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祖父からのプレゼント
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薄暗い部屋に、一人の男が、静かに立っている。その男は、部屋の電源を落とし、窓から覗く、月明かりだけにすると、ソファに腰掛ける。目の前のソファには、フールが座っていた。
しばらくすれば、警備ロボットが、作動してしまう。時間は、少ししかない。
「あの懐中時計は、無事渡せました。……これが希望になると、僕達は、信じています」
フールの言葉に、男は頷くと、ため息をついた。
「十六歳になったばかりの、子供に、こんな重みを、背負わせるなど……。だが、国王の決定は、絶対だ。フール、この先……。この国は、どうなると思う?」
「どうなる、ですか。難しい質問をしますね。ただ、一つ言えるのは……。あの子を目覚めさせたとしても、国王の、思い通りにいくとは、思わないですね」
フールの言葉に、男は、重々しく頷くと、頭を抱える。
「全く、その通りだと、私も思う。それに、もし、今回の、この国王の計画で、あの子が……。ルカが、自分の生い立ちを、知ってしまったら。その心の傷は、計り知れない」
「……ロキくんもです。自分の両親のこと。そして、あの子について、知ってしまったとき、二人が、どういう想いを抱くのか……。ただ……」
「ただ?」
「感情は、嬉しい、楽しい、だけではないのです。ロキくんも、ルカちゃんも、苦しみの中で、見える喜びを、感じ取れる。そんな心を、持っているはず」
「そうであって欲しいな……。私が協力できることは、できる限り行うが、監視が多すぎて……。フール、頼んだぞ」
時間が来た。フールは、無言で頭を下げ、こっそりと、隣の部屋に移動する。
男は、黙って、電気を付けた。
「どうかされたのですか?」
部屋に入ってきた、ロボットが問う。
「月明かりが見たくてね。電気を切っていたんだ」
男はそう言うと、何事もなかったかのように、微笑んだ。
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