41 / 65
第4巻 帝国編・前編 ―灰の秩序―
第3章 灰風の追跡者
しおりを挟む
――灰理塔が崩れてから、三日が経った。
灰原を渡る風は、乾いて冷たかった。
灰は舞い上がっては沈み、どこまでも地平を覆っている。
世界の輪郭がぼやけ、遠くの山も、かつての街道も灰に呑まれていた。
リュミナの胸の灰核が、時折かすかに光を放つ。
塔で受けた“理の残響”が、まだ彼女の内で続いているのだ。
そのたびに、アーレンは符盤を覗き、流れを確認していた。
「脈が速いな。理波の収束がまだ不安定だ。」
「……これ、痛くはないけど、重い感じがするの。」
リュミナは胸に手を当て、小さく息をついた。
「塔が崩れた時の波がまだ体に残ってるんだろう。
無理はするな。灰は、感情にも反応する。」
その会話を聞いていたノアが、不安げに辺りを見回した。
「……こんな場所、ずっと歩いてたら、どこまで行けるのかな。」
アーレンは笑みを浮かべた。
「それを確かめるために歩いてるんだ。」
⸻
昼過ぎ。
灰原の空が、突然、音もなく光った。
瞬間、アーレンは足を止める。
符盤の端に、異常な波形――人工の理波が走った。
「……帝国の観測波だ。」
「観測……波?」
ノアが首をかしげる。
「理を測るための“目”だ。
帝国は、灰理塔の異常を感知して動き出したらしい。
今の波形、距離からしてこの灰域の上空――すぐ近くに来てる。」
アーレンは符盤を閉じ、周囲の灰を一握り掴んだ。
指の間から、灰が細い筋を描いて流れ落ちる。
その動きが――風ではなく“何かの力”に導かれているようだった。
⸻
リュミナが顔を上げる。
灰の空に、ゆっくりと黒い影が浮かび上がった。
最初は一つ、そして二つ――やがて十を超える。
金属質の球体が浮遊しながら、赤い光を点滅させていた。
表面には幾何学の符文が刻まれ、中心部の光が地面をなぞる。
アーレンは息を詰めた。
「符眼(ふがん)だ。
帝国の観測装置……いや、“監視兵器”だな。」
球体の一つが急降下し、地表を這うように滑る。
灰を巻き上げながら、赤い光がアーレンたちの進行方向を走査する。
⸻
「見つかった?」
ノアが声を潜める。
「ああ。灰理塔の波形を追ってる。
塔が崩れた時に漏れた“理の座標”が、俺たちの位置を結びつけたんだ。」
リュミナの灰核が、微かに脈を打った。
「……私、呼ばれてる。灰が……声を出してる。」
「落ち着け。呼ばれているのは“理”の残響だ。」
アーレンは符盤を構えた。
光の輪が空中に展開し、灰流の波を乱すように符を打ち込む。
「灰の流れをずらす。符眼の波を狂わせるんだ。」
指先が素早く動く。
淡い光が地表に走り、風が反転した。
灰が旋回し、符眼の赤光を一瞬だけ遮る。
⸻
「いまだ。北西へ抜けるぞ。」
アーレンが短く指示を出す。
「北西って……灰嵐の峡谷だよ!」
ノアが悲鳴を上げる。
「だからいい。
符眼は灰嵐の理乱を解析できない。
“理を読めない場所”なら、奴らの目も届かない。」
リュミナがうなずき、足元の灰を踏みしめる。
灰核が淡く光り、灰の粒が二人の足跡を覆い隠していく。
「……アーレン、行こう。」
風が再び吹いた。
灰が地平を這い、光を乱反射させながら渦を巻く。
⸻
その背後――
符眼群の中央で、一際大きな球体が動きを止めた。
内部に光が走り、通信符が展開される。
『目標、灰域北西にて符応反応を確認。理残響値、臨界域。』
『灰理局に報告――追撃部隊、発進。』
球体の瞳が赤く輝き、風を裂いて飛び立った。
⸻
その頃、灰原を渡る三人の姿があった。
アーレンの符盤が淡く光り、灰流を制御しながら足場を確保する。
リュミナが背後を振り返ると、空に無数の赤い点が浮かんでいた。
「追ってきてる……!」
「もう止まらない。
