転校したら魔法学校だった件

のん太

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2.魔法学校入学編

第4話 入学式の朝

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 気が付くと俺は不思議な空間にいた。物がない。ただ明るく、だだっ広い空間。ここは……どこだ? そう思っていると、女の影が現れる。

「ここは私が作りだした空間。あなたにひとつ忠告をしに来ました。あなたはこのままでは8人目の△×*&に」

 8人目のなんだって?

「この言葉はあなたには認識できませんか。分かりやすく言い換えると『もう犠牲を増やしたくはない』かしら」

 そして女は視界から遠ざかっていく。

 詳しいことは思い出せないけれど、こんな感じの夢だった気がする。夢の中のことなんてずっと考えているのも馬鹿げた話なのだが、なんだか大事なことを聞いた気がするのだ。絶対に忘れてはいけないような、そんな何か。

ーーーーーー

 俺は小鳥のような魔物のさえずり……というよりかは遠吠えで目が覚める。いつものように顔を洗って、母さんに剣の素振りを見てもらい、新聞を取りに行って朝食をとる。最近自分でも規則正しい生活になったと思う。

「エイト、今日は入学祝いでナイトビーストのコーガン? とかいうのを使った肉料理を作ってみたの。朝から重いとか気にしないで、若いんだから」

 今日は待ちに待ったプルスロット魔法学校入学式だ。母さんも手塩にかけて料理を作ってくれたし、ハーグさんから教わった氷魔法もあるし、これから頑張るぞ。

「ロゼちゃん。頑張って作ったのはいいんだけど、確かナイトビーストのコーガンって……」

 父さんが母さんに耳打ちする。すると、母さんは動きを止めた。かと思うと顔を真っ赤にして皿を下げた。

「こ、こういうものはエイトには、は、早いわ。剛平さん、教えてくれてありがとう……危うく息子にとんでもないものを……」

 とんでもないものって一体何だろう。疑問に思いながらも、その後に出されたトーストを頬張りながら父さんに聞く。

「プルスロット魔法学校ってどんなところなの? ハーグさんが校長先生なのは知っているけど、他は何も知らないから」

「プルスロット魔法学校は超一流の魔法学校で、初等部から大学までひとつの土地にある。主に入学してくるのは10年に一人の逸材と吟われるような者や、貴族の子息なんかがほとんどだ」

 なにそれ、聞いてないんですけど。俺、貴族でもないし、才能も皆無だし。絶対クラスで浮くやつだ。そう思うと次第に不安になってきた。

「剛平さん、エイトが不安になるようなこと言わないでくださる? 大丈夫よ、エイトは帰国子女枠とハーグさんとのコネを使っただけだから何も心配しなくていいのよ」

 ますます不安になってきた。コネっておもいっきり不正入学じゃ……。前にニュースで不正入学を特集していた番組があった。そこで何人ものおじさんが逮捕されてて……。そうしたら命の恩人のハーグさんも逮捕される!

「あ、不正入学とかこっちじゃざらだから。貴族は基本コネを使うから同じことをしたまで。全く問題はない」

 俺は安心した。みんな不正入学だと思えばまだ気持ちが楽だ。
 そう、ここでは日本にいたときと常識も考え方も違う。だからすごく面白い。まだ俺はハーグさんとミヨシさん以外の異世界人と交流していない。魔法を教わりたいというのもあるが、今では同年代の人たちと話がしてみたいというのが大きい。
 母さんはチラッと時計を見る。

「あら、もうこんな時間。エイトの入学式だから頑張っておめかししなくちゃね」

 慌てたように母さんは部屋へ戻っていった。こうやって仕度していると小学校のときの入学式を思い出す。そのときは母さんは庭に生えていた雑草を編んで作った服を着ていこうとして、父さんと俺で慌てて止めたっけ。ん? まさか……!

「お待たせ。どう? これでいつでもが潰せるわよ、うふ」

 俺と父さんは開いた口がふさがらなかった。なんと母さんは日本から持ち込んだプチプチで服を作っていたのだ。下着がモザイクのように透けて、犯罪感が出ていて外に出歩かせられない姿。

「母さん、早く普通の服に着替えて! それじゃ恥ずかしいから」

「えぇ、どうして? 春とはいえまだ肌寒い時期にピッタリな防寒着だと思うのに。それにおめでたい日に着るものなんだから派手な方がいいでしょ?」

「むしろ安っぽいから! ダサいから!」

 俺がそう言うと、母さんはシュンとして服を着替えに戻った。正しいことを言ったはずなのに何故だか悪いことしたような気持ちになる。

「お、そう言えば父さんの友達の子供も今日入学するらしい。仲良くなれるといいな」

 父さんの友達か。友達、ハーグさん……っ!

「父さんの友達ってことは、ハーグさんレベルですごい人じゃない!?」

 俺は尋ねた。少しして父さんは笑う。

「そんなことないぞ。確か今は絶滅が危惧されている魔物を保全する活動をしている国際組織の理事だったかなぁ」

 あれ、それすごい人って言うんじゃないの? やはり父さんの友達イコールすごい人説は正しいようだ。

「お待たせ、準備できたわよ。母からもらったものなんだけど、正直変よね」

 母さんはラメの入った黒を基調としたドレスを着ていた。腰のところにはリボンがついている。

「さっきのよりよっぽどいい。むしろ似合っているよ、ロゼちゃん」

「あら、そう? 剛平さんだって今日もハンサムよ」

「はははっ」「うふふっ」

 父さんと母さんは自分達だけの世界に入ってしまったらしい。仲が良いのは悪いことではないのだが、いつもの母さんを見ているとギャップがすごい。
 そんなこんなで俺たちは家を出発した。
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