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Nijino Kgiwa Ame ~虹の鍵は雨~
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消えたメンバー~ソフィの青春~
僕たち三人は、トロッコ列車に乗り、剣と魔法の王国を出てレインキーの本拠地がある花と動物の森に帰ってきた。
レインキーの本拠地は虹色でとても大きな建物だ。初めて見た時の感動は今でも覚えている。
僕たちは緊急事態ということで真っ先にマスター室に向かった。
マスター室では机を挟んでマスター・エリノアさんが座っていた。
エミノアさんと同じ顔なので、ついつい緊張感が薄れてしまう。
唯一違うのは、エリノアさんは髪の毛の色が金髪だ。
「三人とも、長旅お疲れさま。無事でなによりだわ。突然だけど、緊急に行ってほしい任務があるの。」
そう言うマスターは僕たちの前に地図を出した。
エミノアさんは見向きもせずに、ソファーまで歩いていくとそのまま寝転がり居眠りをはじめた。
注意するべきか迷ったけれど、マスターが手で合図してくれたので黙って地図を見た。
「剣と魔法の王国の中心部、キボウの街は知っているわね?最近、狭間の歪みがこれまでにないほど発生していたの。」
「はい。噂で聞いています。」
「それで、何チームかゼック討伐と狭間の修復、それに原因解明に向かってもらったんだけれど・・・向かってもらった全チームが行方不明。連絡もとれない状況になっているのよ。」
エリノアさんが真剣に言った。
「それで、あなたたちのチームにはキボウの街に行って行方不明になったメンバーの捜索と原因解明。もちろんゼック討伐に狭間の修復、その原因解明に行ってきてほしいの。」
僕は不安になってマスターの顔を見た。
こんな大きな任務・・・。エミノアさんとヨネルさんは誰もが認める実力者だ。だけど僕は・・・。そんな僕の心を見透かしたように、マスターが微笑んで僕を見た。
「ソフィ。わがままなエミノアと気難しいヨネルをよくまとめてくれているわね。この二人の後方支援ができるのはあなたしかいないわ。」
僕はマスターに笑顔をかえした。この優しさ、エミノアさんと全然違う。
「それで、出発はいつですか?」
ヨネルさんが無表情で聞いた。
「明日の朝には出発してちょうだい。連絡がとれないメンバーが心配だわ。できるだけ早くお願いしたいの。」
ヨネルさんは黙ってうなずいた。
「ソフィ、明日の夜明けに出発だ。それまでは好きにしていていいぞ。」
そう言うとヨネルさんはマスター室を出ようとした。
「あの・・・エミノアさんは・・・。」
「放っておいてもいい。心配するな。」
ヨネルさんの言葉に、僕はマスターに頭を下げるとマスター室を後にした。
「それで、エミノア。どう思う?」
エリノアが寝ているエミノアに言った。
「どう思うって?」
エミノアは目をつぶったままエリノアに答える。
「今回の出来事よ。今までにない何かを感じる。あなたもでしょ?」
「そうだね。できればこんな危険な任務にソフィを行かせるのはやめてほしかったんだけど。」
「レインキーは基本的に三人チーム。それに・・・あの事件の後、あなたたち二人が認めたのはソフィだけでしょう。それで、今回の出来事に関するあなたの考えを聞かせてちょうだい。」
「・・・ただの狭間の歪み、亀裂、ゼックが原因ではないことは確かだろうねー。それも国の中心部。これだけでも、関わりたくない任務って思うよ。それに最近、一気に銃と機械の王国での任務がなくなったのも気になるね。」
「私も同じ考えだわ。これには人為的なものが絡んでいる可能性が高い。場合によっては王国すら巻き込む。エミノア、くれぐれも気を付けて。メンバーをよろしくね。」
エミノアは黙って立ち上がった。チラリとエリノアを見ると、フロックスの花を投げる。
花を受け取ると、エリノアはシロタエギクの花をエミノアに投げ返した。
