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鬼の仲間として

41 仕事を求めて3

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 皆さん、毎日本当に忙しそうにしています。当り前ですよね。仕事としてこの場に居るのですから。
 そんな中で私一人、暇そうにブラついているのは、やっぱり心苦しいですよ。

 そして、やっと見つけた、入り込む余地のありそうな仕事。それが屠殺……。
 私も、あっちの世界に居た頃はお肉大好きでしたよ。でも、牛や豚を自分で殺したことなんてありませんでした。
 嫌な仕事であっても誰かがアレをして、お肉にして売ってくれなければ食べられないモノだったのですね。私、そんなこと考えたこともありませんでしたよ……。

 イマさんだって、決してやりたくてやっているのじゃないのです。
権限を取り上げるだなんて形で、部下のキヅミさんに替わってやっているって…。イマさんって、とっても優しい鬼さんです。
 その優しい彼女一人に、これをずっとさせているのは、どうなんでしょうね。可哀想じゃないですかね。

 あ、そうか。だからカリさんは担当違いだけど積極的に手伝ってるんだ……。

 ならば、私も…。手伝う?

 う~ん、でもね。私はニンゲン。
 同類を殺す仕事なんですよね。それも、苦しめてだなんて…。

 せめて、苦しませずに送ってあげられるのでしたら良いんですけどね……。
 そう、安楽死させてあげられる、男の子の方だけでしたらね。私も手伝えなく無いのかな……。

 いやいや、手間のかかるのは女子の解体でしょうに…。サクッと殺しちゃうだけの男の子の方は、手助けなんか要らないよね……。

 そんなことを考え悩んでいると、その日の夕食時間になってしまいました。
 メイドのお二人の給仕で、リューサさんといつもの夕食。
 その後にリオシちゃんの美味しいお茶を戴くのですが、お茶の際にはイマさんカリさんも呼ばれ、同席となりました。

「カリ、今年の年末の牧場方の注文はどうなっていますか?」

「はい、12人です。今年も全員男の子の注文です。その内3人は生きたままの出荷になります」

「そう。じゃあ、屠殺するのは、男の子9人か。カリが手伝うと言っても、イマは大変ね。キズミには、やっぱり無理? キズミ自身がやらなくても、部下にさせれば良いでしょうに…」

 リューサさんからのお言葉に、イマさん回答します。

「いえ。そうすれば、キヅミのことです。完全に任せずに同席しようとするでしょう。やはり、それは……」

 へええ…。キズミさんって責任感強いんですね。でも、それがまた厄介なんですね。
 ナユさんやラクッサさんみたく、部下に全委任しちゃえば良いのに……。

「あなたの負担が大きくなってしまって、私も心苦しいのよ。
特に忙しいのは新年祝い用の需要があるこの時期だけだしね。この時期だけの臨時従業員ってのも難しいのよね。みんな忙しいのは同じだからね」

 リューサさん、チラッと私の方を見ます。

 ううう…。ゴメンナサイ。忙しい時に、私だけ暇そうにしていまして……。

 直接どうしろとはリューサさん言いません。けれど、これって、私に手伝って欲しいなってことですよね…。
 それに、さっき、みんな男の子って言いましたよね!
 男の子なら、苦しめずに安楽死ですよね!
 それなら、私でも何かできるかもしれませんよね!!

「あの、私、やります! 是非、手伝わせてください!!」

 リューサさんは、驚いた顔。でも、なんかワザトラシイぞ……。

「み、美玖、正気か?! この前、青くなって寝込んでしまったろうが!」
「そ、そうだぞ、美玖。止めた方が良い」

 一方のイマさんカリさんは、大慌てです。
 でもですね。これは私、今日ずっと考えていたことなんですよ。
 リューサさんから直接手伝って欲しいなんてことは一切言われていませんけどね。私が居る前であんな話して、オマケにあの視線。これは、絶対期待されています。
 それに、男の子の方なんだし!

「誰かがやらないといけない仕事でしょ。殺すなんて嫌に決まっています。
忙しいイマさんが自らこの嫌な仕事をやってるのは凄いと思います。
だからこそ、私も手伝いたいのです。お願い、私に手伝わせて!」

「正直、手が足りなくて困っては居る。だ、だがな……」
「美玖。手伝ってもらえるのであれば、有難いのだがな…。やっぱり止した方が……」

「いえ。大丈夫です。私、やります!」

 そんなことで・・・。私は屠殺を手伝うことになりました。
 半分勢いです。いや、半分じゃなくて、殆どかなあ……。

 う~ん。やっぱり、これは、ちょっと早まりましたかね。
リューサさんに上手く乗せられてしまったような気もします……。


 そして、いよいよ実行の時がきました。これから、その屠殺を行うのです。
いざ現場に来ると緊張しかありません。だって、「ヒト殺し」をするんですから…。
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