王様のいいなり!

まぁ

文字の大きさ
38 / 69

38

しおりを挟む
 たしかにそうだ。つい二週間ほど前まではありえなかったシュチュエーションだ。だがこんな話をできるのも詩織だけだ。それに現在、加奈は明人とわが社の爽やか王子川田の二人を手玉に取っているという事で、いろいろな場所で噂と嫉妬をされている。だが、その時ふと気が付く。
「あの、詩織ちゃん……」
「なんですか?」
「詩織ちゃんは他の子みたいに怒ったりとかしないの?」
「まぁ、たしかに初めはいいなぁ、羨ましいなぁってのはありましたけど、私この前彼氏できたんですよ」
「あぁ、そういう事ね」
「しかもその人!南条さんと同じ会社の人ですよ!」
 えぇ?と驚いた加奈。だが詩織はとても幸せそうな笑みを浮かべていた。自分もこんな風に幸せそうな顔ができたらいいのに……しかも詩織の彼氏というのが明人の同僚である小峰というのでまた驚いた。
「実はこの前、伝手使って合コンして、いい人そうな感じだったんで連絡先交換したら、向こうから付き合おうって言ってきたんですよ」
「成程……だから詩織ちゃんは平然として私の話聞いてくれるのね」
「はい!それで霧島さんは南条さんとどこまでやっちゃったんですか?」
 どうしてそういう話になるのだろうか?だが正直キス(ディープ)から先は何もない。それを伝えると詩織はとても驚いていた。
「うっそ!普通南条さんのようなイケメンだったらさっさとやっちゃいますよ!」
「ちょっと詩織ちゃん!声大きい!」
「それとも南条さんって奥手なんですか?それともイン……」
「詩織ちゃん!それに奥手って事は絶対にないない!だっていつも……」
 その先を言いそうになってハッとした。詩織は「何何?」と聞きたがっていたが、加奈はなんとか黙りとおした。そんな話で盛り上がっていると、コピー室の扉をノックする音が聞こえた。
「すみません!今出ます!」
 そう言ってコピーした書類を手に部屋を出ようとした時、そこに川田が立っていた。
「霧島さんがあまりに遅かったんで探しに来ました」
 にこりと微笑む天使。このタイミングを見た詩織は「きゃ!」っと楽しそうな声を上げる。
 今の話を聞かれていないといいが……そう思いながらコピー室を後にした加奈。いそいそと川田の前を歩く加奈に、川田が声をかけてきた。
「霧島さんって南条さんとキスより先ってまだなんですね?」
「聞いてたの?」
「偶然。でもよかった。まだ霧島さんと南条さん何もなくて」
「あの、まだ時間内だしそういう話は……」
 恥ずかしさで逃げ出したくなった。すると加奈より前に出た川田がドンッと壁を叩いた。加奈は自然と背を壁に密着させる格好となっていた。
「そうですね。でもキスより先、絶対にさせないでくださいね」
 加奈の耳元でそう言った川田は、何事もなかったかのように去って行ってしまった。取り残された加奈は、手に持っていた書類をなんとか抱きしめていたが、膝が折れその場に座り込んだ。
(あれが川田君の本性?)
 天使、癒し系王子、身近ななアイドルなど、爽やかイメージしかなかった川田の見てはいけない男の顔を見てしまったと加奈は思った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた

ピロ子
恋愛
飲み会に参加した後、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。 普段は冷静沈着な課長の脳内は、私には斜め上過ぎて理解不能です。 ※課長の脳内は変態です。 なとみさん主催、「#足フェチ祭り」参加作品です。完結しました。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

4番目の許婚候補

富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

ベンチャー社長の元彼のヤンデレが異常過ぎる件

鳴宮鶉子
恋愛
ベンチャー社長の元彼のヤンデレが異常過ぎる件

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...