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鬼の仲間として
61 危険分子の屠殺
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今回、ナオの話を信じた二人は、巻き添えになって殺されることになってしまいました。それも、一人は本来屠殺されることのない赤首輪なのです。
こういった事情も含めて、先ほど全てをナオたち三人に話しました。
巻き添えの二人…。泣いていました。自分の運命を呪い、そしてこんなことに巻き込んだナオを激しく非難して……。
そんな状態に置かれたナオは…。
「ご、ごめんなさい。私の所為で…。許して。
い、いや、許されないよね…。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ……」
やっぱり、泣き出しちゃいました。
そこでの私の提案です。
「ナオ、あなた、責任を取って切腹なさい。ちょうど、そういうふうにお肉になる子がいないかという鬼からの要望が出ていたところです。この二人の命を助けるということは絶対に出来ません。ですが、あなたが見事に切腹して果てたなら、二人は痛くないように楽に送ってあげます。そうでなければ、通常通りに思いっきり痛めつけながらの屠殺になります。どうしますか?」
ナオを非難して泣いている二人の前でのお話。こんな状況だと、当事者のナオは断れませんよね。それを狙ってのイヤラシイ提案です。
「せ、切腹って、なんですか?」
あ、そうか、知らないんだ…。自分で自分のお腹を切って、中身を出して死ぬことだと教えてあげます。
「分かりました。私、切腹します。それで、この二人にお詫びします。
本当に、それで二人が苦しめられて惨たらしく殺されるなんてことはなくなるんですね!」
「はい。屠殺担当者の私が、お約束します」
「分かりました。宜しくお願いします」
……なんてことになったのです。
いや~、しかし、ですね。ひょんなことで要望を叶えられることになりました。
あの変態社長の喜ぶ姿を想像すると、ちょっとというか、とってもムカつきますが…。仕方ありません。牧場にとっては、一番大事な取引先なのです。
そして、こんな大騒ぎになりまして、これはリューサ様に報告しなければなりませんよ。切腹の件も含めて…。急いで報告書と企画書を作成しました。
緊張しながらリューサ様の部屋へ。ニンゲンに秘密が知られて逃亡を図られるなど、大失態です。責任者として叱責されるのは覚悟しなければなりません。
まずはお詫びと、その顛末の報告書を差し出しました。
「あなたが就任して早々にトンデモナイことになりましたね。能力者が出たのならば、仕方ないことか。暫く混乱すると思うけど、十分注意しなさい」
リューサ様の目つきが鋭い…。怖いよ。
でも、想像していたより怒られない。それはありがたいです…。
「あ、あの、その能力者って、よく出るんですか?」
「うん? そうね。偶によ。時々似たようなことがあるのよね。他の牧場でも良く聞くから、能力者が出やすいのは、この世界特有な現象なのかもね。鬼でも能力持っている者、居るからね。キズミの部下もだし、ナユの能力なんかも、そうだしね」
ふ~ん。ナユさんを例に出して自分のことは言わないぞ。
そっか、自分の能力のことは、やっぱり私に内緒にする気か……。
これは、絶対怪しい! この機会に問い詰めてやろう!
「そういえば、リューサ様も異界出入りの能力をお持ちと聞きましたよ。人間界にも自由に行けるそうですね。
でも、それってですね。私がこっちの世界に迷い込んでしまったのと大いに関係しているんじゃあないかと思うんですが! 御返答いただけますか?」
「へっ?」
「リューサ様が、私をこっちの世界に引きずり込んだのですよね!
そんなの、酷いですよ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 私は、そんなことしてませんよ。あなたはホントに偶然迷い込んできたのですからね」
「怪しい……」
その慌てぶりが余計に怪しいんですよ!
思いっきり、疑いの眼をぶつけてアゲマス。
「い、いや、ちょっと止めてよ。そんな眼で見るのは!
ホントに、私は何もしていないんだから!」
「ふ~ん。信じられないな~。じゃあ、こちらの企画書のオーケーを頂けましたら、この件に関しましては不問に付しても良いですけど」
「いやねえ。それ、私を脅迫してるつもりなの? 全然脅迫になってないんですけど!
ホントに私は関係してないんですからね。で、何よ、その企画書って……」
リューサ様、困惑顔で受け取って読んでくれました。
へへへ…。こんな顔が見られて、ちょっと溜飲が下がりましたよ。
いやまあ、企画書の方は、別に否とされるような内容ではありません。ナオを切腹させるというものですので。脅迫しようなんて気も、さらさら無いですからね。
「あら、切腹……。ふ~ん、そうね。切腹なんて無理だから無視するつもりでいたけど、面白いじゃない。でも、ホントに出来る?」
「大丈夫です。本人の了解はとってありますし、結構キモの坐った子です。多分出来ると思います。
ただ、出来なかった場合でも許してくださいね。それが疑惑を不問に付す条件です」
「いやねえ、もう……。私は何にもしてないってば!
