真実を求めて

Emi 松原

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真実を求めて

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妖精の森へ
 
一行は妖精の森へ行くことに決めていた。
「じゃ,ライト,ありがとな。」
 ケントがライトに言った。
「おう。五人とも気をつけて。」
 ライトに見をくられて,五人は荒れた草原を後にした。
 一行は森の中にどんどん入っていった。もう道らしい道はなくなっている。
「ノームと・・・エルフは・・・森の中では絶対に迷わない・・・。」
 ジュライが不安そうなヒロトに言った。
 進むにつれて,エリヤの顔がどんどん暗くなっていく。エイキも少し落ち着かない様子だ。逆にケントは何かふっきれたような,明るい顔つきをしていた。
「姫。大丈夫だって。俺の占いではそんなに悪いことはでてなかったから。」
 ケントの言葉に,エリヤは少しだけうなずいた。
一行は野宿をしながら二日間歩き続けた。
「そろそろ結界のなかに入るわよ。ヒロトとケントとジュライは少し気分が悪くなるかも。」
 エリヤが言った。
「結界って・・・なんだ・・・?」
 ジュライが聞いた。
「ノームとエルフ以外を寄せ付けないために森に結界が張られて居るんだ。結界の中に入ったら,感覚で分かると思うよ。」
 エイキが言った。
結界の中に入った瞬間,三人にはそれが分かった。
目がぐるぐるまわるような感覚で,景色がすべて同じに見える。
「もう少しのしんぼうだから。」
 エイキはそう言うと,小さな木の笛を取りだした。
 エリヤはハープを組み立てている。
 そして二人はゆっくりと演奏を始めた。
 どこか悲しくて,でも優しい音楽に引き込まれていく。
 そして,エリヤが歌い始めた。

 暖かくて優しい妖精の国。そこで私は国の姫として生まれた。

 ヒロトは驚いた。ケントがエリヤのことを姫と呼ぶのは歌姫という意味だと思っていたが,エリヤは本物の姫だったのだ。
 歌は続いていく。

 とてもとても幸せで,国民達に囲まれて,親衛隊隊長のエイキと恋におち,幸せの日々を送っていた。
 しかしその幸せは,迫害戦争によって壊された。私は国に残ると言った。決して逃げはしないと。でも国民達の意見は違った。なんとか私だけでも逃がそうと,エイキに国王が命じ,二人は妖精の国を後に逃げ延びた。
 戦争の終わった後,この場所に戻ってくる勇気がなかった。姫として,戻らなければと思いつつ,勇気が持てなかった。
 今,この場所へ帰ってきた。私のふるさとへ。大事なふるさとへ。

 エリヤが歌い終わった。
 ふと気が付くと,結界でのめまいが消えていた。
 そしていつのまにか,目の前には家が並んでいて,エルフとノーム達が大勢出てきていた。
 そしてエリヤの前に膝を立てて座っている。
「おかえりなさいませ,姫様。エイキ様。」
 口々にエルフとノームが声を出す。みんな笑顔だ。
 すると,国民達の中を二人のエルフが進んできた。王冠をかぶっている。国王と王妃だということは,ヒロトはすぐにわかった。
「おかえりなさい。わたしのかわいい娘。」
 そう言うと,王妃はおもいっきりエリヤを抱きしめた。
「ただいま帰りました。お母様。」
 そして次にエリヤは国王に抱きしめられた。
「エイキもよく姫を守り抜いてくれた。感謝するぞ。」
 国王のエルフがエイキに言った。
「さあ,こんなところではなんですからお城へ行きましょう。もちろんお友達も一緒にね。」
 王妃の言葉に,五人はうなずいた。
 城の中に通された五人は,旅のことについて説明をした。
 そしていつものごとく国王に本を見せた。
「私にもこの本は読めない。魔族の血が入っていないからね。でも,たしかドワーフの里にハーフの女の子が居ると聞いたが・・・。」
 四人の目が一斉にジュライに向けられた。
「その女の子の名前は・・・・わかりますか・・・・??」
「たしか,アマキといったはず・・・。」
 四人が祈るようにジュライを見ている。
「アマキ・・・・・・・・・知っている・・・・・・・・。」
 四人の目がパッと輝いた。やっと真実へ近づいた気がしたからだ。
「とにかく今夜はここでゆっくりと休んでくださいな。」
 王妃が笑顔で言った。
 その日の夜中
「嫌です。お母様,何をおっしゃるのですか!?」
 エリヤの大きな声で,ジュライとケントとヒロトは目が覚めた。ヒロトはエリヤがこんなに感情を出しているのを聞くのは初めてのことだ。みんな息をひそめている。
「そんなに大きな声を出さないで。お母様は,これ以上あなたの命が危険にさらされるのが絶えられないのよ。」
「そうだ。お前はいずれエイキと結婚してこの小さな国の女王になるのだぞ。もうそろそろこの国で落ち着いてほしいんだ。」
「絶対に嫌です。私には友達ができました。信頼できる友達が!!その友達を見捨てて自分はのうのうと生きることなど絶対にできません!!」
「あなたは辛い思いをして生きてきた。もうそろそろ幸せになってほしいお母様の気持ちは届きませんか?」
「私は今幸せです!!そばに本当に信頼できる友が居る。これほど幸せなことはありませんわ。なんといわれても私は明日友とここを発ちます。」
「エイキ,君も姫を説得しておくれ。」
 国王が言った。
「お言葉ですが国王様,今回の旅は,私も譲ることはできません。わたしがかならず姫を守ります。二人で生きて帰ります。」
 はっきりと,エイキが言った。
「お母様,お父様,私はここを逃げることしかできなかった。やっと帰ってきた今。発つのは辛いです。話したいこともたくさんあります。でも私は,ヒロト達の友として,また一族の代表としてこの旅に臨みたいのです。どうかわかってください。」
 聞こえた声は,ここまでだった。
 次の日の朝
「さぁ,みんな,いくわよ。」
 いつもより明るい声のエリヤが言った。
「エリヤ・・・行けるのか・・・?」
 ジュライが聞いた。
「あー!あんた達盗み聞きしてたわね!!まぁいいわ。最後にはお母様が折れて下さって,自分の信じる道を進みなさいって言ってくださったわ。」
「それと絶対に一族の代表としていくのですから絶対にリタイヤしないでくださいね。」
 エリヤが振り向くと国王と王妃が立っていた。
「みなさん,わがままな娘とエイキを,どうぞよろしくおねがいしますね。」
 王妃が三人に言った。
「お母様,お父様,いってまいります。」
 エリヤは交互におもいっきり抱きしめられた。
「エイキ,娘を頼んだぞ。」
 国王が,エイキに言った。
「はいっ!!」
 エイキがうなずいた。
こうして一行は,妖精の国を後にした。
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