Nijino Kagiwa Ame ~虹の鍵は雨~

Emi 松原

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Nijino Kgiwa Ame ~虹の鍵は雨~

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進む道~ソフィの決断~

僕たちは宿屋に戻ってきた。
その間、ずっとホシナの手を握っていた。
ホシナは、マスターの指示があるまで僕たちと一緒にいることになった。
正確に言えば、見張っておくってことだけど・・・・・。
それでも、正直一緒にいられるのは嬉しかった。

エミノアさんは、部屋に戻るなりどこかに出て行ってしまった。
ヨネルさんはエミノアさんをチラリと見たけど、何も言わなかった。
「ホシナ、マスターからの指示だから・・・。僕たちが君を見張ることになるけど、何か希望があったら言って。」

「えぇ・・・ありがとう・・・。」

「あの・・・エミノアさんは怖く見えるけど、良い人だから・・・。」
なんとかホシナの緊張をほぐそうと思って、僕は色々話しかけた。
「ソフィ、なんなら二人で気分転換に屋上にでも行って来たらどうだ?」
突然ヨネルさんが言った。
僕はヨネルさんの言葉に甘えることにして、ホシナの手をとって部屋を出た。

屋上 

「・・・ということで、剣と魔法の国にレインキーのメンバーをお願い。まだまだ同じような奴らがいるから。」
 エミノアがレインキーに向かって言った。
「わかったわ。エミノア、ありがとう。お疲れさま。」
 レインキーからマスター・エリノアの声が聞こえる。
「それで、ホシナはソフィに任せてそっちにつれていく。」

「・・・あなたは?」

「ホシナの話では、銃と機械の王国の中心部に狭間を操るメインコントロールがある。私はそれをたたきに行く。・・・私は平和を望むソフィや・・・シゲルの意思を守りたい。ヨネルはどうせ勝手についてくるでしょ。」
「待ってちょうだい!せめて応援のチームが到着してから・・・!」
「私は誰も巻き込みたくないんだ。」
「エミノア・・・・・。」
「また連絡するよ。・・・・センニチコウ。」

「待って!エミノ・・・・・」

通信が切れた。
センニチコウの花言葉は、変わらない愛情。

「やっぱりそんなこと考えてたんだな。」
ヨネルの声に驚いてエミノアは振り返った。
「ヨネル。なんでここに。」
「あいつらの遠くからの見張り。一応。」
そう言うとヨネルは屋上の端を指さした。
ソフィとホシナが二人で手を握って話しをしている。

「・・・幸せそうね。」
「そうだな。」
「だけど、本人たちはそのことに気が付いていないのよね。」
「そうだろうな。」
「・・・ソフィたちにこれからのこと伝えないと。」
「そうだな。」
「・・・・相変わらず、不愛想。」
「悪かったな。これが普通だ。」
「知ってる。」
エミノアが少しだけ笑った。

「ソフィ、ありがとう。」
「え?」
「あんなことしたのに・・・優しくしてくれて。好きって言ってくれて。」
「それは・・・・。」
僕は緊張して次の言葉が続かなかった。
「あのね、私が住んでいた所は、ここから見える風景と全く違ったわ。大きな建物が立ち並んでいて、機械ばかりが動いているの。」
「あ・・・銃と機械の国なら、何度も任務で行ったよ。初めて行ったときは正直びっくりしたなぁ。」
「特に私が住んでいた場所は機械の発展がすごくてね。家から一歩も出なくても生きていけるんだ。」
「一歩も?」
「えぇ。人との関わりもね、機械の中でできるんだ。良いことも沢山あるんだよ。だけどね・・・・。」
ホシナが遠くを見つめた。

「だけど、ソフィが手を握ってくれたようなあたたかさはないの。」

「・・・・・・・。」
「だからね、私、ソフィと出会って初めて精神的な幸せ・・・心の幸せっていうのがわかった気がするんだ。私ね、あの場所で暮らしていたら、平和なんて夢物語だと思ってた。」
「・・・・・。」
「私、本当にやったらいけないことした。だけどね・・・今、私、きっと平和で幸せ。」
「・・・ホシナ・・・。」

「邪魔して悪いね。」
エミノアさんの声に、僕たちは驚いて振り返った。
「今からこれからのことを話す。」
「あ・・・はい。」
「ソフィ、明日お前はホシナを連れてレインキー本部に戻れ。」
「あの・・・僕たち二人ですか?」
「そうだけど?」
「お二人はどうするんですか?」
「あたしとヨネルは、狭間を操作するメインコントロールをたたきに行く。」
「えっ・・・?二人で・・・ですか?」
「あぁ。大人数で行くよりあたしとヨネル二人で行った方が素早く動けるし連携もとれる。他のメンバーには、こっちにむかってもらって狭間の対処をしてもらう。」
「危険すぎます!」
「そうだな、戦争に突っ込んでいくのと同じだ。死ぬかもな。」
「じゃあどうして・・・!!」
「・・・・・・・・。」
「エミノアさん・・・?」

