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はじめての衝突
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しおりを挟むはじめての衝突
「はい、今日もありがとう。これ、報酬と、残った果物だけれど、持っていって」
「わぁ!! おばさん、ありがとうございます!!」
商業地区の、果物の露店を出しているおばさんから、報酬と、果物を受け取った僕は、お礼を言って、お店を出た。
エミリィさんに、アドバイスをもらった次の日から、僕は、日常依頼をはじめた。
最初は、地理を覚えようと、子供でもできる、お届け物から。そうしていたら、お店の人たちと、顔見知りになって、色んなお店を、手伝う依頼ができるようになった。
お金の計算も、覚えてきたし、色んな人とも、話せるようになって、とても楽しい。
だけれど、宝玉のことを知っている人は、誰もいなかった。
「スモ爺、ただいま。今日はね、報酬と、果物をもらったんだよ」
敷地内に戻ると、スモ爺に包まれながら、ルカが帰ってくるまで、今日あったことを話すのが、日課だ。
「そういえばね、この果物、生で食べても美味しいけれど、調理しても美味しいって、常連の人が、教えてくれたんだ。簡単なレシピも、教えてもらったんだよ。だから、後で、ノルさんに、調味料をもらって、作ってみようかなぁって思うんだ」
スモ爺は、僕の話を、いつも黙って、聞いてくれる。
「いつも手伝いに行っている、ご飯屋さんも、簡単な調理の仕方を、教えてくれるんだ。せっかく台所も、調理器具もあるんだし、僕もやってみたいなぁって、前から思ってはいたんだ。料理ができるようになったら、もっと、できることが増えるよね」
僕は、スモ爺の頭を撫でる。
「スモ爺、ほとんど食べていないけれど、僕が作ったら、少しは、食べてくれる?」
スモ爺は、気持ちよさそうに、目を閉じたまま、何も言わない。
すると、そこに、以前、僕が、スモ爺の背中に乗せてもらったとき、ついてきた龍が、口に何かくわえて、やってきた。
この龍は、スモ爺の孫らしい。スモ爺のうろこの石と、似た色で、僕とも、仲良くしてくれている。この龍のあだ名は、スタウロだ。
スタウロは、スモ爺の前に、一匹の魚を置いた。だけれど、スモ爺は、ちらりと見ただけで、そっぽを向いてしまう。
「スタウロも、心配なんだね」
僕の言葉に、スタウロが、小さく鳴いてくれた。
スタウロも、スモ爺と同じように、肯定するときに、鳴いてくれるのだ。
「スタウロ、これ、今日もらった果物だけれど、なにかいるかい?」
僕は、かごを持って、スタウロに、中を見せる。スタウロが、中を覗き込んでいた時、スモ爺が、顔を上げて、何かをはじめた。
「スモ爺? 何してるの?」
僕と同時に、スタウロも、顔を上げる。
すると、スモ爺が、何かをくわえて、僕の前に、差し出してきた。
「スモ爺……? これ……。もしかして、スモ爺の、うろこ……?」
スモ爺は、小さく鳴くと、また、うろこを取って、僕の前に、差し出してくる。
スタウロが、スモ爺に向かって、鳴いたけれど、スモ爺は、小さく鳴き返しただけで、何枚も、同じように、僕の前に、置いていく。
「ど、どうしたの、スモ爺」
僕が、焦っていると、ルカと、エミリィさん、ライキさんが、帰ってきた。
「どうしたんだ?」
ライキさんが、聞いてくれたけれど、どうして良いか、分からなかった僕は、無言で、スモ爺の、うろこを見せた。
「爺、お前……」
ライキさんが、何か分かったように、スモ爺に言ったけれど、スモ爺は、もう、そっぽを向いている。
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