王様のいいなり!

まぁ

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「あいつ、加奈ちゃんに言われた事が相当堪えてるみたいで、今生きる屍状態なんだ」
「そんな事ないでしょ!だって、あいつモテるし。私みたいなのじゃなくても……」
「でもあいつにとって加奈ちゃんは本気で好きになった相手みたいだよ。じゃなきゃたかだか骨折くらいで介護しろって言わないでしょ?」
 明人が本気になった相手が自分?それこそ信じられない気もした。
「今までのあいつって、望まずとも女がホイホイ寄って来る嫌味な奴だったけど、それに応えてただけなんだよねぇ。だから自分で本気になった相手にはどう接していいかわからない。結局あの傲慢な態度が加奈ちゃんへの精一杯の愛情表現なんだよ」
「あれで愛情表現なら今まで相当誠意がなかったって事ですよね?」
「そうだねぇ……男ってそういうとこあるし、ある意味女と違って敬白になれるよ。でも、本気の相手だと男は女以上に真っ直ぐだよ」
 それを言われると、加奈は明人に相当酷い事を言ったんじゃないのかと思った。加奈の求めたのは優しさと明人が真剣だという誠意。だが、あれが愛情表現で明人なりの誠意だとしたら……
「男女の心って難しいですね」
「それを俺に言われてもいろいろと困るけど……それで話を戻すよ。加奈ちゃんは今の彼氏の事、真剣に好き?」
「…………」
 好き。そう答えればいい話なのに、何故かその二文字が出てこなかった。
「どうしたの?加奈ちゃん……?」
「いえ……」
「まっ、俺の話なんて話半分くらいで聞き流してよ。俺だって加奈ちゃんの幸せを壊すほど悪党じゃないしね」
 そう言ってニコリと微笑んだ小峰。
 二人はそのまま店を出た。今日の仕事は終わってるも同然なので、そのまま帰宅する事も許されていた加奈は、小峰が消えた道を茫然と見つめた。
 明人のマンションへと向かう小峰は「ちょっと悪い事したかなぁ」と独りごちた。
 詩織から聞いた時は正直驚いたが、それで加奈が幸せならば明人が諦めるべきだ。そう思っていたのだが、詩織からさらに聞いたのは「最近霧島さん元気ないんですよ」とか「やっぱ南条さん止めて川田君にしたらって言ったのまずかったかなぁ」という言葉だった。
 お互い気持ちを確かめ合って付き合ったのなら心配する必要はないだろうと思っていたが、加奈の表情や仕草などを見て、加奈は川田の事を本気ではない。むしろ加奈は明人の方に情があるのではないかと確信した。
 だがそれに本人は気が付いてないようだが……
「野暮な事したよなぁ。それで二人の仲を壊しちゃう結果になったら、俺、川田君って人に怒られるどころか殺されるよな」
 どうしたものか……だがもう後の祭りだ。答えを出すのは加奈だし、自分がとやかく言う権利はどこにもない。

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