転校したら魔法学校だった件

のん太

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2.魔法学校入学編

第5話 待ちに待った入学式

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 趣ある校舎、広い校庭、何やら植物が植えてあるハウス。

「ここがプルスロット魔法学校か。広いなぁ……小学校の10倍以上の広さはありそう」

「すごいだろ? 敷地面積は東京ドーム三つ分で領内最大級の図書館もある。実技場も多く確保してある、まさに学ぶのに相応しい場所というわけだ」

 東京ドーム三つ分ってどれくらいだろう。うーん、取り敢えずバカみたいに広いってことだけはわかった。
 校門をくぐってすぐに大きなホールがあった。そこで入学式を執り行うらしい。

「誘導に従い、移動してください! おっと、新入生はこっちですよ。保護者様はこちらホール内の椅子でお待ちください」

 誘導の先生に言われたように移動する。階段を昇るとそこは、机が並んだ部屋だった。小学校の教室の4倍ほどの広さだ。
 先生は、全員揃ったことを確認した。

「本日はこちらでホームルームを行います。学生証に書かれている学籍番号順に座ってください。本来こちらは自習室として解放しているので、どんどん活用してくださいね」

 自習室がこんなに広いなんて驚いた。これで思う存分魔法を学べる。
 俺が自習室を見回して「椅子が上げ下げ出来るやつだ」とか「外にプールが見える。夏は涼しそう」だとか考えていると突然、後ろの席に座っていたやつが話しかけてきた。

「ねぇねぇ、ってなに?」

 ホームルームか。俺も入学マニュアルに書いてあって、父さんに聞くまで知らなかったな。

「今日の予定を先生が話したり、健康観察をしたりする時間のことだよ」

「なるほど! じゃあ小学校の朝の会みたいなものか。サンキューッ!」

 少年はいたずらっぽく笑い、手を握ってきた。そんなに感謝されるほどのことでもないんだけどなぁ。
 ガタッ!
 あれ? 教室の後ろの方で何かが動いていたような……。

「皆さん、入学おめでとうございます。入学式の説明をして、整列してホールに向かいます。いいですか?」

「「「「「はいっ!」」」」」

 先生が入学式に関する説明をした。とは言っても一連の流れなんかを軽く聞いたくらいだ。
 俺たちは自習室のうしろの少し空いたスペースに整列する。後ろに並んでいたやつが話しかけてきた。さっき俺にホームルームのことを聞いたやつだ。出席番号が俺の一つ後ろだったのだ。

「そう言えば名前言ってなかったよな。オレ、ハルト。キミは?」

 ハルトっていうのか。悪いやつでは無さそうだが……。

「俺はエイト。よろしく」

 ハルトは「ふーん」みたいな顔をして、すぐに別の話を始めた。

「オレ、隣町に住んでいるんだ。エイトはどこに住んでいるの?」

 この学校のすぐ近くだと答える。するとハルトは。

「え! マジ!? めっちゃ近いじゃん。これからよろしくな、エイト」

 ハルトは俺の肩を軽く叩く。
 入学式直前に早速俺に友達ができた。自分でもちょっと驚きなスピードだ。

 ホールに入場すると、目に飛び込んできたのは紙で作ったと思われる造花で彩られた『プルスロット魔法学校中等部入学式』の看板だった。そして保護者や先生が拍手してまさに入学式といった感じだ。ホールの端には何人かの在校生が座っていた。
 全員が席に付いたところで、急にスピーカーから明るい音楽が流れ始めた。そして端の方の在校生と先生方は何やら歌を歌い始める。恐らく、校歌だ。

「♪太古の昔大賢者 彼に付き添う聖女様 彼の友の勇ましさ 創造神と黒龍と 友を気遣う召喚士、嗚呼 この地に開く志、青春謳歌す我ら!」

 厨二チックな校歌に俺はワクワクした。ちなみに、俺が一番好きなのは「創造神と黒龍と」というフレーズだ。
 勿論魔法学校の校歌だ、ただ歌うだけでは終わらない。歌詞と連動した魔法が在校生によって発動されるのだ。後から聞いたことだが、前で魔法を発動させていた在校生は『美術部』の生徒だそうだ。魔法で表現される世界に俺は興奮した。

「次はハーグ・エツルピッカ校長先生による祝辞です」

 ハーグさんのお話だ。ハーグさんはステージに上がり、軽くなにかを唱えたかと思うと、まるでマイクでも使っているかのように話を始めた。

「皆さんおはようございます。私から話したいことは三つです。一つ、日常生活のマナーで世界一。二つ、上級生は優れたリーダーシップを発揮する。三つ、夢と理想を追い求め努力家になる。これは我らが誇り高きプルスロット魔法学校伝統の三項だ。素直、元気、勤勉。これこそ学びという行為で大切なのであって……」

 ハーグさんの話は長かった。隣に座っていたハルトはウトウトしている。だが俺にとっては、とてもタメになることばかりで、特にこの学校の重要事項である『素直』『元気』『勤勉』についての話では感動した。いつの間にか俺の中で一番尊敬する人はハーグさんになっていた。

「次に三年生代表、ブロッサさんお願いします」

「はい!」

 清楚で堂々とした少女がステージに上がった。髪が揺れるときに光が反射して一瞬桜の花のような美しい桃色に見えるブロンドヘアだ。俺はしばし目を奪われる。
 隣をみると、さっきまで寝かけていたハルトが目を大きく見開いていた。こんなに綺麗な人が前にいるのだ。当然だろう。ハルトは小さく何か呟いていた。俺はハルトにちょっかいを出すことにした。

「え、なに? もしかして、あの人が綺麗だったから見とれてた?」

「そ、そんなんじゃないよ! 姉ちゃんなんだよ、オレの!」

 ハルトは俺にだけ聞こえるくらいの声で顔を真っ赤にして叫んだ。
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