エミノアはそれを受け取り黙って花を見るとそのままマスター室を出て行った。
フロックスの花言葉は合意・一致。シロタエギクの花言葉はあなたを支える。
マスター室を出た僕は真っ先に図書室に向かった。
僕はまだまだ知識も経験も浅い。だから少しでも勉強して、多くのヒール魔法を覚えるんだ。
それに、狭間とゼックの勉強もしたいし、今回の任務キボウの街についても調べたい。持てるだけの本をもって机につくと本を開く。僕には特化した能力はない。だからこそ努力して、みんなの役に立てるようになりたいんだ。
あの日、ありがとうと言われて夢を持った。
夢のためには行動するしかない。そう自分に言い聞かせて本を読み始めた。
夜明け
僕は準備を整えて外に出た。
ヨネルさんとエミリアさんはすでに待っていた。
エミリアさんは相変わらず眠そうで不機嫌だ。
だけど、僕を見るとエミリアさんは表情を変えずに近づいてきた。そして何か投げた。慌てて受け取る。
「ほらっ。レイン石で新しく創ってもらった。」
「これは・・・攻撃用の片手剣ですか?」
「そう。形状はあんたが持ってるヒール用の剣と一緒だから扱いやすいでしょ。」
「でも、なんで突然・・・僕に攻撃能力は・・・。」
エミリアさんは黙って後ろを向くと歩き始めた。
「ただの護身用だ。あんた、基礎練習いつもしてるだろ。十分使える。行くよ。」
エミリアさんに黙ってついていくヨネルさん。
慌てて二人を追いかける。
だけど・・・。
こっそりやってたつもりだった練習、エミノアさんはちゃんと見ててくれたんだ。
追いかけながら僕はこっそり笑顔になった。
昼前に僕たちはキボウの街に到着した。
「今のところ狭間の歪みはないようだな。今のうちに宿に行くぞ。」
「はい。ヨネルさん。」
「ソフィ、ついでに街の人に聞き込みも頼む。」
「わかりました。」
僕はヨネルさんに笑顔でうなずいた。
僕たちはキボウの街中心部の宿に向かった。
途中で色んなお店の人に聞き込みをしたけれど、返ってきた答えはほとんどみんな一緒だった。
「しょっちゅう狭間が開くようになった。それも巨大な。」
そのことをヨネルさんとエミリアさんに報告すると僕たちは宿屋に入った。
その時、一人の女の子が走ってきて僕とぶつかって転んだ。
「あ・・・!ごめんなさい。大丈夫?」
僕は女の子に手を伸ばした。僕の手をとる女の子。
「ありがとう。ごめんなさい。急いでたからうっかりしてたの。」
「いや、僕のほうこそ・・・。」
その後の言葉が続かなかった。
女の子はとても可愛くて、僕は思わず見とれていた。
「私、ホシナ。しばらくこの宿に泊まっているの。よろしくね。」
「えっと・・・僕はソフィ。この街には仕事で来たんだ。よろしく。」
「そうなんだ!ソフィはなんの仕事をしているの?」
「あの・・・一応僕はレインキーで・・・・。」
「まぁ!すごい!あ、そろそろ行かなくちゃ。またねソフィ。」
「あ・・・・うん・・・またね。」
僕はホシナの去っていった方を見つめていた。
なんだろう、このドキドキした気持ち。
「ソフィ、行くぞ。」
ヨネルさんの声で我に返った僕は、三人で部屋に行った。
「宿屋の店主に聞いたが、やはりレインキーのメンバーは全員この宿を利用していたようだな。そしてゼック討伐に向かったまま帰ってきていない。」
「ゼックに倒されたわけではないんですよね?」
「あぁ。ゼックに倒されたなら狭間が開きっぱなしのはずだからな。」
立ったまま話していると、突然剣が光った。
この近くで狭間が歪んでいる証拠だ。
「ヨネルさん、エミリアさん、近くで狭間の歪みが発生しています!」
僕が言うが早いか、二人はもう武器をもって窓から飛び降りた。
走って二人を追いかける。
「レインキーです!こちらに!」
僕はいつものように避難誘導をすると、逃げ遅れた人がいないか確かめた。
二人は相変わらずの強さでゼック討伐をしている。
走って確認をしていた僕の目に、驚くべき人物が入った。
