか。やっぱり怖いのかな…。
 う~ん、なんか、よく分かんなくなっちゃいました。
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