「昔な、あたしとヨネルとチームを組んでいた仲間・・・シゲルが殺されたんだ。」

「・・・えっ・・・・・・。」
僕は突然のエミノアさんの言葉に驚いた。
そんな話初めて聞いた。
突然語り始めたエミノアさんを僕たちは黙って見つめた。
「今でこそレインキーっていうのは、持ち主以外が持つことができないことが証明されている。けど、昔は殺してでも奪うって輩も多かったんだよ。」
「・・・・・・・・。」
「シゲルはな、ソフィ、お前とよく似てた。」

「僕と・・・?」

「そう。強い戦闘能力はなかったし、魔法能力も平均。だけど誰よりも努力家で争いを嫌い平和を望む人間だった。」
エミノアさんの目が冷たくなった。
僕は自然とホシナを握る手に力が入った。
「その上、自由で気ままなあたしと物事に興味をもたないヨネルをいつも笑顔で支えてくれてた。ソフィ、私は、お前の中にシゲルと同じ目を見た。だからチームに入れたんだ。」
エミノアさんが僕たちを見つめた。
「あの日も、いつものようにゼック討伐をしていた。シゲルは村の人間を避難させていた。そこに、逃げ遅れたふりをした奴がいた。そして、なんの疑いもなく助けようとしたシゲルは銃でうたれて死んだ。」
ヨネルさんは無表情でエミノアさんを見ていた。
「・・・だから、今度こそ守りたいんだ。あたしの仲間を。あたしの幸せを。」
「幸せ・・・ですか?」
「そう。あたしの幸せはな、変わらない毎日だ。ヨネルがいて、お前がいて、エリノアがいる。そんな毎日が幸せなんだ。」
エミノアさんが悲しそうな目をした。
「戦争はその幸せを奪うんだ。そして、シゲルの意思、お前の夢が壊されるんだ。だからあたしは行く。・・・お前を連れて行かないのは、お前を危険にさらしたくないからだ。」
「そんな・・・・。ヨネルさん、二人でなんて無茶なのはわかってますよね?」

「・・・そんなことわかってる。だが俺は、昔も今もこれからもエミノアと生きる。」

グルグルまわる頭の中で、一生懸命考えた。
僕は、世界が平和になってほしい。
だから、努力してきたし行動もしてきた。
手に、ホシナの手のぬくもりが伝わってきた。

僕は・・・。

「エミノアさん、ヨネルさん、僕も連れて行ってください。お願いします。」
僕は二人に頭を下げていた。
「・・・・理由は?」
「僕・・・足手まといだと思います。だけど、エミノアさんが僕を守りたいって言ってくれたように、僕もエミノアさん、ヨネルさん、そしてホシナを守りたいんです!」
「・・・・・・。」
「僕、今まで自分の幸せについて考えたことありませんでした。幸せって、なにかこう・・・大きなことがおこったりして感じるものだと思ってたんです。」
顔を上げるとまっすぐにエミノアさんを見た。
「だけど、エミノアさんの言葉を聞いてわかりました。僕、ずっと幸せでした。レインキーに入れて、エミノアさんとヨネルさんと沢山仕事をしてきて・・・それに、どんな理由であれホシナと出会えました。その一瞬一瞬が幸せだったんだって、今気が付いたんです。」
「あの・・・・私も行かせてください!」
ホシナの声に、僕は驚いてホシナを見た。
「機械のメインコントロールがあるのは王国の中心部。私の故郷です。それに私はメインコントロールの正確な位置もわかります。」
エミノアさんとヨネルさんは黙って僕たちを見ている。
「これで償いができるなんて思っていません。だけど、何もしないより何かしたいです。あたたかさという幸せを教えてくれたソフィのためにも。」
ホシナが頭を下げた。
僕もつられて頭を下げる。
「お願いします。僕、ホシナを必ず守ります。自分の幸せも、みんなの幸せも守りたいんです。連れて行ってください。」
「お前は・・・・本当にシゲルそっくりだな・・・・・。」
エミノアさんがつぶやいた。
 
「頭、あげな。」

僕たちはエミノアさんを見た。
しばらく誰も何も言わなかった。
だけど突然、エミノアさんが二本の花を出して僕とホシナに投げた。
ペンタス・・・花言葉は、希望が叶う・願い事。
エミノアさんは黙って後ろを向くと歩き始めた。
「・・・明日出発だ。二人とも、これは国と国との争いだ。本来は中立の立場にあるレインキーが動くということも大きな意味がある。それに命がかかってる。覚悟をしておけよ。」
ヨネルさんはそう言うと、エミノアさんの後を歩いて追いかけた。
僕とホシナは顔を見合わせると、うなずきあった。
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