“理を観る国”が、俺たちを見つけた。」
アーレンの声は静かだった。
だがその目には、かすかな怒りが宿っていた。
灰原の風が唸り、符眼の光が空を裂く。
世界が、再び理の名のもとに動き出した。
灰の風が止まった。
その静寂の中、金属の靴音が響く。
灰原の向こうから、黒鉄の装甲服に身を包んだ兵士たちが現れた。
肩と胸には符文の刻印。帝国灰理局直属――灰紋隊(かいもんたい)。
背には符装銃、腰には短符刀。
彼らは灰を踏みしめ、理を測る者の歩幅で進んでくる。
⸻
アーレンは符盤を展開した。
光の円が地表を走り、灰流の波形を解析する。
数十メートル先の灰が、兵士たちの歩みに合わせてわずかに振動していた。
「……符眼の位置波と連動してるな。
視界だけじゃない、地形の“理構造”ごと測ってる。」
リュミナが眉を寄せた。
「どうすれば……止められる?」
「止める必要はない。」
アーレンは指先を光の符に滑らせた。
灰がざわめく。
「理を“曲げる”。」
⸻
符盤が一瞬、悲鳴のような音を立てた。
周囲の灰が舞い上がり、空気が歪む。
アーレンの掌から伸びる符線が灰流を掴み、逆流させる。
灰は、風のように流れるもの。
だが今、それが“牙”を持った。
渦が起こり、帝国兵の一人を飲み込む。
灰が鎧の隙間に入り込み、符刻を焼き切った。
金属が軋み、倒れた兵の姿が灰に沈む。
⸻
「アーレン、それ――!」
リュミナの声が震える。
「……わかってる!」
彼の腕に刻まれた符文が赤く焼ける。
符盤が過負荷を起こし、灰が制御を超えて動き始めていた。
理の流れが、命の意志を持ったかのように暴れ回る。
兵たちが叫び、符装銃を構えた。
撃ち出された符弾が光の矢となって灰を裂く。
理と理の衝突。
灰が火花を散らし、空に赤い線を描いた。
⸻
「ノア、下がれ!」
アーレンの叫びと同時に、爆音が響いた。
符弾の一発が近くの灰岩を砕き、破片がノアの頬をかすめた。
血が、一筋。
ノアは膝をつき、手を押さえる。
「……いたい……!」
リュミナが駆け寄り、ノアを抱き寄せる。
灰核が強く輝き、周囲の灰が一瞬だけ静止した。
空気が、凍った。
⸻
兵たちの符弾が止まる。
風の代わりに、灰が空を覆った。
リュミナの髪がゆっくりと舞い上がり、瞳の奥に淡い光がともる。
「やめて……!」
灰核が共鳴した。
灰原全体が振動し、兵士たちの符盤が一斉にエラーを起こす。
符刻が焼け、制御波が逆流。
灰が、牙のように立ち上がった。
⸻
アーレンがリュミナに手を伸ばす。
「だめだ、止めろリュミナ! その流れは――!」
彼女は振り返らなかった。
ただ、涙を流していた。
「……どうして、壊そうとするの……!」
灰の壁が一気に広がり、兵たちを包み込む。
音が消える。
灰が、世界を丸ごと呑み込んだ。
⸻
次の瞬間、光が弾けた。
衝撃波が走り、アーレンたちは吹き飛ばされる。
灰が空高く舞い上がり、視界を覆う。
アーレンは這うように立ち上がった。
符盤の表面はひび割れ、灰に焼け焦げている。
「……制御を……失った……」
その声に、リュミナは息を呑んだ。
自分の手のひらに、まだ淡い光が残っていた。
それが“命を守る力”なのか、“理を壊す力”なのか――彼女には分からなかった。
⸻
灰嵐が止み、風が戻る。
残されたのは、焼け焦げた符装と灰に沈んだ鉄片。
ノアが震える声で呟いた。
「……みんな、消えたの?」
「違う。」
アーレンは符盤を閉じ、灰の波を見つめた。
「理に“還った”。
灰は奪うんじゃない。
ただ、元の記録へ戻しただけだ。」
⸻
リュミナは膝を抱え、沈黙していた。
彼女の中で、灰核が小さく鳴る。
それは泣き声にも似ていた。
灰の嵐が止んだあと、世界は音を失っていた。
灰原に倒れた鉄片の群れが、朝の光を鈍く反射している。
