Nijino Kagiwa Ame ~虹の鍵は雨~

Emi 松原

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Nijino Kgiwa Ame ~虹の鍵は雨~

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レインキー~ソフィの苦悩~

ソフィはトロッコ列車でゆられながら目の前で眠っているエミノアに叫んだ。
乗客の目がソフィに向けられる。ソフィは慌てて声を落とした。
「ヨネルさんもなんとか言ってくださいよ。もうすぐ到着するんですよ。」
僕は自分を落ち着かせると改めて目の前の自分のチームであり先輩の二人を見た。
青い髪の短髪で無口なヨネルさん、ゼックと戦うときは僕じゃ持ち上げることすらできない巨大な剣を持つ。
そしてヨネルさんの膝を枕に居眠りしていて長い綺麗な銀髪を無造作にたらしているエミノアさん。レインキーではまれなダブルスピア使い。
二人とも十六歳なのにレインキーでどの人からもからも頼られている存在だ。
僕はだいぶ伸びた緑色の髪の毛で、片手剣でヒール魔法と狭間魔法が使える後方支援役の十三歳で二人の後輩ソフィ。
「ソフィ、エミノアに真面目に話をしようとするだけ無駄だ。」
 ヨネルさんに言われて、僕は口ごもった。
 すると、エミノアさんがチラリと目を開けると魔法で花を出し僕の方に投げた。エミノアさんはよく花言葉で気持ちを伝えてくる。
花を見ると、ハナカイドウ・・・花言葉は、美人の眠りだ。
起きる気のないエミリアさんに僕はため息をついた。

僕たちはレインキー。
狭間の歪みで亀裂ができた場所から現れ、絶望と苦しみを与える通称ゼックという魔物に唯一対抗でき、レイン石で作られた武器を扱い戦う集団だ。
拠点は、今僕たちが仕事で来ている剣と魔法の王国と、隣にある銃と機械の王国のはざまに位置する花と動物の森にある。
「エミノアさん、ハサチ村につきましたよ。起きてください。」
 エミノアさんを無理矢理起こすと、三人で狭間の歪みが起こっているという場所に向かった。

 ゼックと戦うレインキーは二つの王国どちらでも憧れの集団。入れる条件はただ一つ。レインキーを持っているかどうか。
 レインキーはその詳細も出現理由もわかっていない手のひらサイズの虹色のカギで、持ち主以外は持つこともできない不思議なカギだ。
唯一雨の日に現れる確率が高いという噂で、僕も雨の日にいつも探しに出かけていた。僕は剣と魔法の国の田舎町出身で、十歳の時レインキーを見つけた。

  僕は歩きながらあの日を思い出していた。
あの日も、雨が降っていた。僕はレインキーを探してあてもなく歩いていた。
だけどいつものように見つかる気配もなくて帰ろうとした時、小さな女の子が野犬に襲われているのを見つけた。
必至で持っていた傘を振り回して、なんとか女の子は無事だった。だけど傘はボロボロ。そんな僕を見て、女の子は
「おにいちゃん、かっこよかった!ありがとう。」
と言ってくれた。女の子の笑顔を見て気持ちが晴れて家に帰ると、傘立てに無造作に傘を投げた。
その時、【カラン】と明らかに傘じゃない音がして、傘立ての中を確認するとそこにはレインキーがあった。

そして今僕は、レインキーの実力者の二人とチームを組ませてもらっている。
レインキーは基本的に三人チーム。僕は二人と比べて至って平凡。特に特化した能力もないのに、二年前突然エミノアさんに声をかけられチームに入れられた。
こんな平凡な僕にも夢がある。いつかレインキーと狭間、ゼックの解明をして世界を平和にすることだ。

