十年目の恋情

まぁ

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 温かいのは温かいが、落ち着かない。だって俺を後ろから抱きしめる伊織の腕や吐息。その生温かい吐息が俺の耳を掠める度に妙な胸騒ぎがした。
「な、なぁ……参考までに聞くが、お前は俺に何をしたいわけ?」
「何って……それをこの状況で本人に聞く?」
「あ、いや……俺が間違ってた」
 顔が火照る。俺はなんて質問してるんだ。そう思っていると、伊織の手がスルリと俺の下半身を触ってきた。
「お、おい!何もしないって……!」
「しないよ。けど、コウちゃんがどうしたいかって聞いてきたから。そうだね……コウちゃんのここをコウちゃんが満足するまで嘗めて、それからここに俺のを入れたい」
 下半身を触る手がそのまま尻の方にある窄まりを撫でた。
「待てよ!俺が掘られる方なのか?」
「うん。ダメ?」
「ダメも何もあるかよ!大体年上の男のケツに突っ込みたいって……」
「歳は関係ないでしょ?俺はコウちゃんが入れたい」
 聞くんじゃなかった。本当に後悔した。まさか俺が掘られる方に回るとは……
 後悔している俺をからかうかのように、伊織が俺の耳をカプッと噛んできた。
「伊織!」
「コウちゃんってホントおもしろいね。ねぇ……どういう心境で俺にベッドを勧めたの?」
「どうって……お前が一人でソファに寝てるのがいたたまれないって言うか……」
「そっか、コウちゃん俺の事考えてくれてたんだね。嬉しいよ」
 チュッと首筋に伊織の唇が落ちてきた。その瞬間身体中にゾクリとした何かが走った。それは別に嫌悪感ではない。
「コウちゃん?」
「な、何もしないって言っただろ?」
「うん。別に首にキスしただけだよ」
 それでも十分だろ!そう反撃したかった。でもそれが出来ずにいると、伊織の行動がさらに大胆なものになった。
「あっ……!お前……!」
 ぬるりとした生温かいものが首筋を這った。それが舌なのは一目瞭然だ。
「おっさんの首なんか舐めたって臭いだけだろ!」
「そんな事ないよ。いい匂いがする」
「んっ……!」
 さっきのキスよりも深く強いキスが首筋に落ちた。腕は動いていない。口元だけがやらしく俺の首に絡まっている。
「お前……!今絶対痕つけただろ?」
「わかんない。だって暗いし見えないし」
「あのなぁ……これ以上はするなよ!」
「はいはい。でもさ……コウちゃんはそれでいいの?」
「何が?」
「これ……」
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