王様のいいなり!

まぁ

文字の大きさ
26 / 69

26

しおりを挟む
「おはようございます霧島さん」
「おはよう……詩織ちゃん」
 フロアへ向かうエレベータで詩織と遭遇した。他の会社のサラリーマン達も乗り込んでいるエレベータで、詩織は加奈の顔を見て驚いていた。
「どうしたんですか?髪はそのままだし、顔も……クマ凄いです」
「いやぁ、昨日ちょっとあったんで……」
 その原因を作った大魔王は、出る時にはまだ優雅に眠っていた。まさか襲撃がなかったとは……わかっていたらちゃんと寝たのだが、予測不可能の明人の行動に加奈は頭痛までしてきそうだった。
「元気出して下さいよ!そうだ!霧島さん今日暇ですか?」
 基本的には暇だ。だが今日は一刻も早く帰って寝たいところだが、加奈は「何もないよ」と答えた。どちらにしても帰ればあの男と顔を合わせなくてはいけない。五時に終わり、六時に帰ったとしても翌朝八時前まで一緒なのだ。しかも昨日の事件もあっておちおち寝ていられない。
 加奈の予定を聞いた詩織はとても嬉しそうな表情を見せた。
「よかった!あの、今日一緒に食事でも行きませんか?」
「い、いいけど……」
 珍しい事もあるものだ。詩織とは入社してこれまで一緒に食事に言った事すらない。
「霧島さんと話したい事いっぱいあるんですよ!」
 この場合の話のネタは恋バナだろうと加奈は思った。一体何を話したいのやら……
 場所などはメールで送ると言われたので、加奈は更衣室で着替え席に着いた。隣にいる川田は、昨日の事などなかったかのように話しかけてくるが、加奈と話す時に顔を赤らめる事が多々あった。釣られて加奈まで顔が熱くなってしまったが、なんとか一日を終える事が出来た。
 さすがに明人に電話するのが躊躇われ、加奈は同僚と飲みに行くとメールで言った。送ってから一分もせずに電話が来たが無視した……かったが、ここで無視をすると面倒なのはわかっているので、とりあえず電話に出る。
『昨日は残業で今日は飲みか?あの童顔と一緒か?』
「違います!同僚の女の子です!てかいちいち電話して来ないで下さいよ!こっちにだって予定くらいあるんですから!」
『お前……人に怪我させておいて悠長なものだな』
「はいはい。もういいですか?昨日の事、こう見えても怒ってるんですからね!それじゃ!」
ブチッと電話を切った加奈は、詩織から指定された店に向かった。指定されたのは会社からそう遠くないイタリアンのレストランだった。店に入ると詩織が「こっちです!」と言って手を振って来た。
「ごめんね!遅くなって!」
「全然かまわないですよ!それより注文しましょうよ!」
 メニュー表を渡され、加奈は店一押しパスタとシャンパンを頼んだ。
「それで……話って何?」
「いやだぁ話って言ったら霧島さんと川田君の事じゃないですか!」
 突飛押しもないネタが飛んできたと思った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

処理中です...