鬼に飼われて生きる少女 ~異世界転移し、鬼と一緒にヒトを食べて生きています~

しんいち

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鬼の仲間として

38 妖語

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 ゴールド首輪になって、2ヶ月くらい経ちましたでしょうか。
それくらいの頃の話です。

 私ってば、基本、リューサさんの愛玩動物なんですね。それも、性的な……。
ですので、あの日から三日間は、リューサさんの夜のオモチャ……。
 トンデモナイ経験させられちゃいました~!!

 でも、その後はお呼びがかかりません。リューサさんの「発情期」終了です。
 発情期には非常に激しく求めて来る鬼さん。ですが、それを過ぎると何事も無かったようにケロッとして、全くそういう気配も有りません。
 人間の場合はどうなんでしょう?排卵日近辺って、やっぱりシタクなるものなんですかね? 私も、もう妊娠可能な身体ではありますが、まだまだお子様で『男性との行為』未経験な私にはよく分かりませんよ。
 とにかく、鬼さんの場合は発情期とそうでないときのメリハリがハッキリしています。
 急に見向きもされなくなってしまうのも、悲しいような嬉しい(?)ような、複雑な気分です。

 リューサさんの発情周期がどれくらいなのか、分かりませんが、鬼の発情期は個体差が激しいとか。ナユさんのような一カ月未満なんてのは超特殊でしょうね。イマさんカリさんは半年って言っていました。
 おそらく、当分はお呼びがかからないんじゃないかなと思います。
 そうすると、私は何をすれば…ということなんですよ。

 リューサさんは私のことを、単なる愛玩用ではなく仲間だと言ってくれています。
つまり、リューサさんの発情期以外には何か他で役に立たなければなりませんよね。
 ラクッサさんへ料理の助言といってもですね。私、料理人じゃなくて単なる女子中学生。そんなにも専門家に助言できることなんて無いんですよ。
他にも何かお役に立たなければなりません。
 破格の好待遇をしてもらっているからこそ、それが重圧となってきます。何をすればよいのか、毎日プレッシャーを感じていたのです。


 本来の私は中学三年生です。高校受験のために毎日机に向かって猛勉強ってところでしょう。でも、もうそんな必要はありません。だって、この世界に、ニンゲンの通う高校なんて無いですからね。
 ただ、勉強自体はしっかりしていました。妖語の勉強です。妖語が出来れば、もっと皆さんのお役に立てるはずだと思ったのです。
 そして、二ヶ月という期間でだいぶ、理解でき、話せるようにも書けるようにもなってきました。語学は得意でしたので……。

 ところが、なんですよ。酷いんですよ!

 私、当然みなさんは普段妖語で会話していらっしゃるものだと思っていたのです。
私が居るから、私の前でだけは人語を話してくれているのだと…。
 だから、妖語を出来るようになれば、皆さんに気を使ってもらうことなく普段通りで話してもらえる。そう思っていたんですよ。

 違ったのです!!

 この御屋敷では、挨拶と来客時以外は、普段から人語をメインに使っていたんですって…。
だから、私が居るから気を使っていたわけじゃなかったのです。

 これは、リューサさんの方針ということ。
 牧場でも農場でも人間を扱っているので、ここでは人語が必須です。
ニンゲンの方に妖語を教えるのは色々問題が出て来る可能性がありますからね。(鬼側の不都合な情報がニンゲンに漏れる恐れがあるのです)
 で、人語の上達の為ということもあって、普段から人語を使っているとか。まあ、時々妖語も交えますけど…。
 でもこうすると、スパイが入り込んで盗み聞きしても人語が理解できなければ何を言っているか分からないなんて利点があります。
 リューサさんの秘密の薬のこともあります。一石二鳥で都合が良かったのですね。

 ということで、皆さんと気兼ねなく妖語で会話できると思っていた私の考えは全く的外れで、意味の無いことだったと判明したのでした。
 それも、こんなに妖語が出来るようになってから・・・。

「人語の勉強になるから、美玖にはこれまで通り人語で話して欲しい」だなんてリューサさんに言われちゃいましたよ。
 もう、テンションだだ下がりです。

 どーんよりした私の雰囲気を見かねてでしょうか、「妖語ができるのは全然無駄ではないから大丈夫」と慰められましたがね。私、このお屋敷の外には出られないのですよ。絶対無駄ですよ~!!


 頑張っていた妖語の勉強のやる気をなくし、意気消沈の私。
 それじゃあ私は、どうやって皆さんのお役に立てばよいのでしょう?
 その日から、やることを求めて敷地内を放浪することになったのでありました。
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