聖女陥落〜この恋は罪ですか?〜

まぁ

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「今日はお招きありがとうございます」
 部屋に入るなり笑顔を見せるマルディアスだが、フリークには胡散臭い笑顔だとしか思えない。だが今日は嫌味を言う為にレーエンスブルの屋敷に呼んだわけではない。
「貴様の話に乗ってやってもいい」
「と、言いますと、レーエンスブル家の当主として立つと言う事ですね」
「貴様に対して他に何の用があると言うのだ」
 むっすりとするフリークを見てマルディアスは「承知致しました」と言った。
「私が思うに当主になる事自体はさほど難しくはないと思っております」
「それはレーエンスブル家の事業関係が一般に明るみになっているからか?」
「そうですね。表に出ていなければ揉み消すでしょうが、ここまで大々的に出れば、責任逃れと責任の擦りつけでフリーク氏に譲る可能性はあると思います」
 そんな事は理解している。例え当主になったからと言って今までのようにはならない。むしろ斜めになった事業の立て直しをする為に奮起しなくてはいけないのだ。
「タダで当主を受ける気も、一族を逃すわけにもいかない」
「成る程……具体的には?」
「第三者委員や税理士を入れる。今までは手の入った人間を入れていたからな。抜けなど多いだろう。私が用意する。関係者一同尻尾の先まで逃がさない」
 これまでの垢を落とす為にも徹底的にやる。それがフリークの出した答えだ。
「ですが事と次第によっては親族が逮捕される事もありますよ?そうなればレーエンスブル家の名声も地に落ちますよ」
「これだけのスキャンダルを出しておいて今更何を言う。名声などとうの昔に地に落ちている」
 間違いなく汚職に手を染めた者もいるはずだ。それら全てを排除する。そして今のレーエンスブルに持つ全ての事業の立て直しをする力ははい。
 一部事業の売却。持株の一部売却など、様々な手を加えることにした。
「働く従業員の雇用も守る。その為の借入は出来るのだろう?」
「一応銀行員ですので可能ですよ」
「それと……この屋敷も売る」
 その言葉はマルディアスには予想外だったのだろう。マルディアスは目を丸くしてフリークを見た。その表情が滑稽でしてやったりと言った感じだ。
「し、しかしこの屋敷はフリーク氏の為に用意されたものでは?」
「もう必要ない。広すぎて手入れも届かないからな。売却して買い手でもつけばいくらか借金返済の糧になるだろ」
「ですがそうしたら貴方は?それにエリサ様はどうされるのです?」
「ふん。何を今更。エリサを返す気もなければ帰る気もないだろ?ならこの屋敷は不要だ。私はどことなりと生活出来る」
「……それは貴方自身の想い人の元へですか?」
「何もかもを知っているか……小憎たらしい」
 中身を知らないから好きに想像出来るだろう。だが自分とディアナの間にはそのような関係はない。それを知ったらどんな顔をするだろうか。
「その話は私自身の事だ。それに相手の家に転がり込む程落ちぶれてはいない。これから事業立ち直しで忙しいのだ」
「成る程。私は貴方の事を少し勘違いしていたみたいです。貴方は血が通わない冷血なタイプかと思いきやそうでもないですね」
 冷血なのはマルディアスではないのかと思いもした。未だその手のうちを見せないマルディアスが、フリークにを手貸してその先何を企むのか。そちらにも注意しないといけなかった。
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