「ホシナ?こんな所で何してるの!ここは危険だよ!すぐに逃げて。」
ホシナは一瞬僕を見て驚いた顔をした。
「あ・・・あの・・・怖くて逃げ遅れちゃって・・・。」
「早く!こっちだよ!」
僕はホシナの手をとって走った。
僕の心臓はなぜか戦いとは違うドキドキがしていて、ホシナの方を見れなかった。
ただ黙ってホシナを安全な場所まで連れて行った。
「じゃあ、僕は行かなくちゃ。」
ホシナに手をふると、急いで狭間を閉じに向かった。
ゼックは二人が討伐していた。僕は大きな狭間を閉じていく。
「街の人が言っていたとおりですね。こんな大きい狭間。」
「そうだな。」
狭間を閉じている僕を、エミノアさんが少し冷たい目で見つめているのに僕は気が付いていなかった。
宿屋に戻ると、ホシナがいた。
「ソフィ、今日はありがとう。お礼に一緒に食事でもどうかと思って・・・。」
僕の胸はなぜか高鳴った。
「うん!うれしいよ。あ・・・でも・・・。」
任務のこともあるし、ヨネルさんとエミノアさんを見た。
「行ってこい。ゼックが出現したら現場で合流すればいい。」
ヨネルさんの言葉に僕は安心して、ホシナと食事に出かけて行った。
「ねぇ、あの子どう思う?」
宿屋の部屋でエミノアがベッドに横になりながら言った。
「あのホシナって子か。確かに少し不可解な子ではあるが、今回の事件に結びつけるには何も要素がそろっていない。」
「ソフィが青春しているみたいだから、邪魔したくはないんだけど。だけど、あの子は何かひっかかる。」
「同感だ。だけど、このことはソフィには言わない方がいいな。」
「そんなことわかってる。ただね、ソフィは弟みたいなもんだから。あまり傷ついてほしくないっていうのが本音。」
「傷つくのも、大事な経験だ。俺たちは、ソフィを守るために全力をつくせば良い。シゲルの後にやっと見つけた大事な仲間だ。」
「シゲル・・・か・・・。あの子は本当にシゲルに似てる。だからこそ私はあの子をチームに入れたんだ。今度こそ守り抜くために。あの子も、あの子の夢も。」
「守れるよ。今の俺たちなら。」
エミノアは黙ってリコリスの花をヨネルに投げた。
リコリスの花言葉は悲しい思い出。
僕たち三人は、トロッコ列車に乗り、剣と魔法の王国を出てレインキーの本拠地がある花と動物の森に帰ってきた。
レインキーの本拠地は虹色でとても大きな建物だ。初めて見た時の感動は今でも覚えている。
僕たちは緊急事態ということで真っ先にマスター室に向かった。
マスター室では机を挟んでマスター・エリノアさんが座っていた。
エミノアさんと同じ顔なので、ついつい緊張感が薄れてしまう。
唯一違うのは、エリノアさんは髪の毛の色が金髪だ。
「三人とも、長旅お疲れさま。無事でなによりだわ。突然だけど、緊急に行ってほしい任務があるの。」
そう言うマスターは僕たちの前に地図を出した。
エミノアさんは見向きもせずに、ソファーまで歩いていくとそのまま寝転がり居眠りをはじめた。
注意するべきか迷ったけれど、マスターが手で合図してくれたので黙って地図を見た。
「剣と魔法の王国の中心部、キボウの街は知っているわね?最近、狭間の歪みがこれまでにないほど発生していたの。」
「はい。噂で聞いています。」
「それで、何チームかゼック討伐と狭間の修復、それに原因解明に向かってもらったんだけれど・・・向かってもらった全チームが行方不明。連絡もとれない状況になっているのよ。」
エリノアさんが真剣に言った。
「それで、あなたたちのチームにはキボウの街に行って行方不明になったメンバーの捜索と原因解明。もちろんゼック討伐に狭間の修復、その原因解明に行ってきてほしいの。」
僕は不安になってマスターの顔を見た。
こんな大きな任務・・・。エミノアさんとヨネルさんは誰もが認める実力者だ。だけど僕は・・・。そんな僕の心を見透かしたように、マスターが微笑んで僕を見た。
「ソフィ。わがままなエミノアと気難しいヨネルをよくまとめてくれているわね。この二人の後方支援ができるのはあなたしかいないわ。」
