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「ちょっと、もう少し離れて歩いてよ!」
「何言ってる?どうせエレベータも途中まで一緒なんだからいいだろ?」
「よくない!」
傍から聞けばただのバカップルだろう。そして最悪な出会いをした日以来のスーツを着た明人は思いのほかかっこよくつい見とれてしまった。背も高くシャツはパリッと糊が利いている。おそらくというかたぶんフルオーダーのスーツだろう。サイズもぴったりで身体のラインがしっかりと出て、その恰好のよさを引き立てている。
久々の出勤だったが明人は家でそれなりに仕事をしていたようだ。なので手に持つ鞄はそれなりに厚い。スーツのお決まりでもあるネクタイを締めるという行為を無理やりやらされた加奈。自分の父親に対してもしたことがないので、どうすればいいのか手間取ってなんとかしめたが、スーツ姿の明人のネクタイだけはどこかおかしい……それ以外は完璧なのに。
(直したらいいのに)
そんな事を心の中で思っていると、エレベータは加奈の会社がある三十階で止まった。他人のふりをしてエレベータを降りようと思った。するとエレベータの扉が開くと川田がそこにいた。
「霧島さん!おはようございます」
「お、おはよう……」
加奈の隣には明人がいる。明人はムッとした表情を浮かべている。おそらく川田は待っていたのだろう。加奈からしたらタイミングが悪すぎる。そんな事おかまないなしの川田は、まだエレベータの中で往生している加奈の手を引いた。
「か、川田君!」
「早くしないと遅刻しますよ!」
チラッと明人を見た。その瞳には色がなく、まるで氷結のように冷たい。それを見た加奈はぶるりと震えた。
正直怖い……
きっと帰ったら何かされる。無表情のままの明人を乗せたエレベータは次の階に行くため扉が閉ざされた。
「あの、川田君!手!」
「すみません。今日来る時に二人の姿見えたんで……先回りしたんですよ」
「はぁ……」
あれはいろいろとまずい。女子社員の目もだが、特に帰ってからの加奈の身の安全が。確実にどういう事かと問い詰められるのが目に見えてわかる。
「いいましたよね?俺、全力で霧島さんの事振り向かせますって」
「うん、だけどね。そういう事をこの場で……しかも朝言わなくても」
「そうですね。すみません、うかつでした。でも、南条さんに見せつける事が出来たのでよかったです!」
天使川田はまるで悪魔のような笑顔を浮かべている。こんな顔見たことがない。これが本来の彼の姿?いやそんな事はない!と加奈はぶんぶんと首を振った。
今朝の同伴出勤や川田の事、いろいろな社員に見られたのもあって、コピーを取りに行った加奈はそこで詩織と出会って根掘り葉掘り聞かれた。
「ホント霧島さんってシンデレラガールで羨ましいです」
「私は全然うれしくないんだけど」
「えぇ?贅沢ですよそれ!他の子が聞いたらまた怒りますよ!」
「何言ってる?どうせエレベータも途中まで一緒なんだからいいだろ?」
「よくない!」
傍から聞けばただのバカップルだろう。そして最悪な出会いをした日以来のスーツを着た明人は思いのほかかっこよくつい見とれてしまった。背も高くシャツはパリッと糊が利いている。おそらくというかたぶんフルオーダーのスーツだろう。サイズもぴったりで身体のラインがしっかりと出て、その恰好のよさを引き立てている。
久々の出勤だったが明人は家でそれなりに仕事をしていたようだ。なので手に持つ鞄はそれなりに厚い。スーツのお決まりでもあるネクタイを締めるという行為を無理やりやらされた加奈。自分の父親に対してもしたことがないので、どうすればいいのか手間取ってなんとかしめたが、スーツ姿の明人のネクタイだけはどこかおかしい……それ以外は完璧なのに。
(直したらいいのに)
そんな事を心の中で思っていると、エレベータは加奈の会社がある三十階で止まった。他人のふりをしてエレベータを降りようと思った。するとエレベータの扉が開くと川田がそこにいた。
「霧島さん!おはようございます」
「お、おはよう……」
加奈の隣には明人がいる。明人はムッとした表情を浮かべている。おそらく川田は待っていたのだろう。加奈からしたらタイミングが悪すぎる。そんな事おかまないなしの川田は、まだエレベータの中で往生している加奈の手を引いた。
「か、川田君!」
「早くしないと遅刻しますよ!」
チラッと明人を見た。その瞳には色がなく、まるで氷結のように冷たい。それを見た加奈はぶるりと震えた。
正直怖い……
きっと帰ったら何かされる。無表情のままの明人を乗せたエレベータは次の階に行くため扉が閉ざされた。
「あの、川田君!手!」
「すみません。今日来る時に二人の姿見えたんで……先回りしたんですよ」
「はぁ……」
あれはいろいろとまずい。女子社員の目もだが、特に帰ってからの加奈の身の安全が。確実にどういう事かと問い詰められるのが目に見えてわかる。
「いいましたよね?俺、全力で霧島さんの事振り向かせますって」
「うん、だけどね。そういう事をこの場で……しかも朝言わなくても」
「そうですね。すみません、うかつでした。でも、南条さんに見せつける事が出来たのでよかったです!」
天使川田はまるで悪魔のような笑顔を浮かべている。こんな顔見たことがない。これが本来の彼の姿?いやそんな事はない!と加奈はぶんぶんと首を振った。
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