68 / 91
68
しおりを挟む
「貴女と話をしたくてもその機会がないならば、直接こうしなくては話が出来ません」
「私は……もうマルディアス様と話す事も、会う事もないと申しました」
「それはエリサ様が勝手に言っているだけです。私は貴女と話したい事も沢山あります」
勝手なことを言うマルディアスをどうやって園から追い出し、そして二人の関係を終わらせる事が出来るのかエリサは頭を悩ませた。
「再会してわかりました。私は貴女をまだ愛しているのだと」
「酷い……私はもう、貴方には未練も何も残っていません」
「それは貴女の本心なのですか?」
「そ、そうです。互いに子供もいる身なのです。こんな事許されません」
これ以上のやり取りは不毛。エリサは何度も子供がいるからと言った。だがその度にマルディアスは聞き入れてはくれなかった。今回もまたそうだ。
「子供を盾にして本心を偽るのをやめて下さい。私は貴女の本当の気持ちを知りたいのです」
「本当も何も、これが真実です!それに貴方が言っている事は、奥さんや子供に対しての裏切りですよ!」
「では私の気持ちはどうしたらいいのですか?」
「知りません。どうか家族を大切にして下さい」
早くこの場から立ち去って欲しい。もう少しで迎えの馬車だって来る。だがここで引かないのがマルディアスだった。
「貴女は私に妻と子が出来た事に嫉妬しているのですね。だからこんなにも冷たく素気無いのですね」
「どういう解釈をしたらそうなるのです。貴方がこんなにも話の通じない人とは思いませんでした。さあ早く。園から出て行って下さい!警察を呼びますよ!」
もう本当に勘弁して欲しかった。どうして家族がいるのに自分に執着出来るのか。そう、これは執着だ。愛などではない。ただ再会した事で手元に置いておきたいだけの欲求だ。
「以前の貴女は純心で周りの目を気にして一歩引いた所にいたのに、その面影はなくなったしまった。口を開けば私を拒絶してばかり」
「当たり前じゃないですか!あの時とは立場が違います!」
「そうですか?同じと思いますが?互いに子がいる事を除けば、立場が逆になっただけで、同じ事を繰り返していると思いますよ」
それを言われてエリサは黙り込んだ。確かにそうだ。あの時はフリークがいて、だがフリークは自分を愛してくれず悩み、マルディアスの手を取った。今はその風向きが逆になっている。
「あ、貴方は奥さんの事、愛していないのですか?」
「愛?愛などありません。成り行き上そうなっただけです」
しかし以前と違うのは、マルディアス自身の持ち合わせる気持ちがあの頃のフリークのように重なる事だ。
「わ、私は奥さんや子供を裏切る事は出来ません」
「以前はそうしていたのに?」
「状況が違います」
「いや、何も変わりませんよ」
そう言うとマルディアスはエリサの手を掴み抱きしめた。暴れるエリサをマルディアスは離そうとはしなかった。
「愛してます。前のように私を受け入れて下さい」
「お願いです……離して」
耳元で囁かれた真摯な声。それにドキリとしたエリサは怯んだ。するとそんな二人を割くような声が聞こえた。
「あなた達!何をしているの?」
そこには何故かセリカがいた。
「私は……もうマルディアス様と話す事も、会う事もないと申しました」
「それはエリサ様が勝手に言っているだけです。私は貴女と話したい事も沢山あります」
勝手なことを言うマルディアスをどうやって園から追い出し、そして二人の関係を終わらせる事が出来るのかエリサは頭を悩ませた。
「再会してわかりました。私は貴女をまだ愛しているのだと」
「酷い……私はもう、貴方には未練も何も残っていません」
「それは貴女の本心なのですか?」
「そ、そうです。互いに子供もいる身なのです。こんな事許されません」
これ以上のやり取りは不毛。エリサは何度も子供がいるからと言った。だがその度にマルディアスは聞き入れてはくれなかった。今回もまたそうだ。
「子供を盾にして本心を偽るのをやめて下さい。私は貴女の本当の気持ちを知りたいのです」
「本当も何も、これが真実です!それに貴方が言っている事は、奥さんや子供に対しての裏切りですよ!」
「では私の気持ちはどうしたらいいのですか?」
「知りません。どうか家族を大切にして下さい」
早くこの場から立ち去って欲しい。もう少しで迎えの馬車だって来る。だがここで引かないのがマルディアスだった。
「貴女は私に妻と子が出来た事に嫉妬しているのですね。だからこんなにも冷たく素気無いのですね」
「どういう解釈をしたらそうなるのです。貴方がこんなにも話の通じない人とは思いませんでした。さあ早く。園から出て行って下さい!警察を呼びますよ!」
もう本当に勘弁して欲しかった。どうして家族がいるのに自分に執着出来るのか。そう、これは執着だ。愛などではない。ただ再会した事で手元に置いておきたいだけの欲求だ。
「以前の貴女は純心で周りの目を気にして一歩引いた所にいたのに、その面影はなくなったしまった。口を開けば私を拒絶してばかり」
「当たり前じゃないですか!あの時とは立場が違います!」
「そうですか?同じと思いますが?互いに子がいる事を除けば、立場が逆になっただけで、同じ事を繰り返していると思いますよ」
それを言われてエリサは黙り込んだ。確かにそうだ。あの時はフリークがいて、だがフリークは自分を愛してくれず悩み、マルディアスの手を取った。今はその風向きが逆になっている。
「あ、貴方は奥さんの事、愛していないのですか?」
「愛?愛などありません。成り行き上そうなっただけです」
しかし以前と違うのは、マルディアス自身の持ち合わせる気持ちがあの頃のフリークのように重なる事だ。
「わ、私は奥さんや子供を裏切る事は出来ません」
「以前はそうしていたのに?」
「状況が違います」
「いや、何も変わりませんよ」
そう言うとマルディアスはエリサの手を掴み抱きしめた。暴れるエリサをマルディアスは離そうとはしなかった。
「愛してます。前のように私を受け入れて下さい」
「お願いです……離して」
耳元で囁かれた真摯な声。それにドキリとしたエリサは怯んだ。するとそんな二人を割くような声が聞こえた。
「あなた達!何をしているの?」
そこには何故かセリカがいた。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ナタリーの騎士 ~婚約者の彼女が突然聖女の力に目覚めました~
りつ
恋愛
リアンは幼馴染のナタリーに昔から淡い恋心を抱いていた。それは彼が成長して、王女殿下の護衛騎士となっても変わりはしなかった。両親や王女に反対されても、ナタリーと結婚したい、ずっと一緒にいたい……そう願い続けた彼の望みはようやく叶い、ナタリーと婚約することができた。あと少しで彼女は自分の妻となる。そう思っていたリアンだが、ある日ナタリーが王女に呼ばれ……
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
姉の婚約者と結婚しました。
黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。
式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。
今さら式を中止にするとは言えない。
そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか!
姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。
これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。
それどころか指一本触れてこない。
「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」
ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。
2022/4/8
番外編完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる