聖女陥落〜この恋は罪ですか?〜

まぁ

文字の大きさ
67 / 91

67

しおりを挟む
 全ての事情を知ったディアナは頭を抱えた。
「待って……突然の再会。まではまぁ、この国にいればなくもないだろうけど、相手に奥さんと子供がいた?それなのにエリサさんに手を出してくる?」
「ま、まぁ……簡単に言えばそうですね」
「ちょっと待って。その男性、かなり最低な男じゃないの?」
 少々声を荒げたディアナにエリサは「そ、そうですね」としどろもどろに答えた。
「下手をしたらフリーク様よりも酷いと思うのは私だけかしら?」
「えっと……そう言われたら私はなんと答えたらいいのかわからないのですが」
 言わんとす事はわかる。フリークも当時エリサがいながらにしてディアナとの親交を深めていた。だがそこには一方的なだけの愛で、肉体関係もなければそれ以上もない。どちらかと言うとその事に関してはエリサの方が罪深いのだが、そこは言わないでおいた。
「相手を思いやれない人は最低よ。もし出会ったとしても無視しなさい」
「そ、それが出来たらいいんですけど……」
「もしかして未練でもあるの?」
「そういうわけじゃ……でも、定期的に薔薇も届いて、どうすればいいのか……」
「送り返しなさい。そうやって相手にもう興味ありませんって示さないと」
 ディアナの言う事は至極全うだ。薔薇の花束も送り返したらよかったのだ。なのに自分はそれを受け取った。マルディアスからしたら好意を受け取ってもらえたと思うだろう。
「そうですね。私も少し甘い部分があったのかもしれません。もし次来たら送り返します」
「そうした方がいいわ。それにエリサさん自身相手の男性の事はもう過去の事なのよね?
「……はい」
 そうだ。マルディアスとの事は過去の事。再び恋仲になる事などあり得ない。いや、あってはいけないのだ。
「相手の奥さんやお子さんがいるのに、そんな事は出来ません。もしそんな事をしたら、これまで以上の悲劇になると思うので」
「そうね。あなた達だけなら問題ないだろうけど、その先にいる人物も巻き込まれる事を考えたら、エリサさんの答えは当然よ」


 少し話をしてディアナは園を後にした。その後は事務仕事をしつつ園の子供達と遊び、保護者のお迎えなどをしてようやく一日が終わろうとしていた。
「それじゃあお疲れ様です」
「お疲れ様」
 従業員の二人は先に上がる。あれ以来、エデンワースの屋敷から馬車がここに来るようになっているので、エリサは一人園内で馬車を待ってた。
 玄関に飾られた見事な薔薇。少し青みかかった白い薔薇だ。本来存在するはずのないブルーローズに近い品種改良をしたのだと、昔マルディアスから聞いた事があった。
「はぁ……」
 その花を指で摘まみ大きなため息を漏らしたエリサ。すると背後から人の声が聞こえた。
「あれから停留所には来られないのですね」
 振り返らずとも声の主がわかる。ハッとしたエリサは振り返ってその人物を見た。
「どうしてここを……」
「調べればわかりますよ。エリサ様」
「出て行って下さい。ここは関係者以外立ち入り禁止です!」
 強い意志を持って相手に言う。だがマルディアスはそんなエリサの事などお構いなしにニコリと笑顔を見せた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

ナタリーの騎士 ~婚約者の彼女が突然聖女の力に目覚めました~

りつ
恋愛
 リアンは幼馴染のナタリーに昔から淡い恋心を抱いていた。それは彼が成長して、王女殿下の護衛騎士となっても変わりはしなかった。両親や王女に反対されても、ナタリーと結婚したい、ずっと一緒にいたい……そう願い続けた彼の望みはようやく叶い、ナタリーと婚約することができた。あと少しで彼女は自分の妻となる。そう思っていたリアンだが、ある日ナタリーが王女に呼ばれ……

旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~

榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。 ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。 別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら? ー全50話ー

姉の婚約者と結婚しました。

黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。 式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。 今さら式を中止にするとは言えない。 そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか! 姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。 これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。 それどころか指一本触れてこない。 「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」 ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。 2022/4/8 番外編完結

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。

貴方だけが私に優しくしてくれた

バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。 そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。 いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。 しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー

処理中です...