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「おはようございます霧島さん」
「おはよう……詩織ちゃん」
フロアへ向かうエレベータで詩織と遭遇した。他の会社のサラリーマン達も乗り込んでいるエレベータで、詩織は加奈の顔を見て驚いていた。
「どうしたんですか?髪はそのままだし、顔も……クマ凄いです」
「いやぁ、昨日ちょっとあったんで……」
その原因を作った大魔王は、出る時にはまだ優雅に眠っていた。まさか襲撃がなかったとは……わかっていたらちゃんと寝たのだが、予測不可能の明人の行動に加奈は頭痛までしてきそうだった。
「元気出して下さいよ!そうだ!霧島さん今日暇ですか?」
基本的には暇だ。だが今日は一刻も早く帰って寝たいところだが、加奈は「何もないよ」と答えた。どちらにしても帰ればあの男と顔を合わせなくてはいけない。五時に終わり、六時に帰ったとしても翌朝八時前まで一緒なのだ。しかも昨日の事件もあっておちおち寝ていられない。
加奈の予定を聞いた詩織はとても嬉しそうな表情を見せた。
「よかった!あの、今日一緒に食事でも行きませんか?」
「い、いいけど……」
珍しい事もあるものだ。詩織とは入社してこれまで一緒に食事に言った事すらない。
「霧島さんと話したい事いっぱいあるんですよ!」
この場合の話のネタは恋バナだろうと加奈は思った。一体何を話したいのやら……
場所などはメールで送ると言われたので、加奈は更衣室で着替え席に着いた。隣にいる川田は、昨日の事などなかったかのように話しかけてくるが、加奈と話す時に顔を赤らめる事が多々あった。釣られて加奈まで顔が熱くなってしまったが、なんとか一日を終える事が出来た。
さすがに明人に電話するのが躊躇われ、加奈は同僚と飲みに行くとメールで言った。送ってから一分もせずに電話が来たが無視した……かったが、ここで無視をすると面倒なのはわかっているので、とりあえず電話に出る。
『昨日は残業で今日は飲みか?あの童顔と一緒か?』
「違います!同僚の女の子です!てかいちいち電話して来ないで下さいよ!こっちにだって予定くらいあるんですから!」
『お前……人に怪我させておいて悠長なものだな』
「はいはい。もういいですか?昨日の事、こう見えても怒ってるんですからね!それじゃ!」
ブチッと電話を切った加奈は、詩織から指定された店に向かった。指定されたのは会社からそう遠くないイタリアンのレストランだった。店に入ると詩織が「こっちです!」と言って手を振って来た。
「ごめんね!遅くなって!」
「全然かまわないですよ!それより注文しましょうよ!」
メニュー表を渡され、加奈は店一押しパスタとシャンパンを頼んだ。
「それで……話って何?」
「いやだぁ話って言ったら霧島さんと川田君の事じゃないですか!」
突飛押しもないネタが飛んできたと思った。
「おはよう……詩織ちゃん」
フロアへ向かうエレベータで詩織と遭遇した。他の会社のサラリーマン達も乗り込んでいるエレベータで、詩織は加奈の顔を見て驚いていた。
「どうしたんですか?髪はそのままだし、顔も……クマ凄いです」
「いやぁ、昨日ちょっとあったんで……」
その原因を作った大魔王は、出る時にはまだ優雅に眠っていた。まさか襲撃がなかったとは……わかっていたらちゃんと寝たのだが、予測不可能の明人の行動に加奈は頭痛までしてきそうだった。
「元気出して下さいよ!そうだ!霧島さん今日暇ですか?」
基本的には暇だ。だが今日は一刻も早く帰って寝たいところだが、加奈は「何もないよ」と答えた。どちらにしても帰ればあの男と顔を合わせなくてはいけない。五時に終わり、六時に帰ったとしても翌朝八時前まで一緒なのだ。しかも昨日の事件もあっておちおち寝ていられない。
加奈の予定を聞いた詩織はとても嬉しそうな表情を見せた。
「よかった!あの、今日一緒に食事でも行きませんか?」
「い、いいけど……」
珍しい事もあるものだ。詩織とは入社してこれまで一緒に食事に言った事すらない。
「霧島さんと話したい事いっぱいあるんですよ!」
この場合の話のネタは恋バナだろうと加奈は思った。一体何を話したいのやら……
場所などはメールで送ると言われたので、加奈は更衣室で着替え席に着いた。隣にいる川田は、昨日の事などなかったかのように話しかけてくるが、加奈と話す時に顔を赤らめる事が多々あった。釣られて加奈まで顔が熱くなってしまったが、なんとか一日を終える事が出来た。
さすがに明人に電話するのが躊躇われ、加奈は同僚と飲みに行くとメールで言った。送ってから一分もせずに電話が来たが無視した……かったが、ここで無視をすると面倒なのはわかっているので、とりあえず電話に出る。
『昨日は残業で今日は飲みか?あの童顔と一緒か?』
「違います!同僚の女の子です!てかいちいち電話して来ないで下さいよ!こっちにだって予定くらいあるんですから!」
『お前……人に怪我させておいて悠長なものだな』
「はいはい。もういいですか?昨日の事、こう見えても怒ってるんですからね!それじゃ!」
ブチッと電話を切った加奈は、詩織から指定された店に向かった。指定されたのは会社からそう遠くないイタリアンのレストランだった。店に入ると詩織が「こっちです!」と言って手を振って来た。
「ごめんね!遅くなって!」
「全然かまわないですよ!それより注文しましょうよ!」
メニュー表を渡され、加奈は店一押しパスタとシャンパンを頼んだ。
「それで……話って何?」
「いやだぁ話って言ったら霧島さんと川田君の事じゃないですか!」
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