僕はマスターに笑顔をかえした。この優しさ、エミノアさんと全然違う。
「それで、出発はいつですか?」
ヨネルさんが無表情で聞いた。
「明日の朝には出発してちょうだい。連絡がとれないメンバーが心配だわ。できるだけ早くお願いしたいの。」
ヨネルさんは黙ってうなずいた。
「ソフィ、明日の夜明けに出発だ。それまでは好きにしていていいぞ。」
そう言うとヨネルさんはマスター室を出ようとした。
「あの・・・エミノアさんは・・・。」
「放っておいてもいい。心配するな。」
ヨネルさんの言葉に、僕はマスターに頭を下げるとマスター室を後にした。
「それで、エミノア。どう思う?」
エリノアが寝ているエミノアに言った。
「どう思うって?」
エミノアは目をつぶったままエリノアに答える。
「今回の出来事よ。今までにない何かを感じる。あなたもでしょ?」
「そうだね。できればこんな危険な任務にソフィを行かせるのはやめてほしかったんだけど。」
「レインキーは基本的に三人チーム。それに・・・あの事件の後、あなたたち二人が認めたのはソフィだけでしょう。それで、今回の出来事に関するあなたの考えを聞かせてちょうだい。」
「・・・ただの狭間の歪み、亀裂、ゼックが原因ではないことは確かだろうねー。それも国の中心部。これだけでも、関わりたくない任務って思うよ。それに最近、一気に銃と機械の王国での任務がなくなったのも気になるね。」
「私も同じ考えだわ。これには人為的なものが絡んでいる可能性が高い。場合によっては王国すら巻き込む。エミノア、くれぐれも気を付けて。メンバーをよろしくね。」
エミノアは黙って立ち上がった。チラリとエリノアを見ると、フロックスの花を投げる。
花を受け取ると、エリノアはシロタエギクの花をエミノアに投げ返した。
エミノアはそれを受け取り黙って花を見るとそのままマスター室を出て行った。
フロックスの花言葉は合意・一致。シロタエギクの花言葉はあなたを支える。
マスター室を出た僕は真っ先に図書室に向かった。
僕はまだまだ知識も経験も浅い。だから少しでも勉強して、多くのヒール魔法を覚えるんだ。
それに、狭間とゼックの勉強もしたいし、今回の任務キボウの街についても調べたい。持てるだけの本をもって机につくと本を開く。僕には特化した能力はない。だからこそ努力して、みんなの役に立てるようになりたいんだ。
あの日、ありがとうと言われて夢を持った。
夢のためには行動するしかない。そう自分に言い聞かせて本を読み始めた。
夜明け
僕は準備を整えて外に出た。
ヨネルさんとエミリアさんはすでに待っていた。
エミリアさんは相変わらず眠そうで不機嫌だ。
だけど、僕を見るとエミリアさんは表情を変えずに近づいてきた。そして何か投げた。慌てて受け取る。
「ほらっ。レイン石で新しく創ってもらった。」
「これは・・・攻撃用の片手剣ですか?」
「そう。形状はあんたが持ってるヒール用の剣と一緒だから扱いやすいでしょ。」
「でも、なんで突然・・・僕に攻撃能力は・・・。」
エミリアさんは黙って後ろを向くと歩き始めた。
「ただの護身用だ。あんた、基礎練習いつもしてるだろ。十分使える。行くよ。」
エミリアさんに黙ってついていくヨネルさん。
慌てて二人を追いかける。
だけど・・・。
こっそりやってたつもりだった練習、エミノアさんはちゃんと見ててくれたんだ。
追いかけながら僕はこっそり笑顔になった。
昼前に僕たちはキボウの街に到着した。
「今のところ狭間の歪みはないようだな。今のうちに宿に行くぞ。」
「はい。ヨネルさん。」
「ソフィ、ついでに街の人に聞き込みも頼む。」
「わかりました。」
僕はヨネルさんに笑顔でうなずいた。
僕たちはキボウの街中心部の宿に向かった。
途中で色んなお店の人に聞き込みをしたけれど、返ってきた答えはほとんどみんな一緒だった。
「しょっちゅう狭間が開くようになった。それも巨大な。」
そのことをヨネルさんとエミリアさんに報告すると僕たちは宿屋に入った。