空気は静まり返り、ただ遠くで、灰がさらさらと流れる音だけが響いていた。
アーレンは灰の中に膝をつき、焼け焦げた符盤を拾い上げた。
ひび割れた表面を指でなぞる。符刻は半分以上が消えていた。
「……制御率が四割以下か。
符盤がもう、理流を読み切れない。」
彼の声は掠れていた。
理を支配するつもりはなかった。
だが、灰は人の意志を測りもしない。
ただ“応じる”だけだ――その結果が、これだった。
⸻
リュミナは崩れた岩の上に座り、両手を膝に置いていた。
灰核の光はほとんど消えている。
けれど、その内側では何かが“さざめいて”いた。
「……ねえ、アーレン。」
「どうした。」
「さっき、灰が……喋った気がしたの。」
アーレンの手が止まる。
「“喋った”?」
「うん。言葉じゃないけど……“だいじょうぶ”って。」
彼女の声は震えていた。
まるで、誰かの夢を語るように。
⸻
アーレンはしばらく黙ってから、符盤を再起動した。
残存波形を解析する。
符面に微弱な波――リュミナの灰核から発せられた“信号”が残っていた。
「……確かに、反応がある。」
「ほんとに?」
ノアが身を乗り出した。
「ああ。理の残響が、彼女に語りかけた。
塔で崩壊した理心核の断片……それがまだ、どこかに漂ってる。」
「じゃあ、それが……リュミナを呼んでる?」
「そうかもしれない。」
アーレンは目を細める。
灰の流れがわずかに北を指していた。
⸻
その頃――
遠く帝国灰理局・中央観測塔。
「主任、灰域北西部より“自律符波”を検出!」
「またか?」
エルシアが符盤を覗き込む。
波形はなめらかで、周期的――まるで“心臓の鼓動”のようだった。
「……この波、まさか。」
背後からラザンの声が響いた。
「間違いない。理災時の記録と一致している。
理が再び“人を観測”し始めたんだ。」
「ですが、まだ規模は小さい。発振源は単一です。」
「単一なら捕まえればいい。」
ラザンは冷たく笑った。
「“灰の灯”を生け捕りにしろ。理の記録ごと連れ帰る。」
⸻
灰原。
風が再び吹いた。
リュミナが顔を上げる。
灰の粒が、光のようにきらめきながら彼女の手のひらに落ちた。
その一粒が、微かに震えた。
『……リュ……ミナ……』
かすかな声。
彼女は息を呑んだ。
「い、今……!」
アーレンが振り返る。
「聞こえたのか?」
「うん……誰かが……呼んでる。
でも、“灰の中”から。」
⸻
灰が舞い上がり、渦を描いた。
彼女の灰核がそれに呼応するように脈を打つ。
符盤が自動的に反応し、解析式が浮かび上がった。
「理の断片が反応してる……場所は、北だ。」
アーレンが呟く。
「北……?」
ノアが震える声で問う。
「ああ。灰理塔よりもさらに向こう――“灰の北”と呼ばれる領域だ。」
リュミナは目を細めた。
灰の風が彼女の髪を撫で、光を散らす。
「……そこに、“声”の主がいるの?」
「もしくは――“理”そのものだ。」
⸻
沈黙。
灰原に残るのは、風の音と心臓の鼓動だけだった。
アーレンは符盤を閉じ、立ち上がる。
視線は北へ。
「行こう。」
リュミナが頷き、ノアが不安げに後ろを見た。
遠く、灰煙の向こうに赤い閃光が揺れていた。
帝国の符眼群。
追撃は、まだ終わっていない。
灰原の先に、途切れた街道があった。
地平線のように広がる灰の海を渡り、崩れ落ちた石橋が姿を現す。
その向こうは深い渓谷。灰流が川のように流れ込み、底は見えない。
「ここが……“灰の橋”か。」
アーレンが息を整えた。
かつて王国と帝国を繋いだ街道の名残。
理災の時に崩れ、灰流に沈んだ。
今は灰が橋を形づくっており、まるで理そのものが“記録をなぞっている”ようだった。
⸻
リュミナが足元を見下ろす。
灰の層がゆらゆらと揺れ、流れるたびに微かな光を帯びる。
