Nijino Kagiwa Ame ~虹の鍵は雨~

Emi 松原

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Nijino Kgiwa Ame ~虹の鍵は雨~

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動き出す歯車~ソフィの決意~

僕はホシナと食堂で一緒に楽しく食事をしていた。
「ねぇ、ソフィはいつからレインキーにいるの?」
「十のころからだよ。」
「へぇ。そんなに早くから。すごいわ。」
「そんなことないよ。僕はエミノアさんとヨネルさんに比べたらまだまだだから。」
「私もね、今大事な仕事でここに来ているの。だけど、同じ年のころのソフィと出会えてうれしいわ。仕事に少し退屈してたから。」
「ホシナの仕事はなんなの?」
「詳しいことは教えられないんだけど、とっても大事な仕事なんだ。」
「そっか。ホシナも頑張ってるんだね。僕も、もっと頑張らなきゃ。」
「ソフィは十分頑張っているわ。」
「でも、僕には夢があるから。」
「夢?」
「そう。僕は狭間やゼックについて解明して、世界を平和にするのが夢なんだ。」

「・・・・そんなことしても平和なんてこないわ・・・・。」

「えっ?」
「ううん。なんでもない。とても素敵な夢ね。」
「ありがとう、ホシナ。」
僕はホシナといる時間がとても楽しくて、今までにない感覚がしていた。
ホシナはとっても可愛い。見ていたらドキドキするし、もっと一緒にいたいって思う。
もしかして・・・これが恋ってやつなのかな?
そう思うと僕は自分が赤くなっていくのが分かった。
ホシナの顔をまともに見られない。
「ソフィ、どうかしたの?」
「あっ・・・いや・・・なんでもないんだ。」
「ねぇ、ソフィはいつまでここにいるの?」
「いつまでだろう・・・。今回の任務は大きいから、しばらくはいると思う。」
「じゃあ、またこうやってデートできるわね。」
「で・・・でーと?」
「えぇ。これからも仲良くしてね、ソフィ。」
「・・・うん!こちらこそ!」
僕は心臓のバクバクが抑えられなかったけれど、ホシナの言葉がとっても嬉しくてうなずいた。
こうして僕はホシナと楽しい時間を過ごして、部屋に戻った。

部屋に戻るとエミリアさんはとっくに眠っていて、ヨネルさんは武器の手入れをしていた。
「楽しそうな顔をしているな。」
「えっ・・・そうですか?」
「・・・たくさんの気持ちを経験すれば良い。それはどれもお前の力になる。仮に辛いことがあってもな。」
「ヨネルさん・・・?」
ヨネルさんは必要なことしかいつも話さないので、なんだかいつもと違うヨネルさんの雰囲気に少し戸惑った。
「休めるときに休んでおけ。これから忙しくなるからな。」
「・・・・・はい。」
だけど僕は何も聞けず、自分のベッドへと向かった。
するとベッドの上に花が置いてあった。
きっとエミノアさんが置いたんだ。
キョウチクトウ。花言葉は・・・・注意・危険?
今回の任務のことかな?
エミノアさんを見たけど、気持ちよさそうに寝息をたてていた。

次の日
僕たちは街で聞き込みを続けていた。
ヨネルさんの提案で、危険を避けるため宿屋以外ではなるべく離れないように言われた僕は二人の後をついて歩いていた。
その時、また剣が光った。狭間の歪みだ。
僕たち三人は一瞬顔を見合わせると走り出した。
二人がゼック討伐をしている間、いつものように避難誘導と逃げ遅れた人を探す。
もう大丈夫だと思った僕は、隠れて二人がゼック討伐を終えるのを待とうとした。
すると、どこからか聞いたことのない音が聞こえてきた。

【ガチャン・ガチャン】

なんだ、この音?
僕は音のする方向に歩いた。
そして僕の目には衝撃的な光景がうつった。
ホシナが、謎の機械を操作している。
そしてその機械の画面には・・・。
狭間とゼック、それに戦っている二人がうつっていた。
「ホ・・・・ホシナ・・・?何してるの・・・・?」
ホシナがビックリしたように僕を見た。

「ソフィ・・・?」

「ねぇ・・・・・これは何・・・・?」
ホシナは僕を冷たい目で見た。
僕の知っているホシナじゃない・・・。
「ソフィ。見てしまったのね。まぁいいわ。どのみちあなたにも消えてもらう予定だったから。」
「え・・・・?ホシナ、何を言ってるの・・・?」
ホシナは答えなかった。
その代わり、黙って僕に拳銃を向けた。
銃と機械の王国の拳銃だ。
「さよなら、ソフィ。少しの間だけど楽しかったのは本当よ。」
何も言えない。
ホシナが拳銃に指をかける。
僕は・・・・死ぬの・・・?
一歩も動けなかった。

