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帰宅すると、今日は玄関で明人が待っていなかった。それどころか部屋の電気が消えていたので、おかしいと思った加奈がリビングや寝室を覗いたが、明人はどこにもいなかった。
「あれ?どっか行ってるのかな?」
明人不在でホッとした加奈は、風呂に入り寝る準備をした。時計は十一時前だが、明人はまだ帰って来ない。少々心配ではあったが、明人も成人したいい大人なのだ。きっと友人、あるいは飲みなどに行っているのだろう。
今日は心の安息日だと思い、昨日の寝不足もあってかすぐに眠りについた。
眠りに入りしばらくすると玄関の開く音が聞こえた。ようやく帰って来たのだな……そう思いまた眠ろうとしたが、リビングの扉が開く音がしたので、また何かされてもいけないと起き上った。
「お、かえりなさい……」
「あぁ。起きてたのか?」
「今しがたあなたに起こされました」
「俺は何もしてないが?」
電気を付けないままでいたが、月明かりで明人の影は見えた。明人はベランダの方へ向かう。おそらくたばこを吸うのだろうと思った。
ベランダの窓を開けると、ひゅうっと心地よい風がリビングの中に入ってくる。明人が灯したたばこの火が見える。しばらく沈黙状態の二人。ここに来て明人が何もしてこないのも不思議だ。いつもなら何かしらと仕掛けてくるのだが……
「どこか行ってたの?」
「少しばかり会社関係の用事があってな」
ふーんと言った後、ふと加奈の頭に今日詩織が言っていた事が思い浮かんだ。
「あ、あのさぁ、あんたって好きな子とかいるの?」
「なんだよ急に……」
「いや、深い意味はないんだけど。聞いてみたいかなぁって思って……」
加奈の問いに明人が答える事はない。
たばこの火を消し中に入った明人が、加奈の寝起きするソファに座った。
「もしいるって言ったらお前はどうしたんだ?」
「どうもしないわよ。むしろいるならセクハラ行動は止めたら?」
「くだらない。俺がどうしようと俺の勝手だろ?」
「そりゃそうだけど……」
「それともお前、俺に惚れたか?」
「それはない!ぜーったいにない!」
断固拒否の姿勢を見せた加奈だが、それを聞いた明人は何も言わないまま加奈の口を塞ぐ。触れるだけの軽いキスだ。
「あ、あんたね……言った直後に何して」
「お前ってホント鈍感で単純馬鹿だな!」
「なっ!」
いつも通りの明人だ。それを聞いた加奈は文句を言おうとしたが、再び口を塞がれ、今度は口内に明人の舌が侵入してきた。先ほどたばこを吸っていたのもあって、加奈の口内に苦い味が充満した。
「あっ、うん……あぁ……」
ぴちゃぴちゃと言う濡れた音が静かな室内に響き渡る。加奈はどうにか明人を引き離そうと、必死に明人の胸を押した。
「んっ!……ぁ……」
ビクリとも動かない明人。すると明人の手が加奈の腰辺りを擦さすって来たので、明人の頬を叩いた。
「い、いい加減にしてよ!」
「逆に聞くが、お前はあの川田ってやつの事好きなのか?」
「そうくるか!川田君は良い子だよ!あんたと違って優しいし!」
「そっか優しくされたら誰でもいいんだな」
「はぁ?」
外出先で頭でも打ったのかと思った。だが明人の目は真剣だ。
「加奈……」
名前を呼ばれドキッとした。
「お前はいつになったら素直になるんだ?」
「私はいつも素直だけど……」
「そうじゃない。はぁ、もういい……」
それだけ言うと明人は席を立ちリビングを後にしてしまった。
「一体何なの?」
わけがわからないまま、加奈は毛布にくるまり眠る事にした。
「あれ?どっか行ってるのかな?」
明人不在でホッとした加奈は、風呂に入り寝る準備をした。時計は十一時前だが、明人はまだ帰って来ない。少々心配ではあったが、明人も成人したいい大人なのだ。きっと友人、あるいは飲みなどに行っているのだろう。
今日は心の安息日だと思い、昨日の寝不足もあってかすぐに眠りについた。
眠りに入りしばらくすると玄関の開く音が聞こえた。ようやく帰って来たのだな……そう思いまた眠ろうとしたが、リビングの扉が開く音がしたので、また何かされてもいけないと起き上った。
「お、かえりなさい……」
「あぁ。起きてたのか?」
「今しがたあなたに起こされました」
「俺は何もしてないが?」
電気を付けないままでいたが、月明かりで明人の影は見えた。明人はベランダの方へ向かう。おそらくたばこを吸うのだろうと思った。
ベランダの窓を開けると、ひゅうっと心地よい風がリビングの中に入ってくる。明人が灯したたばこの火が見える。しばらく沈黙状態の二人。ここに来て明人が何もしてこないのも不思議だ。いつもなら何かしらと仕掛けてくるのだが……
「どこか行ってたの?」
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「あ、あのさぁ、あんたって好きな子とかいるの?」
「なんだよ急に……」
「いや、深い意味はないんだけど。聞いてみたいかなぁって思って……」
加奈の問いに明人が答える事はない。
たばこの火を消し中に入った明人が、加奈の寝起きするソファに座った。
「もしいるって言ったらお前はどうしたんだ?」
「どうもしないわよ。むしろいるならセクハラ行動は止めたら?」
「くだらない。俺がどうしようと俺の勝手だろ?」
「そりゃそうだけど……」
「それともお前、俺に惚れたか?」
「それはない!ぜーったいにない!」
断固拒否の姿勢を見せた加奈だが、それを聞いた明人は何も言わないまま加奈の口を塞ぐ。触れるだけの軽いキスだ。
「あ、あんたね……言った直後に何して」
「お前ってホント鈍感で単純馬鹿だな!」
「なっ!」
いつも通りの明人だ。それを聞いた加奈は文句を言おうとしたが、再び口を塞がれ、今度は口内に明人の舌が侵入してきた。先ほどたばこを吸っていたのもあって、加奈の口内に苦い味が充満した。
「あっ、うん……あぁ……」
ぴちゃぴちゃと言う濡れた音が静かな室内に響き渡る。加奈はどうにか明人を引き離そうと、必死に明人の胸を押した。
「んっ!……ぁ……」
ビクリとも動かない明人。すると明人の手が加奈の腰辺りを擦さすって来たので、明人の頬を叩いた。
「い、いい加減にしてよ!」
「逆に聞くが、お前はあの川田ってやつの事好きなのか?」
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「はぁ?」
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名前を呼ばれドキッとした。
「お前はいつになったら素直になるんだ?」
「私はいつも素直だけど……」
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「一体何なの?」
わけがわからないまま、加奈は毛布にくるまり眠る事にした。
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