その時、一人の女の子が走ってきて僕とぶつかって転んだ。
「あ・・・!ごめんなさい。大丈夫?」
僕は女の子に手を伸ばした。僕の手をとる女の子。
「ありがとう。ごめんなさい。急いでたからうっかりしてたの。」
「いや、僕のほうこそ・・・。」
その後の言葉が続かなかった。
女の子はとても可愛くて、僕は思わず見とれていた。
「私、ホシナ。しばらくこの宿に泊まっているの。よろしくね。」
「えっと・・・僕はソフィ。この街には仕事で来たんだ。よろしく。」
「そうなんだ!ソフィはなんの仕事をしているの?」
「あの・・・一応僕はレインキーで・・・・。」
「まぁ!すごい!あ、そろそろ行かなくちゃ。またねソフィ。」
「あ・・・・うん・・・またね。」
僕はホシナの去っていった方を見つめていた。
なんだろう、このドキドキした気持ち。
「ソフィ、行くぞ。」
ヨネルさんの声で我に返った僕は、三人で部屋に行った。
「宿屋の店主に聞いたが、やはりレインキーのメンバーは全員この宿を利用していたようだな。そしてゼック討伐に向かったまま帰ってきていない。」
「ゼックに倒されたわけではないんですよね?」
「あぁ。ゼックに倒されたなら狭間が開きっぱなしのはずだからな。」
立ったまま話していると、突然剣が光った。
この近くで狭間が歪んでいる証拠だ。
「ヨネルさん、エミリアさん、近くで狭間の歪みが発生しています!」
僕が言うが早いか、二人はもう武器をもって窓から飛び降りた。
走って二人を追いかける。
「レインキーです!こちらに!」
僕はいつものように避難誘導をすると、逃げ遅れた人がいないか確かめた。
二人は相変わらずの強さでゼック討伐をしている。
走って確認をしていた僕の目に、驚くべき人物が入った。
「ホシナ?こんな所で何してるの!ここは危険だよ!すぐに逃げて。」
ホシナは一瞬僕を見て驚いた顔をした。
「あ・・・あの・・・怖くて逃げ遅れちゃって・・・。」
「早く!こっちだよ!」
僕はホシナの手をとって走った。
僕の心臓はなぜか戦いとは違うドキドキがしていて、ホシナの方を見れなかった。
ただ黙ってホシナを安全な場所まで連れて行った。
「じゃあ、僕は行かなくちゃ。」
ホシナに手をふると、急いで狭間を閉じに向かった。
ゼックは二人が討伐していた。僕は大きな狭間を閉じていく。
「街の人が言っていたとおりですね。こんな大きい狭間。」
「そうだな。」
狭間を閉じている僕を、エミノアさんが少し冷たい目で見つめているのに僕は気が付いていなかった。
宿屋に戻ると、ホシナがいた。
「ソフィ、今日はありがとう。お礼に一緒に食事でもどうかと思って・・・。」
僕の胸はなぜか高鳴った。
「うん!うれしいよ。あ・・・でも・・・。」
任務のこともあるし、ヨネルさんとエミノアさんを見た。
「行ってこい。ゼックが出現したら現場で合流すればいい。」
ヨネルさんの言葉に僕は安心して、ホシナと食事に出かけて行った。
「ねぇ、あの子どう思う?」
宿屋の部屋でエミノアがベッドに横になりながら言った。
「あのホシナって子か。確かに少し不可解な子ではあるが、今回の事件に結びつけるには何も要素がそろっていない。」
「ソフィが青春しているみたいだから、邪魔したくはないんだけど。だけど、あの子は何かひっかかる。」
「同感だ。だけど、このことはソフィには言わない方がいいな。」
「そんなことわかってる。ただね、ソフィは弟みたいなもんだから。あまり傷ついてほしくないっていうのが本音。」
「傷つくのも、大事な経験だ。俺たちは、ソフィを守るために全力をつくせば良い。シゲルの後にやっと見つけた大事な仲間だ。」
「シゲル・・・か・・・。あの子は本当にシゲルに似てる。だからこそ私はあの子をチームに入れたんだ。今度こそ守り抜くために。あの子も、あの子の夢も。」
「守れるよ。今の俺たちなら。」
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