「……これ、歩いても大丈夫?」
「安定してる。理が形を保っているうちは、崩れない。」
アーレンが答える。
「ただし、乱せば――沈む。」
ノアは喉を鳴らした。
「じゃあ、渡るの?」
「渡るしかない。」
アーレンは符盤を構えた。
「帝国が追ってくる。ここで止まれば、挟まれる。」
⸻
その瞬間だった。
灰原の風が一変する。
渦を巻くように逆流し、橋の反対側から複数の符文光が点灯した。
「……来たな。」
アーレンの声と同時に、閃光が走る。
灰の橋に符弾が突き刺さり、光の柱が立ち上がる。
「帝国符術師部隊!」
ノアが叫ぶ。
渓谷の向こう側、黒衣の符術師たちが陣形を組んでいた。
手にした符盤が展開され、橋の理流を“逆制御”している。
⸻
「符盤をあんな風に……!」
アーレンが目を見開く。
兵たちの符盤に刻まれた文様――
それは、彼が学院時代に完成させた理式そのものだった。
対流式符文構造・連環理流固定式。
――まさしく、自分が書いた式だ。
「まさか……帝国が、俺の研究を……!」
符盤が一斉に発光する。
橋の理流が逆巻き、灰が弾けた。
⸻
「下がって!」
アーレンが叫ぶと同時に、リュミナが両手を突き出した。
灰核が輝き、空気が振動する。
瞬間、彼女の周囲に光の膜が広がった。
灰が壁のように立ち上がり、符弾を受け止める。
「……これは……!」
アーレンは息を呑む。
灰の防壁――理の流れを“遮断”している。
理を理で打ち消す。
人間には不可能とされてきた、理の“防御転換”だった。
⸻
「リュミナ……お前、どうやって――」
「わかんない。でも、“守らなきゃ”って思ったら、灰が……動いたの。」
彼女の声は震えていたが、その瞳は確かに光を宿していた。
帝国符術師たちが次の符文を展開する。
今度は灰流を切り裂くような鋭い符波。
灰が共鳴し、盾が軋む。
「耐えられない!」
ノアが叫ぶ。
「橋を崩す!」
アーレンは叫び、符盤を叩きつけた。
⸻
符盤が赤く光り、理流が逆転する。
橋の灰がひび割れ、崩れ落ちる音が響いた。
帝国兵の一部が足を取られ、渓谷へと沈んでいく。
灰の風がうねり、渦が立つ。
アーレンはリュミナの手を掴み、ノアを抱えて跳んだ。
灰の壁が彼らを包み、落下の衝撃を和らげる。
下方には灰の川が流れ、彼らはその上に転がり込むように着地した。
⸻
橋の上では、帝国符術師の一人が怒声を上げた。
「灰理制御波、完全に破断! 理構造が……崩壊していく!」
上空の符眼が光を瞬かせ、データを収集している。
灰理局への報告が、即座に送信された。
『目標、灰流制御能力を確認。対象、理防御式を発動。』
『符理構造、アーレン・クロード論文と一致。』
⸻
灰の川を流されながら、アーレンは息を荒げていた。
符盤の光は弱く、腕には火傷のような痕が浮かんでいる。
「帝国は、俺たちの理を盗んだ……。」
その声には怒りではなく、静かな絶望が滲んでいた。
リュミナはその横顔を見つめていた。
灰核が脈を打ち、まるで共鳴するように微かに輝く。
「……だったら、取り戻そう。
“理”は、あなたのものなんでしょ?」
アーレンは答えず、ただ灰の流れを見つめていた。
灰原を渡る風は、乾いて冷たかった。
灰は舞い上がっては沈み、どこまでも地平を覆っている。
世界の輪郭がぼやけ、遠くの山も、かつての街道も灰に呑まれていた。
リュミナの胸の灰核が、時折かすかに光を放つ。
塔で受けた“理の残響”が、まだ彼女の内で続いているのだ。
そのたびに、アーレンは符盤を覗き、流れを確認していた。
「脈が速いな。理波の収束がまだ不安定だ。」
「……これ、痛くはないけど、重い感じがするの。」
リュミナは胸に手を当て、小さく息をついた。
「塔が崩れた時の波がまだ体に残ってるんだろう。
無理はするな。灰は、感情にも反応する。」
