51 / 66
鬼の仲間として
51 イマの解体
しおりを挟む
これからイマさんの御葬儀の準備に入ります。……つまるところ、遺体の解体なんですけども。
しかし、牧場の塀の修理や、割れてしまった屋敷内のガラスの入れ替え等、全く人手が足らない状況。オマケに、主人に遺骸の解体されるのが、戦士にとって最大の栄誉なんだとか。
イマさんは私に僕の証を差し出していましたし、私を助けるために命を差し出しました。
だから、私がイマさんを解体してあげなければなりません。これは私の義務なのです。
いつも私に優しくしてくれていたイマさんを、私が解体する…。そんなことって、あり得ます?!
私ってば、何でこんな世界に来ちゃったんでしょう? 何か悪いことしましたか?
自分の運命を呪いたくなります。
考えてみれば、訳も分からずいきなり異世界転移。すぐに河童に襲われかけ、助けられたかと思えば「ニンゲンは食材だ」なんて言われて、いつ食べられてしまうかビクビク…。
そんな中で、人肉を食べさせられて、鬼の肉までも!
次には繁殖母体として望まないセックスさせられるかと思わされ、ニンゲンの無残な解体も見て…。
更には、この手で七人のニンゲンを殺した!
そして自分も内臓を抜かれて串刺しにされた!!
その上、今、命の恩人の遺体を解体しようとしている……。
これ、発狂してても、おかしくないですよね!
泣き叫びながら飛び出しちゃっても、それ普通ですよね!!
だけど…、だけど……、だけど……。
イマさんの解体は、私一人では無理です。なので、カリさんが補助してくれます。
双子のカリさんにとっては、イマさんは同じ顔をした自分の分身と言っても良い存在。いつも一緒に居た、大切なお姉さん。カリさんは、お姉さんの解体を間近で見て、手伝わなければならないのです。
それを思えば、私が泣きわめいていたり、逃げ出したりだなんてことは許されませんよね……。
シッカリしなきゃ!!
横たわるイマさんの遺体。改めて、よく見ます。
全裸でお腹がザックリ割け、中身が無くなっています。その中身は現在、私のお腹に入っているのですね。本当に、本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
目の前の、青白い顔。でも、なんだか安らかな顔……。
イマさん。私、精一杯生きますよ。イマさんの分も、精一杯。
イマさんの命、絶対無駄にしませんからね!
カリさんの指示で、まずお腹と胸に残っている内臓を抜き取ります。
私に移植されたのはイマさんの小腸と大腸の部分であり、他の臓器はそのままイマさんの中に残っているのです。
これらの臓物は、御葬儀の際に皆で分けて食べるのだそうです。
ううう、イマさんの内臓…。ゴメンナサイ、イマさん。ゴメンナサイ……。
次にするのは、首の切断。ニンゲンの解体でも、やりましたよね…。
上から首に刃物を当て、ゴリゴリ切り離します。
うううううっ……。ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ……。
流れ出る涙と鼻水でグシャグシャになりながら、実行……。
次にすることは…。
えっ、えええっ! 目玉を抜き出すの?! それから、脳を出す?!
葬儀では、必要なんですって?!?!
そ、そんな…イマさんの目玉と脳を出すなんて……。
え? 無理なら私がやろうかって?
だ、ダメです! 妹さんにそんな惨いことをさせられません。私がやります!!
イマさん、ゴメンナサイ! ゴメンナサイ! ゴメンナサイ!
ゴメンナサイ、ゴメンナサイ……。
………。
と、取り敢えずこれで…。
御葬儀に必要な主要部分の処理が出来ました……。
カリさんがそれらを容器に入れ、運び出します。ラクッサさんが調理するのだそうです。
後は体を食べやすいようにバラします。こっちは全て私が食べる分です。
イマさんの遺言なんです。拒否なんてできません。
でも、一人の鬼さんのお肉、量が多いので一度には食べられません。一日分ずつ小分けし、冷凍保存します。
手足から肉を削ぎ取り、袋へ入れていきます。お腹の肉、胸の肉、お尻の肉。出来る限り綺麗に削ぎとり、無駄のないように…。
できたお肉の入った十三の袋。これもカリさんが運び出し、冷凍庫へ。
最後に残ったのが骨です。
ですが、取り切れなかったお肉がついていますし、この骨もイマさんの一部。絶対無駄には出来ません。
どうするかというと、煮込んでスープをとるのです。
骨をハンマーで割って、寸胴っていう大きな鍋に入れて行きます。
全部入ってしまうと、カリさんが台車に載せて運び出してくれます。
こっちの処理もラクッサさんがしてくれます。とったスープで、葬儀の際の脳や内臓を煮るんだそうです。
ううう…。兎に角、終わった・・・。
イマさんの遺体の処理は、こうして完了したのでした。
しかし、牧場の塀の修理や、割れてしまった屋敷内のガラスの入れ替え等、全く人手が足らない状況。オマケに、主人に遺骸の解体されるのが、戦士にとって最大の栄誉なんだとか。
イマさんは私に僕の証を差し出していましたし、私を助けるために命を差し出しました。
だから、私がイマさんを解体してあげなければなりません。これは私の義務なのです。
いつも私に優しくしてくれていたイマさんを、私が解体する…。そんなことって、あり得ます?!
私ってば、何でこんな世界に来ちゃったんでしょう? 何か悪いことしましたか?
自分の運命を呪いたくなります。
考えてみれば、訳も分からずいきなり異世界転移。すぐに河童に襲われかけ、助けられたかと思えば「ニンゲンは食材だ」なんて言われて、いつ食べられてしまうかビクビク…。
そんな中で、人肉を食べさせられて、鬼の肉までも!
次には繁殖母体として望まないセックスさせられるかと思わされ、ニンゲンの無残な解体も見て…。
更には、この手で七人のニンゲンを殺した!
そして自分も内臓を抜かれて串刺しにされた!!
その上、今、命の恩人の遺体を解体しようとしている……。
これ、発狂してても、おかしくないですよね!
泣き叫びながら飛び出しちゃっても、それ普通ですよね!!
だけど…、だけど……、だけど……。
イマさんの解体は、私一人では無理です。なので、カリさんが補助してくれます。
双子のカリさんにとっては、イマさんは同じ顔をした自分の分身と言っても良い存在。いつも一緒に居た、大切なお姉さん。カリさんは、お姉さんの解体を間近で見て、手伝わなければならないのです。
それを思えば、私が泣きわめいていたり、逃げ出したりだなんてことは許されませんよね……。
シッカリしなきゃ!!
横たわるイマさんの遺体。改めて、よく見ます。
全裸でお腹がザックリ割け、中身が無くなっています。その中身は現在、私のお腹に入っているのですね。本当に、本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
目の前の、青白い顔。でも、なんだか安らかな顔……。
イマさん。私、精一杯生きますよ。イマさんの分も、精一杯。
イマさんの命、絶対無駄にしませんからね!
カリさんの指示で、まずお腹と胸に残っている内臓を抜き取ります。
私に移植されたのはイマさんの小腸と大腸の部分であり、他の臓器はそのままイマさんの中に残っているのです。
これらの臓物は、御葬儀の際に皆で分けて食べるのだそうです。
ううう、イマさんの内臓…。ゴメンナサイ、イマさん。ゴメンナサイ……。
次にするのは、首の切断。ニンゲンの解体でも、やりましたよね…。
上から首に刃物を当て、ゴリゴリ切り離します。
うううううっ……。ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ……。
流れ出る涙と鼻水でグシャグシャになりながら、実行……。
次にすることは…。
えっ、えええっ! 目玉を抜き出すの?! それから、脳を出す?!
葬儀では、必要なんですって?!?!
そ、そんな…イマさんの目玉と脳を出すなんて……。
え? 無理なら私がやろうかって?
だ、ダメです! 妹さんにそんな惨いことをさせられません。私がやります!!
イマさん、ゴメンナサイ! ゴメンナサイ! ゴメンナサイ!
ゴメンナサイ、ゴメンナサイ……。
………。
と、取り敢えずこれで…。
御葬儀に必要な主要部分の処理が出来ました……。
カリさんがそれらを容器に入れ、運び出します。ラクッサさんが調理するのだそうです。
後は体を食べやすいようにバラします。こっちは全て私が食べる分です。
イマさんの遺言なんです。拒否なんてできません。
でも、一人の鬼さんのお肉、量が多いので一度には食べられません。一日分ずつ小分けし、冷凍保存します。
手足から肉を削ぎ取り、袋へ入れていきます。お腹の肉、胸の肉、お尻の肉。出来る限り綺麗に削ぎとり、無駄のないように…。
できたお肉の入った十三の袋。これもカリさんが運び出し、冷凍庫へ。
最後に残ったのが骨です。
ですが、取り切れなかったお肉がついていますし、この骨もイマさんの一部。絶対無駄には出来ません。
どうするかというと、煮込んでスープをとるのです。
骨をハンマーで割って、寸胴っていう大きな鍋に入れて行きます。
全部入ってしまうと、カリさんが台車に載せて運び出してくれます。
こっちの処理もラクッサさんがしてくれます。とったスープで、葬儀の際の脳や内臓を煮るんだそうです。
ううう…。兎に角、終わった・・・。
イマさんの遺体の処理は、こうして完了したのでした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
31
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる