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はじめての衝突
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しおりを挟む「爺の、うろこの魔石は、スモーキークォーツ。石言葉は、最強の守護石、安眠。爺が、あんたに、自分の魔石を、渡すことを選んだんだ。……大事にするんだね」
エミリィさんが、僕を、真剣に見ながら言った。僕には、なんのことだか分からない。
エミリィさんは、いつものように、ルカを呼ぶと、エミリィさんの家に入っていった。きっと、ルカが、本を借りるのだろう。ルカは、エミリィさんが貸してくれる本を、とても喜んで、読んでいるから。
ライキさんと、スタウロは、スモ爺を、じっと見つめていた。
僕は、両手いっぱいに、スモ爺のうろこを持って、その様子を見ていたのだった。
「この調味料で良いかい?」
ノルさんが、調味料の入った瓶を、三本、持って来てくれた。
僕は、あの後、スモ爺のうろこを、大事に部屋に置いて、酒場で晩ご飯を食べながら、調味料を、ノルさんに頼んでいた。
「はい! ありがとうございます! えっと、お金、お金……」
僕は、腰につけた鞄の中から、財布を探す。
この鞄は、ライキさんが、龍に乗りやすいようにと、プレゼントしてくれたものだ。
はじめて、スモ爺に乗った後も、時々、スモ爺は、僕を乗せて、飛んでくれていた。後ろには、いつも、スタウロがいる。それを見ていた、ライキさんが、龍人族の人達が愛用している、鞄をくれたときは、とても嬉しかった。
「自分で稼いだお金で、買い物ができるようになったなんて、本当に凄いことだな。しかも、最近、ロキくん指名で、日常依頼が来るんだろう?」
ノルさんの言葉に、僕は、少し恥ずかしくて、下を向いた。
ノルさんの言うとおり、最近、何度も手伝いに行っているお店が、僕を指名して、日常依頼を、出してくれるようになったのだ。
キラさんから、それを聞いたときには、なんだか、自分が、この国に認められた気がして、本当に嬉しかった。
「それに、この調味料を買うってことは、料理もはじめるんだろう?」
「はいっ! はじめは、簡単なものからやれば良いと、色んな人が言ってくれて……。ノルさんも、ご飯屋さんも、凄く手際よく、料理をしていて、格好いいと思っていたから、練習してみようと思って……」
「へぇー。これは、将来は、ここで働いてもらって、俺の跡継ぎにしようかな」
ノルさんが、笑いながら、いつものように、デザートを出してくれた。
冗談で言っているのは、分かったけれど、ここで働けたら、きっと楽しいだろうなと思う。だって、ここには、いつも、笑い声が溢れているし、色んな人が、色んなことを、教えてくれるから。
「ルカちゃんは、エミリィと一緒に、依頼に行ったんだろう? エミリィが、弟子をとったと、噂になっていたよ」
ノルさんの言葉に、今度は、ルカが、恥ずかしそうに笑う。
「エミリィさんの、診療所を、手伝わせてもらっていたとき、たまたま、緊急で、治癒の依頼が入って、連れて行ってもらったんです。その時、エミリィさんの、側について、治癒魔法をやらせてもらって……」
「経験を積ませたら、ギルドの依頼も任せられるし、診療所も任せられると思ってる」
エミリィさんが、こっちを見ないで言ったけれど、本当に凄いことだ。
「ルカ、本当に凄いね!!」
「あら、凄いのは、ロキの方だと思うわ」
「えっ……?」
ルカが、満面の笑みで、僕に言ったから、僕は驚いて、ルカを見た。
「だって、ロキは、自分で、少しずつ日常依頼をして、国に馴染んだじゃない。それに、龍人族の補助なしで、龍に乗ることだって、本当に凄いことだわ」
「うーん、それは、この国の人たちが、優しいから……」
「しかも、料理っていう、新しいことまで、はじめてる。私から見たら、ロキの方が、凄いと思うの」
「そうかなぁ。興味があったことに対して、周りの人が、背中を押してくれただけだよ。あっ、でもね、はじめての料理は、ルカと、ライキさん、エミリィさん、ノルさん……あと、スモ爺にも、食べて欲しいなぁ。失敗したら、恥ずかしいけれど」
僕の言葉に、ルカが、笑って頷いてくれた。その時。
「ロキ。スモ爺のところには、もう、行くべきではありません」
穏やかで、楽しい気持ちの中、突然言った、チィの言葉に、世界が、一瞬、止まった気がした。
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