「さよならはお前だよ。」
エミノアさんの声が聞こえたと思った瞬間、ホシナの持っていた拳銃がエミノアさんの足で蹴り上げられた。
後ろにしりもちをつくホシナ。
エミノアさんはスピアで機械を貫いた。
機械が爆発する。
そしてそのままエミノアさんは、もう片方のスピアをホシナにむけた。
「どういうことか説明してもらうぞ。少しでも不審な動きをしたら、容赦しないよ。あたしは、仲間に拳銃を向ける奴を許さない。」
「ソフィ。大丈夫か?」
いつの間にか僕の隣にヨネルさんがいた。
「エミノアが機械を破壊した瞬間に狭間が閉じた。お前には残酷だが・・・どういうことかわかるな?」
僕は何も言えなかった。
ただただ黙って、エミノアさんとホシナを見つめていた。
ホシナはエミノアさんをにらんでいる。
だけどそれ以上にエミノアさんの目はとても冷たくて、僕は初めてエミノアさんに対して恐怖を感じた。
エミノアさんがスピアを少し動かして、ホシナに話すよう促した。
ホシナは、ゆっくりと話し始めた。
「私は・・・銃と機械の王国で雇われただけよ・・・・。」
「内容まで全部話しな。」

エミノアさんの冷たい声。

「・・・・・銃と機械の王国は、その科学技術で一気に機械化が発展してとても便利な国になったわ。だけど・・・・・」
「だけど?」
「・・・・国民の一部が、物質的な幸せと精神的な幸せどちらが幸せなのか争い始めたの。」
「幸せ?」
「そう。剣と魔法の王国は、ほとんど機械が普及していないのに国民はみんな幸せそうに暮らしてる。私たちの国は、どこよりも便利なはずなのに幸せを感じなくなっていたのよ。」
僕たちは黙ってホシナの言葉を聞いていた。
「そして、私たちの国の国王は内乱を収めるためにある手段を考えた。それがこの機械よ。」
ホシナがエミノアさんの破壊した機械を指さした。
「この機械は、私たちの国で開発された、狭間を操る機械。国王は、剣と魔法の国にゼックをしかけて私たちでレインキーを始末した後、ロボットとゼックを使って国に乗り込み制圧しようとしたの。」
「なんでそんなこと・・・・。」
僕はやっと声が出た。
「わからない?剣と魔法の国が戦争で不幸になれば、私たちの国の国民は機械化の発展が幸せで正しいものだと思い込む。そのための戦争よ。」
「そんな・・・。じゃあ、ホシナは最初から・・・・・。」
ホシナが僕から目をそらした。
「そうよ。最初からあなたたち三人を始末するために近づいたのよ。」
「・・・・・・・。」
僕は涙が出てきた。
初めて会った時から、きっと僕はホシナが好きだった。
ホシナの笑顔は本物だった。
だって、嘘の笑いであんなに可愛く笑えるはずがない。
だけど・・・・・。
ホシナは険しい顔で僕から顔を背けていた。
「ほかのメンバーは始末されたってことで間違いないな?」
エミノアさんの声は恐ろしく冷静で、怖かった。
「えぇ・・・・。」

ホシナが静かにうなずいた。

「同じことしてるのは、お前だけじゃないだろ?」
「その通りよ。今この国には私と同じ銃と機械の王国に雇われた何人もの人間がきているわ。」
「そうか。事情は分かった。じゃあ、さよならだ。」
そう言うとエミノアさんは、表情一つ変えずにスピアを振り上げた。
「エミノアさん・・・・!まっ・・・・!」
僕はエミノアさんを止めようとしたけれど、僕にそんなスピードはない。
おもわず目を閉じようとしたその時。
「エミノア、落ち着け。」
ヨネルさんが、振り上げた手をもって止めていた。
「この子は正当に裁かれるべきだ。お前の手を汚すな。ソフィは無事だったんだ。」
「・・・・・・・。」
エミノアさんは、黙ってヨネルさんをにらんだ。
変わらないヨネルさんの表情。
ホシナは恐怖で動けないようだ。
少しの間にらみ合っていた二人だったけど、エミノアさんが手をおろした。
僕はほっとした。
エミノアさんは黙ってホシナに花を投げつけた。
セイヨウオダマキ・・・・・。
花言葉は・・・愚か・・・・。
「後は二人に任せる。先に宿に戻る。」
エミノアさんは怒ったように言うと、一人歩き出した。
僕はホシナに近づいて、手を差し出した。

「・・・・・どうして?」

ホシナが不思議そうな目で僕を見た。
「・・・・・それでも・・・・・それでも僕はホシナが好きだから!」
エミノアさんが一瞬止まった気配がした。
そう、僕はホシナが好きだ。
ホシナがやったことが正しいことだとは思わない。
ちゃんとやったことのつぐないはしないといけないと思う。
だけど、きっとホシナにも事情があったはずだ。
だから、僕はこの好きって気持ちに嘘をつきたくない。

「僕は・・・・ホシナが好きだ!」

もう一度言った。
ホシナは驚いて僕を見ていた。
すると、ホシナの目から涙がこぼれた。
僕は焦った。
悪いこと言ったかな?
だけど、ホシナは黙って僕の手をとってくれた。
僕はその手を握りしめて、ホシナを立たせた。
そんな僕たちをヨネルさんは何も言わずに見ていた。
エミノアさんが、歩き出す音が聞こえた。
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