その会話を聞いていたノアが、不安げに辺りを見回した。
「……こんな場所、ずっと歩いてたら、どこまで行けるのかな。」
アーレンは笑みを浮かべた。
「それを確かめるために歩いてるんだ。」
⸻
昼過ぎ。
灰原の空が、突然、音もなく光った。
瞬間、アーレンは足を止める。
符盤の端に、異常な波形――人工の理波が走った。
「……帝国の観測波だ。」
「観測……波?」
ノアが首をかしげる。
「理を測るための“目”だ。
帝国は、灰理塔の異常を感知して動き出したらしい。
今の波形、距離からしてこの灰域の上空――すぐ近くに来てる。」
アーレンは符盤を閉じ、周囲の灰を一握り掴んだ。
指の間から、灰が細い筋を描いて流れ落ちる。
その動きが――風ではなく“何かの力”に導かれているようだった。
⸻
リュミナが顔を上げる。
灰の空に、ゆっくりと黒い影が浮かび上がった。
最初は一つ、そして二つ――やがて十を超える。
金属質の球体が浮遊しながら、赤い光を点滅させていた。
表面には幾何学の符文が刻まれ、中心部の光が地面をなぞる。
アーレンは息を詰めた。
「符眼(ふがん)だ。
帝国の観測装置……いや、“監視兵器”だな。」
球体の一つが急降下し、地表を這うように滑る。
灰を巻き上げながら、赤い光がアーレンたちの進行方向を走査する。
⸻
「見つかった?」
ノアが声を潜める。
「ああ。灰理塔の波形を追ってる。
塔が崩れた時に漏れた“理の座標”が、俺たちの位置を結びつけたんだ。」
リュミナの灰核が、微かに脈を打った。
「……私、呼ばれてる。灰が……声を出してる。」
「落ち着け。呼ばれているのは“理”の残響だ。」
アーレンは符盤を構えた。
光の輪が空中に展開し、灰流の波を乱すように符を打ち込む。
「灰の流れをずらす。符眼の波を狂わせるんだ。」
指先が素早く動く。
淡い光が地表に走り、風が反転した。
灰が旋回し、符眼の赤光を一瞬だけ遮る。
⸻
「いまだ。北西へ抜けるぞ。」
アーレンが短く指示を出す。
「北西って……灰嵐の峡谷だよ!」
ノアが悲鳴を上げる。
「だからいい。
符眼は灰嵐の理乱を解析できない。
“理を読めない場所”なら、奴らの目も届かない。」
リュミナがうなずき、足元の灰を踏みしめる。
灰核が淡く光り、灰の粒が二人の足跡を覆い隠していく。
「……アーレン、行こう。」
風が再び吹いた。
灰が地平を這い、光を乱反射させながら渦を巻く。
⸻
その背後――
符眼群の中央で、一際大きな球体が動きを止めた。
内部に光が走り、通信符が展開される。
『目標、灰域北西にて符応反応を確認。理残響値、臨界域。』
『灰理局に報告――追撃部隊、発進。』
球体の瞳が赤く輝き、風を裂いて飛び立った。
⸻
その頃、灰原を渡る三人の姿があった。
アーレンの符盤が淡く光り、灰流を制御しながら足場を確保する。
リュミナが背後を振り返ると、空に無数の赤い点が浮かんでいた。
「追ってきてる……!」
「もう止まらない。
“理を観る国”が、俺たちを見つけた。」
アーレンの声は静かだった。
だがその目には、かすかな怒りが宿っていた。
灰原の風が唸り、符眼の光が空を裂く。
世界が、再び理の名のもとに動き出した。
灰の風が止まった。
その静寂の中、金属の靴音が響く。
灰原の向こうから、黒鉄の装甲服に身を包んだ兵士たちが現れた。
肩と胸には符文の刻印。帝国灰理局直属――灰紋隊(かいもんたい)。
背には符装銃、腰には短符刀。
彼らは灰を踏みしめ、理を測る者の歩幅で進んでくる。
⸻
アーレンは符盤を展開した。
光の円が地表を走り、灰流の波形を解析する。
数十メートル先の灰が、兵士たちの歩みに合わせてわずかに振動していた。
「……符眼の位置波と連動してるな。
視界だけじゃない、地形の“理構造”ごと測ってる。」
