王様のいいなり!

まぁ

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「えっ、えー!それホントですか?」
 昼食になり詩織にあった事を話した加奈だが、当然の事ながら詩織は驚いた。
「詩織ちゃん。声大きい……」
「すみません。でも、ホントですか?南条さんとエッチしちゃったって……」
「えーと……まぁ、はい……」
 さすがに詩織はため息しか出ないようで、ぽかんと口を開けたまま加奈を見つめていた。
「自分が最低な人間だって事はわかってるよ!けど、やっぱり明人が好きで、それに気が付けなかった自分が悪いわけで……」
「あーっと……それに関しては私もすみません。変に煽ったりしたから……そうですね。あの時、時間置いた方がって言った方がよかったですよね」
「いやいや!詩織ちゃんは悪くないよ!単に私が馬鹿だったから」
「でも、結果的に自分の気持ちに気づけてよかったですね」
「その点に関しては……でも」
 でもの続きは詩織もわかっていたのだろう。何も言わなかったが気が重い。二人はしばらくの間何も話さなかったが、重い口を詩織が開いた。
「川田君にちゃんと話せますか?」
「うん。悪い事しちゃってるのはわかってるけど、でもけじめはつけないと」
「そうですね」

 昼食が終わり午後の業務に戻った。加奈は隣に座る川田をチラッと見たが、川田は文章作成に集中していて加奈の視線には気が付いていないようだ。
「あの……川田君」
「はい」
「今日の夕方空いてる?」
「はい!空いてますよ!」
「だったら少し時間ちょうだい」
 その言葉で川田は何か察したのか、少し眉をしかめたが、「わかりました」と一言だけ言った。


 仕事が終わり、早々に切り上げた加奈はささっと着替え、川田と待ち合わせた店に向かった。店には既に川田がおり、手を振ってこっちに来るようにと示した。
「お疲れ様です。何か頼みますか?」
「えっと……じゃあカプチーノで」
「わかりました」
 手早く注文をした川田。さて、どう切り込んだらいいものか……迷いながらも加奈は川田をじっと見た。
「どうしたんですか?そんな怖い顔して」
「えっとね……川田君に言わなくちゃいけない事があって」
「……別れ話ですか?」
 その言葉に空気が突然冷たくなる気がした。真剣な表情をした川田はずっと加奈を見ている。加奈は言葉が出せなかった。
「やっぱり……そんな事じゃないかと思ってたんです」
「ご、ごめん……」
 もう隠す事など出来ない。加奈は川田に告げた。自分が好きなのは明人だと。そして川田を傷つけた事を真摯に謝った。
「ごめんなさい!川田君の事、嫌いになったとかじゃなくて、結局私は中途半端で、川田君を傷つける事しか出来なかった。ホントにごめんなさい!」
「もういいですよ……」
「へっ?」
「わかってました。霧島さんが俺といても少しも楽しそうにしてなかった事も、上の空だった事も……」
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