そのためにはこの二人のチームに入れたことは嬉しかったんだけど・・・・。

「ねぇ、あそこの食堂おいしそうだね。ちょっと寄って行こうよ。」
「エミノアさん!今にも狭間が開くかもしれないんですよ!食事はその後です!!」
 超マイペースなエミノアさんに何にも興味を示さないヨネルさん。僕はそんな二人になんとか任務をこなしてもらえるよういつも苦労している。
 狭間の歪みが発生していると報告を受けた場所に近づいたとき、人々の叫び声が聞こえてきた。
「一足遅かったようだな。」
ヨネルさんが背中に背負っていた巨大な剣を手に持つと無表情で言った。
エミノアさんは両手にスピアを持っているが、明らかにやる気がなさそうだ。
戦闘能力がほとんどない僕は、走って村人たちの避難誘導に向かう。僕が到着した時には大きな狭間の亀裂ができていて、巨大なゼックが何体も出現していた。
僕は首からぶら下げているレインキーを手に取ると、魔法で大きくした。

「レインキーです!皆さんこちらに逃げてください!!」
 レインキーを見た村人達は、安心したように僕の避難誘導に従って避難してくれた。
後はゼックの討伐。
戦闘能力がない僕は隠れていつでもヒール魔法をつかえるようにスタンバイして
二人を見た。相変わらず無駄のない動きで、二人はゼックを討伐していく。

二人はお互いの背中を守り合い、ヨネルさんは巨大な剣を余裕で振り下ろしゼックを一網打尽にする。
エミノアさんは二本のスピアを踊るように振り回し、素早くゼックを倒す。あれだけ巨大なゼック相手に、二人は一歩も引かない。
「ヨネル!そっち任せた!」
巨大なゼックがエミノアさんに迫る。エミノアさんは回転しながらスピアを操りゼックを倒していく。
エミノアさんにできた少しの隙をゼックが狙うが、ヨネルさんの剣が一刀両断にする。そしてかすり傷一つなく、ゼックの討伐を終えた。

「ヨネルさん、エミノアさん、お疲れ様です。後は僕が処理します。」
僕はそう言うと、レイン石でできた片手剣を使い狭間の亀裂を魔法で閉じていく。これが一番の僕の役目。
二人にはヒール魔法を使ったことがない。それだけ二人は強いんだ。だけど、普段の
二人は問題児以外の何物でもない。

「ねぇーお腹すいた!さっきの食堂行こう!」
 そう言ってエミノアさんが歩き始めた。無言でついていくヨネルさん。僕は慌てて二人を追いかけた。
 食堂につくと、エミノアさんは大量の食事を注文して片っ端から食べ始める。僕はその様子にため息をついた。
すると、エミリアさんがまた花を投げてきた。
サイネリア・・・花言葉は、いつも快活。
僕は何も答えず大量の食事を食べているエミリアさんのテーブルに座った。
ヨネルさんは飲み物だけ飲んでいる。僕も飲み物を注文すると、今後の予定を二人に話し始めた。
「これから一旦レインキーの本拠地に戻りますが、急がなくてもいいとマスターから言われています。最近、ゼック討伐が多かったですから、少しは休んでも良いと言われています。・・・エミノアさん、少しですよ!」
あれだけ大量にあった食事を完食し、ヨネルさんの膝を枕に寝ようとしているエミノアさんに釘をさすように言った。
エミノアさんはそんな僕を無視してもう寝ている。
その時。僕たち三人のレインキーが光った。本部からの指令だ。レインキーを手に取ると、マスターの声が聞こえてくる。
「三人とも、ゼック討伐お疲れさま。申し訳ないんだけれど、緊急事態よ。なるべく早く本部に戻って。」
「わかりました。」
僕とヨネルさんが答えた。
「エリノア、最近人使い荒くない?」
 エミノアさんが不機嫌そうに言った。
「エミノア、仕事中はマスターと言いなさいって言ってるでしょ。」
「はいはい、マスター様。」
「様は余計。じゃあ、ソフィ、二人をよろしくね。」
「はい・・・頑張ります・・・。」
ため息交じりのマスターの声は、僕の苦労を感じてくれているのが分かった。
レインキーマスター、エリノアさんとエミノアさんは双子の姉妹だ。エミノアさんは不機嫌そうなまま立ち上がった。
「エミノアさん、緊急事態ですよ。寄り道はなしですぐに戻りましょう。」
僕はなだめるように言うと、本部に戻るため二人と歩き始めた。

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