リュミナが眉を寄せた。
「どうすれば……止められる?」
「止める必要はない。」
アーレンは指先を光の符に滑らせた。
灰がざわめく。
「理を“曲げる”。」
⸻
符盤が一瞬、悲鳴のような音を立てた。
周囲の灰が舞い上がり、空気が歪む。
アーレンの掌から伸びる符線が灰流を掴み、逆流させる。
灰は、風のように流れるもの。
だが今、それが“牙”を持った。
渦が起こり、帝国兵の一人を飲み込む。
灰が鎧の隙間に入り込み、符刻を焼き切った。
金属が軋み、倒れた兵の姿が灰に沈む。
⸻
「アーレン、それ――!」
リュミナの声が震える。
「……わかってる!」
彼の腕に刻まれた符文が赤く焼ける。
符盤が過負荷を起こし、灰が制御を超えて動き始めていた。
理の流れが、命の意志を持ったかのように暴れ回る。
兵たちが叫び、符装銃を構えた。
撃ち出された符弾が光の矢となって灰を裂く。
理と理の衝突。
灰が火花を散らし、空に赤い線を描いた。
⸻
「ノア、下がれ!」
アーレンの叫びと同時に、爆音が響いた。
符弾の一発が近くの灰岩を砕き、破片がノアの頬をかすめた。
血が、一筋。
ノアは膝をつき、手を押さえる。
「……いたい……!」
リュミナが駆け寄り、ノアを抱き寄せる。
灰核が強く輝き、周囲の灰が一瞬だけ静止した。
空気が、凍った。
⸻
兵たちの符弾が止まる。
風の代わりに、灰が空を覆った。
リュミナの髪がゆっくりと舞い上がり、瞳の奥に淡い光がともる。
「やめて……!」
灰核が共鳴した。
灰原全体が振動し、兵士たちの符盤が一斉にエラーを起こす。
符刻が焼け、制御波が逆流。
灰が、牙のように立ち上がった。
⸻
アーレンがリュミナに手を伸ばす。
「だめだ、止めろリュミナ! その流れは――!」
彼女は振り返らなかった。
ただ、涙を流していた。
「……どうして、壊そうとするの……!」
灰の壁が一気に広がり、兵たちを包み込む。
音が消える。
灰が、世界を丸ごと呑み込んだ。
⸻
次の瞬間、光が弾けた。
衝撃波が走り、アーレンたちは吹き飛ばされる。
灰が空高く舞い上がり、視界を覆う。
アーレンは這うように立ち上がった。
符盤の表面はひび割れ、灰に焼け焦げている。
「……制御を……失った……」
その声に、リュミナは息を呑んだ。
自分の手のひらに、まだ淡い光が残っていた。
それが“命を守る力”なのか、“理を壊す力”なのか――彼女には分からなかった。
⸻
灰嵐が止み、風が戻る。
残されたのは、焼け焦げた符装と灰に沈んだ鉄片。
ノアが震える声で呟いた。
「……みんな、消えたの?」
「違う。」
アーレンは符盤を閉じ、灰の波を見つめた。
「理に“還った”。
灰は奪うんじゃない。
ただ、元の記録へ戻しただけだ。」
⸻
リュミナは膝を抱え、沈黙していた。
彼女の中で、灰核が小さく鳴る。
それは泣き声にも似ていた。
灰の嵐が止んだあと、世界は音を失っていた。
灰原に倒れた鉄片の群れが、朝の光を鈍く反射している。
空気は静まり返り、ただ遠くで、灰がさらさらと流れる音だけが響いていた。
アーレンは灰の中に膝をつき、焼け焦げた符盤を拾い上げた。
ひび割れた表面を指でなぞる。符刻は半分以上が消えていた。
「……制御率が四割以下か。
符盤がもう、理流を読み切れない。」
彼の声は掠れていた。
理を支配するつもりはなかった。
だが、灰は人の意志を測りもしない。
ただ“応じる”だけだ――その結果が、これだった。
⸻
リュミナは崩れた岩の上に座り、両手を膝に置いていた。
灰核の光はほとんど消えている。
けれど、その内側では何かが“さざめいて”いた。
「……ねえ、アーレン。」
「どうした。」
「さっき、灰が……喋った気がしたの。」
アーレンの手が止まる。
「“喋った”?」
「うん。言葉じゃないけど……“だいじょうぶ”って。」
