転校したら魔法学校だった件

のん太

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2.魔法学校入学編

第7話 入学二日目、早速試験です

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「エイトおはよう!」

 ハルトが朗らかに言う。今日から俺とハルトは一緒に登校する。昨日は憧れのブロッサ先輩とリオン先輩とクッキーを食べることが出来た。今日は何が起きるか楽しみだ。

「おはよう。今日って何の授業があるのかわかる?」

「は? 何言ってるんだよ。今日は入学実力試験だろ」

 え? 初耳なのだが。試験勉強とか一切してないし。

「今日は魔法実技と神学試験だってさ。姉ちゃんによると、神学は英雄神の名前を書かせるだけだってさ。余裕じゃん!」

「ハルト、英雄神ってそんなに有名なものなのか……?」

 自信満々のハルトに俺は恐る恐る聞く。

「あったり前じゃん! 魔法神スカイ・グレーティウスに聖女と崇められる治癒神ブロッサ、武神カイゼル、創造神ヲター、竜神クロージン、召喚神コーリウスに運命神ディニーの7神を知らない人なんて居ねぇよ」

 ご丁寧に全ての英雄神だかのお名前ありがとうございます……って!

「何で俺が英雄神知らないみたいな言い方なわけ? ……まぁ、知らなかったのだけど」

「『英雄神ってそんなに有名なのか……?』なんて聞く時点で知らないのバレバレじゃん、やっぱりエイトって面白いや。あ、ちなみに姉ちゃんの名前は治癒神ブロッサの名前から取ったらしいぜ。姉ちゃんのどこが聖女なんだか……って痛い痛い痛い!」

 振り向くとそこにはブロッサ先輩とリオン先輩が二人で歩いていた。

「あら大変! 偶然リオンの作った魔法を発動させたら偶然ハルトに当たってしまったわ。やだわ、偶然って怖いわね。ふふふ」

「ボクの構築した魔法はどうだったかな。今ブロッサが使ったのは、重力魔法を軽く弄って手軽にお仕置きが出来る安心安全な魔法。ボクの弟にも試したけれど、簡単に解除されちゃったから実験できて良かったよ。ボクたちはやることがあるから、先に行くね。それじゃあね、エイトくん、ハルトくん」

 先輩たちは先に学校へ行ってしまった。朝早くやることがあるなんてすごいなぁ。

 俺は学校に着くと。

「なぁ、ハルト。じゃあ魔法実技っていうのは何をするんだ?」

 ハルトに尋ねる。もしも使う魔法の指定があるなら大変だ。何故かというと、俺は氷魔法しか使えないからである。

「えーっとね、それが……分からないんだ」

 詳しく聞いたところ、入学最初の魔法実技の試験の内容は毎年違うのだとか。ハルトにはブロッサ先輩がいるから、学校のこともそれなりに知っている。でも出会ったとき、「ねぇねぇ、ってなに?」なんて聞いてきたレベルだから、まだ知らないことの方が多いのだとは思う。

 ジャーンジャーンジャーンッ!

 始業のチャイムが鳴る。プルスロット魔法学校のチャイムは、元の世界の学校の「キンコンカンコン」というあの音とは違った。そのためか、違和感を感じると共に新鮮な気持ちになった。

「よし、これから出席をとるぞ。呼び捨てぇーごめんっ! アイリス……」

 この学校には担任というものが存在しない。だからホームルームは先生が交代で行う。
 今日のホームルームはズーイ先生という体育会系の男の先生だ。

「エイト」

「あっ、はい」

 俺は3番目に突然呼ばれて、焦った。ズーイ先生がこちらを睨み付ける。

「返事が小さいからもう一回。エイト」

「はい!」

 俺はさっきより大きな返事をした。もちろん「またやらせるのかよ」という気持ちをエネルギーに変えて。

「まだ小さい、もう一回。エイト」

「はいっ!」

 それでもズーイ先生のお気に召さなかったらしい。それから何度かやり直しをさせられて、ホームルームは終わった。

 一時間目が始まる前の休み時間、ハルトが俺に話しかけてきた。

「ズーイに目をつけられるとかお疲れ様。姉ちゃんから聞いたんだけど、アイツ学校一面倒くさい教師らしいぜ。『あのナメクジ野郎の呼び捨てごめんのに拒否権はない』ってさ」

 へぇ。あの寛容でお優しいブロッサ先輩ですら「ナメクジ野郎」呼ばわりするなんて、相当酷いヤツなんだろう。絡まれないようにしないと。

 ハルトはチラッと時計を見たかと思うと。

「やべっ、一時間目の神学の試験始まるっ!」

 俺たちは急いで席に着いた。同時にチャイムが鳴る。ギリギリセーフだ。
 神学の担当は顎がしゃくれたアゴーン先生。確か魚に似たようなのがいた気が……あっ、アオブダイだ。
 先生が問題用紙と解答用紙を配っていく。そして俺のところにも用紙がやって来た。何故か解答用紙には模様が書いてあった。恐らく魔法陣か何かだろう。だって魔法学校なのだから。

「それでは試験を始めてください」

 その声と同時に解答用紙を表にする。小学校の頃のテストは表のままだったせいか、少し紙を捲るのに手こずった。

 俺はテストの問題を読み始める。

(1)魔法の概念を変えたとされる英雄神の名前を答えなさい。
答え._____

 確かスカイなんとか、いやグレープなんとかだったような……。
 次の問題に行こう。

(2)人々に慈愛を傾け、回復魔法の基礎を作ったとされ、聖女とも呼ばれる英雄神の名前を答えなさい。
答え._____

 はい余裕です。ブロッサ様です、だってブロッサ先輩の名前の由来ですから。
 はい次。

(3)(1)の英雄神と親しく、後に身体強化魔法の基礎を作ったとされる英雄神の名前を答えなさい。
答え._____

 ……。

「そこまでです、ペンをおいて解答用紙を回収しますので、手を頭の上に乗せてください。紙で手を切る恐れがありますよ。『ルリンク・ルリンク・カルセーレ』」

 アゴーン先生が基本呪文を唱えると、解答用紙の裏にかいてあった魔法陣が輝き、紙が教卓に飛んで行く。流石魔法学校、答案の回収にも魔法を使うなんて。

 休み時間になると、教室が一斉にざわつく。聞こえる声は「何あれクッソ簡単じゃん」「全員満点だろさすがに」なんて声ばかり。

「なぁエイト、テストどうだった?」

 ハルトの問いが心にグサッと突き刺さる。

「まっ、まぁまぁかな……。一応全部埋めたし、それに一問は自信あるし……」

「『一問は自信ある』って……っ! それ他の問題自信ないってことだろ? 不合格者は再テストあるらしいからお疲れ様としか」

 再テストか……。それまでにしっかり覚えないとなぁ。
 二時間目は魔法実技の試験だ。
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