でもまあ、オッケー。やってみなさい」
「ありがとうございます」
こういった事情も含めて、先ほど全てをナオたち三人に話しました。
巻き添えの二人…。泣いていました。自分の運命を呪い、そしてこんなことに巻き込んだナオを激しく非難して……。
そんな状態に置かれたナオは…。
「ご、ごめんなさい。私の所為で…。許して。
い、いや、許されないよね…。ゴメンナサイ。ゴメンナサイ……」
やっぱり、泣き出しちゃいました。
そこでの私の提案です。
「ナオ、あなた、責任を取って切腹なさい。ちょうど、そういうふうにお肉になる子がいないかという鬼からの要望が出ていたところです。この二人の命を助けるということは絶対に出来ません。ですが、あなたが見事に切腹して果てたなら、二人は痛くないように楽に送ってあげます。そうでなければ、通常通りに思いっきり痛めつけながらの屠殺になります。どうしますか?」
ナオを非難して泣いている二人の前でのお話。こんな状況だと、当事者のナオは断れませんよね。それを狙ってのイヤラシイ提案です。
「せ、切腹って、なんですか?」
あ、そうか、知らないんだ…。自分で自分のお腹を切って、中身を出して死ぬことだと教えてあげます。
「分かりました。私、切腹します。それで、この二人にお詫びします。
本当に、それで二人が苦しめられて惨たらしく殺されるなんてことはなくなるんですね!」
「はい。屠殺担当者の私が、お約束します」
「分かりました。宜しくお願いします」
……なんてことになったのです。
いや~、しかし、ですね。ひょんなことで要望を叶えられることになりました。
あの変態社長の喜ぶ姿を想像すると、ちょっとというか、とってもムカつきますが…。仕方ありません。牧場にとっては、一番大事な取引先なのです。
そして、こんな大騒ぎになりまして、これはリューサ様に報告しなければなりませんよ。切腹の件も含めて…。急いで報告書と企画書を作成しました。
緊張しながらリューサ様の部屋へ。ニンゲンに秘密が知られて逃亡を図られるなど、大失態です。責任者として叱責されるのは覚悟しなければなりません。
まずはお詫びと、その顛末の報告書を差し出しました。
「あなたが就任して早々にトンデモナイことになりましたね。能力者が出たのならば、仕方ないことか。暫く混乱すると思うけど、十分注意しなさい」
リューサ様の目つきが鋭い…。怖いよ。
でも、想像していたより怒られない。それはありがたいです…。
「あ、あの、その能力者って、よく出るんですか?」
「うん? そうね。偶によ。時々似たようなことがあるのよね。他の牧場でも良く聞くから、能力者が出やすいのは、この世界特有な現象なのかもね。鬼でも能力持っている者、居るからね。キズミの部下もだし、ナユの能力なんかも、そうだしね」
ふ~ん。ナユさんを例に出して自分のことは言わないぞ。
そっか、自分の能力のことは、やっぱり私に内緒にする気か……。
これは、絶対怪しい! この機会に問い詰めてやろう!
「そういえば、リューサ様も異界出入りの能力をお持ちと聞きましたよ。人間界にも自由に行けるそうですね。
でも、それってですね。私がこっちの世界に迷い込んでしまったのと大いに関係しているんじゃあないかと思うんですが! 御返答いただけますか?」
「へっ?」
「リューサ様が、私をこっちの世界に引きずり込んだのですよね!
そんなの、酷いですよ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 私は、そんなことしてませんよ。あなたはホントに偶然迷い込んできたのですからね」
「怪しい……」
その慌てぶりが余計に怪しいんですよ!
思いっきり、疑いの眼をぶつけてアゲマス。
「い、いや、ちょっと止めてよ。そんな眼で見るのは!
ホントに、私は何もしていないんだから!」
「ふ~ん。信じられないな~。じゃあ、こちらの企画書のオーケーを頂けましたら、この件に関しましては不問に付しても良いですけど」
「いやねえ。それ、私を脅迫してるつもりなの? 全然脅迫になってないんですけど!
ホントに私は関係してないんですからね。で、何よ、その企画書って……」
リューサ様、困惑顔で受け取って読んでくれました。
へへへ…。こんな顔が見られて、ちょっと溜飲が下がりましたよ。
いやまあ、企画書の方は、別に否とされるような内容ではありません。ナオを切腹させるというものですので。脅迫しようなんて気も、さらさら無いですからね。
「あら、切腹……。ふ~ん、そうね。切腹なんて無理だから無視するつもりでいたけど、面白いじゃない。でも、ホントに出来る?」
「大丈夫です。本人の了解はとってありますし、結構キモの坐った子です。多分出来ると思います。
ただ、出来なかった場合でも許してくださいね。それが疑惑を不問に付す条件です」
「いやねえ、もう……。私は何にもしてないってば!
でもまあ、オッケー。やってみなさい」
「ありがとうございます」
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