彼女の声は震えていた。
まるで、誰かの夢を語るように。
⸻
アーレンはしばらく黙ってから、符盤を再起動した。
残存波形を解析する。
符面に微弱な波――リュミナの灰核から発せられた“信号”が残っていた。
「……確かに、反応がある。」
「ほんとに?」
ノアが身を乗り出した。
「ああ。理の残響が、彼女に語りかけた。
塔で崩壊した理心核の断片……それがまだ、どこかに漂ってる。」
「じゃあ、それが……リュミナを呼んでる?」
「そうかもしれない。」
アーレンは目を細める。
灰の流れがわずかに北を指していた。
⸻
その頃――
遠く帝国灰理局・中央観測塔。
「主任、灰域北西部より“自律符波”を検出!」
「またか?」
エルシアが符盤を覗き込む。
波形はなめらかで、周期的――まるで“心臓の鼓動”のようだった。
「……この波、まさか。」
背後からラザンの声が響いた。
「間違いない。理災時の記録と一致している。
理が再び“人を観測”し始めたんだ。」
「ですが、まだ規模は小さい。発振源は単一です。」
「単一なら捕まえればいい。」
ラザンは冷たく笑った。
「“灰の灯”を生け捕りにしろ。理の記録ごと連れ帰る。」
⸻
灰原。
風が再び吹いた。
リュミナが顔を上げる。
灰の粒が、光のようにきらめきながら彼女の手のひらに落ちた。
その一粒が、微かに震えた。
『……リュ……ミナ……』
かすかな声。
彼女は息を呑んだ。
「い、今……!」
アーレンが振り返る。
「聞こえたのか?」
「うん……誰かが……呼んでる。
でも、“灰の中”から。」
⸻
灰が舞い上がり、渦を描いた。
彼女の灰核がそれに呼応するように脈を打つ。
符盤が自動的に反応し、解析式が浮かび上がった。
「理の断片が反応してる……場所は、北だ。」
アーレンが呟く。
「北……?」
ノアが震える声で問う。
「ああ。灰理塔よりもさらに向こう――“灰の北”と呼ばれる領域だ。」
リュミナは目を細めた。
灰の風が彼女の髪を撫で、光を散らす。
「……そこに、“声”の主がいるの?」
「もしくは――“理”そのものだ。」
⸻
沈黙。
灰原に残るのは、風の音と心臓の鼓動だけだった。
アーレンは符盤を閉じ、立ち上がる。
視線は北へ。
「行こう。」
リュミナが頷き、ノアが不安げに後ろを見た。
遠く、灰煙の向こうに赤い閃光が揺れていた。
帝国の符眼群。
追撃は、まだ終わっていない。
灰原の先に、途切れた街道があった。
地平線のように広がる灰の海を渡り、崩れ落ちた石橋が姿を現す。
その向こうは深い渓谷。灰流が川のように流れ込み、底は見えない。
「ここが……“灰の橋”か。」
アーレンが息を整えた。
かつて王国と帝国を繋いだ街道の名残。
理災の時に崩れ、灰流に沈んだ。
今は灰が橋を形づくっており、まるで理そのものが“記録をなぞっている”ようだった。
⸻
リュミナが足元を見下ろす。
灰の層がゆらゆらと揺れ、流れるたびに微かな光を帯びる。
「……これ、歩いても大丈夫?」
「安定してる。理が形を保っているうちは、崩れない。」
アーレンが答える。
「ただし、乱せば――沈む。」
ノアは喉を鳴らした。
「じゃあ、渡るの?」
「渡るしかない。」
アーレンは符盤を構えた。
「帝国が追ってくる。ここで止まれば、挟まれる。」
⸻
その瞬間だった。
灰原の風が一変する。
渦を巻くように逆流し、橋の反対側から複数の符文光が点灯した。
「……来たな。」
アーレンの声と同時に、閃光が走る。
灰の橋に符弾が突き刺さり、光の柱が立ち上がる。
「帝国符術師部隊!」
ノアが叫ぶ。
渓谷の向こう側、黒衣の符術師たちが陣形を組んでいた。
手にした符盤が展開され、橋の理流を“逆制御”している。
⸻
「符盤をあんな風に……!」
アーレンが目を見開く。
兵たちの符盤に刻まれた文様――
それは、彼が学院時代に完成させた理式そのものだった。
対流式符文構造・連環理流固定式。
――まさしく、自分が書いた式だ。
「まさか……帝国が、俺の研究を……!」
符盤が一斉に発光する。
橋の理流が逆巻き、灰が弾けた。
⸻
「下がって!」
アーレンが叫ぶと同時に、リュミナが両手を突き出した。
灰核が輝き、空気が振動する。
瞬間、彼女の周囲に光の膜が広がった。
灰が壁のように立ち上がり、符弾を受け止める。
「……これは……!」
アーレンは息を呑む。
灰の防壁――理の流れを“遮断”している。
理を理で打ち消す。
人間には不可能とされてきた、理の“防御転換”だった。
⸻
「リュミナ……お前、どうやって――」
「わかんない。でも、“守らなきゃ”って思ったら、灰が……動いたの。」
彼女の声は震えていたが、その瞳は確かに光を宿していた。
帝国符術師たちが次の符文を展開する。
今度は灰流を切り裂くような鋭い符波。
灰が共鳴し、盾が軋む。
「耐えられない!」
ノアが叫ぶ。
「橋を崩す!」
アーレンは叫び、符盤を叩きつけた。
⸻
符盤が赤く光り、理流が逆転する。
橋の灰がひび割れ、崩れ落ちる音が響いた。
帝国兵の一部が足を取られ、渓谷へと沈んでいく。
灰の風がうねり、渦が立つ。
アーレンはリュミナの手を掴み、ノアを抱えて跳んだ。
灰の壁が彼らを包み、落下の衝撃を和らげる。
下方には灰の川が流れ、彼らはその上に転がり込むように着地した。
⸻
橋の上では、帝国符術師の一人が怒声を上げた。
「灰理制御波、完全に破断! 理構造が……崩壊していく!」
上空の符眼が光を瞬かせ、データを収集している。
灰理局への報告が、即座に送信された。
『目標、灰流制御能力を確認。対象、理防御式を発動。』
『符理構造、アーレン・クロード論文と一致。』
⸻
灰の川を流されながら、アーレンは息を荒げていた。
符盤の光は弱く、腕には火傷のような痕が浮かんでいる。
「帝国は、俺たちの理を盗んだ……。」
その声には怒りではなく、静かな絶望が滲んでいた。
リュミナはその横顔を見つめていた。
灰核が脈を打ち、まるで共鳴するように微かに輝く。
「……だったら、取り戻そう。
“理”は、あなたのものなんでしょ?」
アーレンは答えず、ただ灰の流れを見つめていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~
月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」
猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。
彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。
チート能力? 攻撃魔法?
いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。
「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」
ゴブリン相手に正座で茶を勧め、
戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、
牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。
そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……?
「野暮な振る舞いは許しません」
これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる