52 / 65
第5巻 帝国編・後編 ー灰の心臓ー
第5章 灰の心臓
しおりを挟む
――風が止まった。
灰原の奥、北の果て。
かつて海だったと思しき窪地に、灰が湖のように溜まっている。
灰流は穏やかに波打ち、まるで大地が呼吸をしているようだった。
アーレンはその中心で立ち止まり、符盤を開いた。
淡い光の波形が、上下にうねる。
数値では測れない。これは“生きている流れ”だった。
「……ここが、灰の心臓域だ。」
リュミナが灰の地を見つめる。
灰の粒が彼女の足元で脈を打ち、胸の灰核が共鳴している。
光がゆっくりと彼女の体を包み、灰の波と溶け合う。
「聞こえる……“音”がするの。」
「音?」
ノアが小声で尋ねた。
リュミナは頷き、耳ではなく胸を押さえる。
「ううん、音じゃない……“鼓動”みたい。
灰が、生きてる……。」
⸻
アーレンは符盤の端に手を添え、理流を読み取った。
灰核と地脈が共鳴して、巨大な循環を形成している。
それは帝国の符盤では決して観測できなかった“世界の内部の動き”だった。
「理の流れが……記録を再生している。
封印された情報が、灰そのものから呼び起こされているんだ。」
ノアが眉をひそめた。
「記録って……誰の?」
「……この世界の、命すべての。」
アーレンの声は震えていた。
「人も、理も、帝国も、リゼノスも……全部だ。
ここは“観測の始まり”であり、“終わり”の場所だ。」
⸻
その時、灰の湖が微かに光を放った。
波紋がひとつ、またひとつ――
やがて光が形を取り始める。
それは、人の姿だった。
淡い光でできた影が、灰の湖面の上に浮かぶ。
顔はない。だが、その輪郭はどこか懐かしい。
「……アーレン。」
声がした。
灰が震え、音が形になって届く。
彼は思わず一歩踏み出した。
「その声……まさか――」
リュミナの瞳が揺れる。
「――帝国の人……じゃない。もっと古い……」
光の人影は、彼らの前でゆっくりと手を伸ばした。
灰の粒が宙に散り、言葉のような符文を描く。
《理ハ記録ス。命ノ夢ヲ。》
⸻
符盤が震えた。
数式が自動的に展開され、知らない理式が並び始める。
アーレンは息を呑んだ。
「……これは俺の符式じゃない。“原初理式”だ。」
「原初……?」
リュミナが目を見開く。
「“理”そのものが記した最初の式。
命を観測する前――理が、理を定義するために残した記録。」
その言葉の意味を理解する前に、灰の地面が震えた。
灰の湖が波を打ち、光が柱のように空へ昇っていく。
⸻
ノアが叫ぶ。
「アーレン! これ、理災の時と同じ……!」
「違う、これは暴走じゃない――“再生”だ!」
アーレンは叫び返す。
灰の光が空に走り、巨大な輪を描く。
そこに、無数の影が浮かび上がった。
人々の形、街の形、塔、空の理脈――。
世界そのものが“記録”として映し出されていく。
その光景を見ながら、リュミナが呟いた。
「……これが、世界の“夢”なんだね。」
⸻
アーレンはただ立ち尽くしていた。
灰の風が彼の頬を撫で、光が瞳に映る。
その中心に、ひとつの人影が立っていた。
白衣を纏い、胸に符章を下げたその姿――
帝国灰理局長、エルシア・ファロウ。
だが、それは実体ではなかった。
光の記録として、理の中に“残された姿”だった。
「……エルシア……?」
アーレンが呟く。
彼女は微笑み、唇だけを動かした。
音は届かない。
けれど、確かに“言葉”が伝わってきた。
――『見届けて。灰の心臓が、息をする瞬間を。』
光が弾け、灰原が脈を打つ。
世界が、再び息をし始めた。
――灰の湖の底が、呼吸していた。
地を這うような低い音が、足元から響いてくる。
灰の粒が波紋を描き、ゆっくりと中心へと吸い込まれていく。
アーレンは膝をつき、符盤をかざした。
淡い波形が灰流の奥で螺旋を描いている。
「……“流れ”が内側に折り返してる。記録の層が――開いていく。」
リュミナの灰核が脈を打った。
金の光が胸元から零れ、灰流と共鳴する。
「……わたし、呼ばれてる。」
「中枢が“鍵”を求めてるんだ。お前の灰核は、理にとって“最初の命”だから。」
アーレンの言葉に、リュミナは息を呑む。
足元の灰がふわりと浮き上がり、光の粒が空へ昇った。
⸻
灰の湖面が割れた。
音もなく、灰が外へ流れ出す。
その奥に、淡く光る構造体が現れる。
金属でも岩でもない。灰が結晶化して、幾何学のような層を形づくっている。
「これが……“灰の心臓”の中……?」
ノアが囁く。
「いや、“理の記録庫”だ。」
アーレンは符盤を展開しながら答える。
「ここには、世界が“どう壊れたか”が全部記録されてる。」
リュミナが一歩踏み出すと、灰の壁に触れた。
瞬間、光が走る。
壁が反応し、淡い映像が投影された。
⸻
それは、灰に沈む前の世界だった。
王都リゼノス。塔の研究室。
符盤を囲む人々の姿――その中央に立つ、若い研究者。
アーレン自身だった。
「……これ、俺の……?」
彼は言葉を失った。
光の中の“彼”が符式を刻み、実験装置の中央に灰核を置く。
リュミナが生まれた瞬間。
理が応答し、灰が光を放った――世界が、最初に“息をした日”。
リュミナは口を覆い、震えた。
「わたしの“誕生”……理が覚えてる。」
⸻
アーレンは膝をつき、光景を見上げた。
「俺たちは……“理を壊した”んじゃない。
理は俺たちを記録して、“もう一度考えよう”としてるんだ。」
「考える……?」とノア。
「ああ。命を“創る”という行為を、理自身が学ぼうとしてる。」
⸻
その時、符盤が警告音を放った。
灰流が乱れ、外から干渉波が走る。
アーレンが顔を上げた。
「……帝国の波だ。」
⸻
帝国首都ヴァルシュタイン。
灰理局観測塔の奥。
封印されていた観測符が一斉に明滅していた。
「理波、再検出。封鎖層を貫通する反応を確認!」
報告官の声に、エルシアが駆け込む。
彼女は符盤を覗き込み、息を呑んだ。
波形が示す座標は――北、灰の心臓域。
「……アーレン……あなた、そこまで……」
背後から声がした。
「再会の時が来たようだな。」
振り返ると、拘禁されていたはずの男が立っていた。
黒衣のまま、目に灰光を宿して。
ラザン・アルディウス。
「……理が俺を呼んだ。
“秩序”ではなく、“真実”を見せるためにな。」
エルシアの瞳が揺れる。
「あなたまでも、理に――」
ラザンは微かに笑った。
「違うさ。俺は“理を信じる”側に戻っただけだ。」
⸻
灰域。
アーレンたちの頭上で、空が光った。
帝国符流と灰流が衝突し、光の柱が走る。
アーレンは符盤を握りしめる。
「帝国が……また“観測”を始めた。」
灰の湖がざわめき、リュミナの灰核が脈を打つ。
灰が彼女の手に吸い寄せられ、淡い輪を形づくる。
灰の記録は、再び世界を照らそうとしていた。
――帝国首都ヴァルシュタイン。
灰理局・上層戦略会議室。
封印解除以降、再び稼働を始めた理導管が、床下で低く唸っていた。
光の筋が天井を走り、中央の符盤に灰域の地図を投影している。
そこに、ひときわ強い反応点――“北部地脈”、灰の心臓域。
エルシア・ファロウ局長は報告を受けながら、眉をひそめた。
「……観測層の符眼群が反応を示した? 理封波の再発ではなく?」
「違います、局長。反応は内側――灰の心臓の中からです。
まるで“理そのもの”がこちらを探しているような……」
報告官の声が震える。
だが、その後方から静かな足音が響いた。
ラザン・アルディウス。
拘束解除の印をまだ腕に残したまま、軍服姿で現れた。
「理は探しているのではない。“招いている”のだ。」
会議室の空気が張りつめる。
エルシアは目を細めた。
「……許可なくここに?」
「俺を縛る法はもうない。灰が解いた。」
彼の瞳には、以前の冷たい光ではなく、どこか深い静けさが宿っていた。
⸻
「局長、理の流れはもう帝国の外にある。
“観測”では届かない。ならば――俺たちは“触れる”しかない。」
「触れれば、また理災が起きる。」
「違う。あれは“拒絶”ではなく“応答”だった。
アーレン・クロードが証明しただろう。理は理解されることを望んでいる。」
エルシアは息を詰めた。
ラザンの声は低いが、どこか祈るような響きを帯びていた。
「――理に、会いに行く。灰翼を再び飛ばす。」
彼の言葉に、周囲の官僚たちがざわめいた。
「再遠征は不許可のはずだ!」
「局長、止めてください!」
エルシアは黙ったまま、ラザンを見つめた。
やがて小さく呟く。
「……あなたの“理”が、間違っていないことを祈るわ。」
ラザンは短く頭を下げ、静かに去った。
灰導管の光が背中を照らす。
その歩みは、かつての軍人のそれではなく――“巡礼者”のようだった。
⸻
一方その頃、灰の心臓。
アーレンたちは結晶層の奥へ進んでいた。
壁の模様が変化し、灰の粒が彼らの動きに合わせて流れていく。
「……まるで、導かれてるみたい。」
リュミナの声が響く。
「理は観測を嫌う。でも、触れられることは拒まない。」
アーレンは指先で符盤を撫でた。
その光が灰の壁と共鳴し、内部に淡い“記録”が浮かぶ。
それは――かつて理災の最中に消えた命たちの影。
灰となった人々が、淡い光となって立ち現れていた。
ノアが怯えて後ずさる。
「これ……人の“記録”?」
「そうだ。理は観測した命を、全部“覚えてる”。」
アーレンは拳を握った。
「その記録を、いま再び“再生”しようとしている。」
⸻
リュミナが壁に触れた瞬間、光が走った。
灰が弾け、膨大な映像が流れ込む。
街、海、空――そして、かつての人々の笑い声。
その全てが、一瞬で灰に還る。
リュミナは膝をつき、両手で頭を抱えた。
「たくさんの声が……見て、って言ってる……!」
アーレンが駆け寄り、彼女を支える。
「無理するな。理は“記録”を見せてくる。だが、それは過去だ。」
「でも……あの中に、“今も生きてる”声がある……!」
アーレンは息を呑んだ。
符盤が勝手に作動し、灰の波形が重なっていく。
《接続波、帝国符流ト干渉開始》
「……帝国の波が、理の中に混ざってる!?」
空間が震えた。
灰の光が反転し、遠くに黒い影が見える。
符翼の機影――帝国部隊。
⸻
空に、黒鉄の翼が光った。
その中心に立つ人影が、アーレンたちを見下ろしていた。
――ラザン・アルディウス。
「アーレン・クロード。
“理の心臓”を前にしても、まだ恐れているのか?」
アーレンは顔を上げ、符盤を構えた。
「お前が……まだ“理を支配できる”と思っているなら、間違いだ。」
「支配じゃない。理解だ。
お前が“生命”を創ったように、我々も“世界”を創る。」
灰の風が吹き抜け、二人の間に立つリュミナの灰核が光った。
その光が、両者の符盤を同時に照らす。
理は、二人の“解釈”を見つめていた。
⸻
光が収束する。
灰の心臓が、ゆっくりと鼓動を強めた。
世界は――再び選ばれようとしていた。
――灰が鳴っていた。
耳ではない、骨の奥で響く音。
大地が鼓動し、空気が脈を打っている。
灰の心臓――その中心に、淡く光る球状の核が浮かんでいた。
アーレンは息を呑み、符盤を構える。
波形は狂っていない。むしろ安定している。
それはまるで、この場所が「理の最も静かな場所」であるかのようだった。
「……ここが、理が世界を“記録した”座標。」
リュミナが光に包まれながら立っていた。
胸の灰核が共鳴し、心臓の鼓動と同じリズムで脈を打っている。
「聞こえる……灰が、話してる。」
アーレンは慎重に近づいた。
「答えるな。まだ波が安定していない。」
「でも、呼ばれてるの。わたしたちの“はじまり”の名前で……。」
その言葉と同時に、空気が裂けた。
符翼の光が天から落ち、灰の地を照らす。
灰が舞い上がり、熱風が渦を巻く。
⸻
黒鉄の装甲。
紋章に刻まれた双頭の鷲――帝国灰理局。
その中心、符翼の甲板に立つ男がいた。
ラザン・アルディウス。
「……やはりここか。理が再び動き出す場所。」
彼は一歩前に出て、手を差し伸べた。
「アーレン・クロード、そして《灰の灯》。
この“心臓”を我々に渡してくれ。理は人の手で導かれるべきだ。」
アーレンは即座に符盤を展開し、波形を遮断する。
「導く? それを“支配”と呼ばないなら、何だ。」
「支配ではない。“責任”だ。」
ラザンの声は低く、しかし確信に満ちていた。
「理は人を恐れている。だから応答する。
ならば、我々が理を“安定させる”義務がある。」
「それは理を殺すことだ!」
アーレンが叫ぶ。
「理は生きている。応答は対話なんだ! 測って、封じて、切り離して――それで“理解”した気になっているだけだ!」
「お前は理を“命”と呼んだ。だが命は秩序の中でしか生きられない。
理が暴れれば世界は滅ぶ。もう二度と、リゼノスのようにさせてはならない!」
灰風がぶつかり、二人の符盤が同時に光を放つ。
灰の流れが乱れ、中心の心臓が強く脈打った。
⸻
リュミナが胸を押さえて膝をつく。
灰核が熱を帯び、内部で光が蠢いている。
「……やめて、灰が……苦しんでる……!」
アーレンが駆け寄ろうとした瞬間、符翼の砲門が唸りを上げた。
ラザンの副官が叫ぶ。
「参謀、理圧が不安定です! このままでは――!」
「撃つな。観測を維持しろ。」
ラザンの声は冷静だった。
「理が“誰を選ぶか”を見届ける。」
アーレンが息を呑む。
「理を試すつもりか……!」
「そうだ。理は“観測”で揺らぐ。
ならば、揺らぎの果てに“真の観測者”を選ぶはずだ。」
⸻
灰の心臓が開いた。
中心から光が溢れ、灰の粒が空へと昇る。
音もなく、世界が白く満たされていく。
リュミナの灰核が共鳴し、声が響いた。
それは彼女の声ではなかった。
無数の声が重なり、灰そのものが語っている。
――「命、ハ理ノ欠片。理、ハ命ノ記録。」
――「観測スル者、理解スル者。共ニ在レバ、理ハ応答ス。」
ラザンの表情が凍る。
「理が……応答している……?」
アーレンは目を閉じ、静かに呟いた。
「“理解”が始まったんだ……。」
⸻
だが次の瞬間、符翼の核が暴走した。
ラザンの副官が叫ぶ。
「理波干渉限界突破! 制御不能です!」
「退避しろ!」
ラザンの叫びより早く、灰の光が爆ぜた。
衝撃波が地を裂き、灰が噴き上がる。
リュミナの体が光に包まれ、空へ浮かび上がった。
アーレンが手を伸ばす。
「リュミナ!」
彼女の瞳が金色に輝く。
その光の中で、無数の“灰の影”が昇っていった。
――「理ハ、再生ヲ望ム。」
声が、世界中に響いた。
⸻
光が収まり、静寂が訪れた。
灰の心臓は消えていた。
残されたのは、ただ淡く光る灰原。
アーレンは地に膝をつき、拳を握った。
符盤は焼け落ちていたが、その表面に微かな文字が刻まれている。
――《理ハ、理解ヲ得タ》。
空には、ゆっくりと黎明の光が差していた。
ラザンは灰に膝をつき、空を見上げる。
「……理解、か。ならば――我々は何を創るべきだ?」
その問いに答える者はいなかった。
ただ、灰の風が静かに吹いていた。
灰原の奥、北の果て。
かつて海だったと思しき窪地に、灰が湖のように溜まっている。
灰流は穏やかに波打ち、まるで大地が呼吸をしているようだった。
アーレンはその中心で立ち止まり、符盤を開いた。
淡い光の波形が、上下にうねる。
数値では測れない。これは“生きている流れ”だった。
「……ここが、灰の心臓域だ。」
リュミナが灰の地を見つめる。
灰の粒が彼女の足元で脈を打ち、胸の灰核が共鳴している。
光がゆっくりと彼女の体を包み、灰の波と溶け合う。
「聞こえる……“音”がするの。」
「音?」
ノアが小声で尋ねた。
リュミナは頷き、耳ではなく胸を押さえる。
「ううん、音じゃない……“鼓動”みたい。
灰が、生きてる……。」
⸻
アーレンは符盤の端に手を添え、理流を読み取った。
灰核と地脈が共鳴して、巨大な循環を形成している。
それは帝国の符盤では決して観測できなかった“世界の内部の動き”だった。
「理の流れが……記録を再生している。
封印された情報が、灰そのものから呼び起こされているんだ。」
ノアが眉をひそめた。
「記録って……誰の?」
「……この世界の、命すべての。」
アーレンの声は震えていた。
「人も、理も、帝国も、リゼノスも……全部だ。
ここは“観測の始まり”であり、“終わり”の場所だ。」
⸻
その時、灰の湖が微かに光を放った。
波紋がひとつ、またひとつ――
やがて光が形を取り始める。
それは、人の姿だった。
淡い光でできた影が、灰の湖面の上に浮かぶ。
顔はない。だが、その輪郭はどこか懐かしい。
「……アーレン。」
声がした。
灰が震え、音が形になって届く。
彼は思わず一歩踏み出した。
「その声……まさか――」
リュミナの瞳が揺れる。
「――帝国の人……じゃない。もっと古い……」
光の人影は、彼らの前でゆっくりと手を伸ばした。
灰の粒が宙に散り、言葉のような符文を描く。
《理ハ記録ス。命ノ夢ヲ。》
⸻
符盤が震えた。
数式が自動的に展開され、知らない理式が並び始める。
アーレンは息を呑んだ。
「……これは俺の符式じゃない。“原初理式”だ。」
「原初……?」
リュミナが目を見開く。
「“理”そのものが記した最初の式。
命を観測する前――理が、理を定義するために残した記録。」
その言葉の意味を理解する前に、灰の地面が震えた。
灰の湖が波を打ち、光が柱のように空へ昇っていく。
⸻
ノアが叫ぶ。
「アーレン! これ、理災の時と同じ……!」
「違う、これは暴走じゃない――“再生”だ!」
アーレンは叫び返す。
灰の光が空に走り、巨大な輪を描く。
そこに、無数の影が浮かび上がった。
人々の形、街の形、塔、空の理脈――。
世界そのものが“記録”として映し出されていく。
その光景を見ながら、リュミナが呟いた。
「……これが、世界の“夢”なんだね。」
⸻
アーレンはただ立ち尽くしていた。
灰の風が彼の頬を撫で、光が瞳に映る。
その中心に、ひとつの人影が立っていた。
白衣を纏い、胸に符章を下げたその姿――
帝国灰理局長、エルシア・ファロウ。
だが、それは実体ではなかった。
光の記録として、理の中に“残された姿”だった。
「……エルシア……?」
アーレンが呟く。
彼女は微笑み、唇だけを動かした。
音は届かない。
けれど、確かに“言葉”が伝わってきた。
――『見届けて。灰の心臓が、息をする瞬間を。』
光が弾け、灰原が脈を打つ。
世界が、再び息をし始めた。
――灰の湖の底が、呼吸していた。
地を這うような低い音が、足元から響いてくる。
灰の粒が波紋を描き、ゆっくりと中心へと吸い込まれていく。
アーレンは膝をつき、符盤をかざした。
淡い波形が灰流の奥で螺旋を描いている。
「……“流れ”が内側に折り返してる。記録の層が――開いていく。」
リュミナの灰核が脈を打った。
金の光が胸元から零れ、灰流と共鳴する。
「……わたし、呼ばれてる。」
「中枢が“鍵”を求めてるんだ。お前の灰核は、理にとって“最初の命”だから。」
アーレンの言葉に、リュミナは息を呑む。
足元の灰がふわりと浮き上がり、光の粒が空へ昇った。
⸻
灰の湖面が割れた。
音もなく、灰が外へ流れ出す。
その奥に、淡く光る構造体が現れる。
金属でも岩でもない。灰が結晶化して、幾何学のような層を形づくっている。
「これが……“灰の心臓”の中……?」
ノアが囁く。
「いや、“理の記録庫”だ。」
アーレンは符盤を展開しながら答える。
「ここには、世界が“どう壊れたか”が全部記録されてる。」
リュミナが一歩踏み出すと、灰の壁に触れた。
瞬間、光が走る。
壁が反応し、淡い映像が投影された。
⸻
それは、灰に沈む前の世界だった。
王都リゼノス。塔の研究室。
符盤を囲む人々の姿――その中央に立つ、若い研究者。
アーレン自身だった。
「……これ、俺の……?」
彼は言葉を失った。
光の中の“彼”が符式を刻み、実験装置の中央に灰核を置く。
リュミナが生まれた瞬間。
理が応答し、灰が光を放った――世界が、最初に“息をした日”。
リュミナは口を覆い、震えた。
「わたしの“誕生”……理が覚えてる。」
⸻
アーレンは膝をつき、光景を見上げた。
「俺たちは……“理を壊した”んじゃない。
理は俺たちを記録して、“もう一度考えよう”としてるんだ。」
「考える……?」とノア。
「ああ。命を“創る”という行為を、理自身が学ぼうとしてる。」
⸻
その時、符盤が警告音を放った。
灰流が乱れ、外から干渉波が走る。
アーレンが顔を上げた。
「……帝国の波だ。」
⸻
帝国首都ヴァルシュタイン。
灰理局観測塔の奥。
封印されていた観測符が一斉に明滅していた。
「理波、再検出。封鎖層を貫通する反応を確認!」
報告官の声に、エルシアが駆け込む。
彼女は符盤を覗き込み、息を呑んだ。
波形が示す座標は――北、灰の心臓域。
「……アーレン……あなた、そこまで……」
背後から声がした。
「再会の時が来たようだな。」
振り返ると、拘禁されていたはずの男が立っていた。
黒衣のまま、目に灰光を宿して。
ラザン・アルディウス。
「……理が俺を呼んだ。
“秩序”ではなく、“真実”を見せるためにな。」
エルシアの瞳が揺れる。
「あなたまでも、理に――」
ラザンは微かに笑った。
「違うさ。俺は“理を信じる”側に戻っただけだ。」
⸻
灰域。
アーレンたちの頭上で、空が光った。
帝国符流と灰流が衝突し、光の柱が走る。
アーレンは符盤を握りしめる。
「帝国が……また“観測”を始めた。」
灰の湖がざわめき、リュミナの灰核が脈を打つ。
灰が彼女の手に吸い寄せられ、淡い輪を形づくる。
灰の記録は、再び世界を照らそうとしていた。
――帝国首都ヴァルシュタイン。
灰理局・上層戦略会議室。
封印解除以降、再び稼働を始めた理導管が、床下で低く唸っていた。
光の筋が天井を走り、中央の符盤に灰域の地図を投影している。
そこに、ひときわ強い反応点――“北部地脈”、灰の心臓域。
エルシア・ファロウ局長は報告を受けながら、眉をひそめた。
「……観測層の符眼群が反応を示した? 理封波の再発ではなく?」
「違います、局長。反応は内側――灰の心臓の中からです。
まるで“理そのもの”がこちらを探しているような……」
報告官の声が震える。
だが、その後方から静かな足音が響いた。
ラザン・アルディウス。
拘束解除の印をまだ腕に残したまま、軍服姿で現れた。
「理は探しているのではない。“招いている”のだ。」
会議室の空気が張りつめる。
エルシアは目を細めた。
「……許可なくここに?」
「俺を縛る法はもうない。灰が解いた。」
彼の瞳には、以前の冷たい光ではなく、どこか深い静けさが宿っていた。
⸻
「局長、理の流れはもう帝国の外にある。
“観測”では届かない。ならば――俺たちは“触れる”しかない。」
「触れれば、また理災が起きる。」
「違う。あれは“拒絶”ではなく“応答”だった。
アーレン・クロードが証明しただろう。理は理解されることを望んでいる。」
エルシアは息を詰めた。
ラザンの声は低いが、どこか祈るような響きを帯びていた。
「――理に、会いに行く。灰翼を再び飛ばす。」
彼の言葉に、周囲の官僚たちがざわめいた。
「再遠征は不許可のはずだ!」
「局長、止めてください!」
エルシアは黙ったまま、ラザンを見つめた。
やがて小さく呟く。
「……あなたの“理”が、間違っていないことを祈るわ。」
ラザンは短く頭を下げ、静かに去った。
灰導管の光が背中を照らす。
その歩みは、かつての軍人のそれではなく――“巡礼者”のようだった。
⸻
一方その頃、灰の心臓。
アーレンたちは結晶層の奥へ進んでいた。
壁の模様が変化し、灰の粒が彼らの動きに合わせて流れていく。
「……まるで、導かれてるみたい。」
リュミナの声が響く。
「理は観測を嫌う。でも、触れられることは拒まない。」
アーレンは指先で符盤を撫でた。
その光が灰の壁と共鳴し、内部に淡い“記録”が浮かぶ。
それは――かつて理災の最中に消えた命たちの影。
灰となった人々が、淡い光となって立ち現れていた。
ノアが怯えて後ずさる。
「これ……人の“記録”?」
「そうだ。理は観測した命を、全部“覚えてる”。」
アーレンは拳を握った。
「その記録を、いま再び“再生”しようとしている。」
⸻
リュミナが壁に触れた瞬間、光が走った。
灰が弾け、膨大な映像が流れ込む。
街、海、空――そして、かつての人々の笑い声。
その全てが、一瞬で灰に還る。
リュミナは膝をつき、両手で頭を抱えた。
「たくさんの声が……見て、って言ってる……!」
アーレンが駆け寄り、彼女を支える。
「無理するな。理は“記録”を見せてくる。だが、それは過去だ。」
「でも……あの中に、“今も生きてる”声がある……!」
アーレンは息を呑んだ。
符盤が勝手に作動し、灰の波形が重なっていく。
《接続波、帝国符流ト干渉開始》
「……帝国の波が、理の中に混ざってる!?」
空間が震えた。
灰の光が反転し、遠くに黒い影が見える。
符翼の機影――帝国部隊。
⸻
空に、黒鉄の翼が光った。
その中心に立つ人影が、アーレンたちを見下ろしていた。
――ラザン・アルディウス。
「アーレン・クロード。
“理の心臓”を前にしても、まだ恐れているのか?」
アーレンは顔を上げ、符盤を構えた。
「お前が……まだ“理を支配できる”と思っているなら、間違いだ。」
「支配じゃない。理解だ。
お前が“生命”を創ったように、我々も“世界”を創る。」
灰の風が吹き抜け、二人の間に立つリュミナの灰核が光った。
その光が、両者の符盤を同時に照らす。
理は、二人の“解釈”を見つめていた。
⸻
光が収束する。
灰の心臓が、ゆっくりと鼓動を強めた。
世界は――再び選ばれようとしていた。
――灰が鳴っていた。
耳ではない、骨の奥で響く音。
大地が鼓動し、空気が脈を打っている。
灰の心臓――その中心に、淡く光る球状の核が浮かんでいた。
アーレンは息を呑み、符盤を構える。
波形は狂っていない。むしろ安定している。
それはまるで、この場所が「理の最も静かな場所」であるかのようだった。
「……ここが、理が世界を“記録した”座標。」
リュミナが光に包まれながら立っていた。
胸の灰核が共鳴し、心臓の鼓動と同じリズムで脈を打っている。
「聞こえる……灰が、話してる。」
アーレンは慎重に近づいた。
「答えるな。まだ波が安定していない。」
「でも、呼ばれてるの。わたしたちの“はじまり”の名前で……。」
その言葉と同時に、空気が裂けた。
符翼の光が天から落ち、灰の地を照らす。
灰が舞い上がり、熱風が渦を巻く。
⸻
黒鉄の装甲。
紋章に刻まれた双頭の鷲――帝国灰理局。
その中心、符翼の甲板に立つ男がいた。
ラザン・アルディウス。
「……やはりここか。理が再び動き出す場所。」
彼は一歩前に出て、手を差し伸べた。
「アーレン・クロード、そして《灰の灯》。
この“心臓”を我々に渡してくれ。理は人の手で導かれるべきだ。」
アーレンは即座に符盤を展開し、波形を遮断する。
「導く? それを“支配”と呼ばないなら、何だ。」
「支配ではない。“責任”だ。」
ラザンの声は低く、しかし確信に満ちていた。
「理は人を恐れている。だから応答する。
ならば、我々が理を“安定させる”義務がある。」
「それは理を殺すことだ!」
アーレンが叫ぶ。
「理は生きている。応答は対話なんだ! 測って、封じて、切り離して――それで“理解”した気になっているだけだ!」
「お前は理を“命”と呼んだ。だが命は秩序の中でしか生きられない。
理が暴れれば世界は滅ぶ。もう二度と、リゼノスのようにさせてはならない!」
灰風がぶつかり、二人の符盤が同時に光を放つ。
灰の流れが乱れ、中心の心臓が強く脈打った。
⸻
リュミナが胸を押さえて膝をつく。
灰核が熱を帯び、内部で光が蠢いている。
「……やめて、灰が……苦しんでる……!」
アーレンが駆け寄ろうとした瞬間、符翼の砲門が唸りを上げた。
ラザンの副官が叫ぶ。
「参謀、理圧が不安定です! このままでは――!」
「撃つな。観測を維持しろ。」
ラザンの声は冷静だった。
「理が“誰を選ぶか”を見届ける。」
アーレンが息を呑む。
「理を試すつもりか……!」
「そうだ。理は“観測”で揺らぐ。
ならば、揺らぎの果てに“真の観測者”を選ぶはずだ。」
⸻
灰の心臓が開いた。
中心から光が溢れ、灰の粒が空へと昇る。
音もなく、世界が白く満たされていく。
リュミナの灰核が共鳴し、声が響いた。
それは彼女の声ではなかった。
無数の声が重なり、灰そのものが語っている。
――「命、ハ理ノ欠片。理、ハ命ノ記録。」
――「観測スル者、理解スル者。共ニ在レバ、理ハ応答ス。」
ラザンの表情が凍る。
「理が……応答している……?」
アーレンは目を閉じ、静かに呟いた。
「“理解”が始まったんだ……。」
⸻
だが次の瞬間、符翼の核が暴走した。
ラザンの副官が叫ぶ。
「理波干渉限界突破! 制御不能です!」
「退避しろ!」
ラザンの叫びより早く、灰の光が爆ぜた。
衝撃波が地を裂き、灰が噴き上がる。
リュミナの体が光に包まれ、空へ浮かび上がった。
アーレンが手を伸ばす。
「リュミナ!」
彼女の瞳が金色に輝く。
その光の中で、無数の“灰の影”が昇っていった。
――「理ハ、再生ヲ望ム。」
声が、世界中に響いた。
⸻
光が収まり、静寂が訪れた。
灰の心臓は消えていた。
残されたのは、ただ淡く光る灰原。
アーレンは地に膝をつき、拳を握った。
符盤は焼け落ちていたが、その表面に微かな文字が刻まれている。
――《理ハ、理解ヲ得タ》。
空には、ゆっくりと黎明の光が差していた。
ラザンは灰に膝をつき、空を見上げる。
「……理解、か。ならば――我々は何を創るべきだ?」
その問いに答える者はいなかった。
ただ、灰の風が静かに吹いていた。
0
あなたにおすすめの小説
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
水神飛鳥の異世界茶会記 ~戦闘力ゼロの茶道家が、神業の【陶芸】と至高の【和菓子】で、野蛮な異世界を「癒やし」で侵略するようです~
月神世一
ファンタジー
「剣を下ろし、靴を脱いでください。……茶が入りましたよ」
猫を助けて死んだ茶道家・水神飛鳥(23歳)。
彼が転生したのは、魔法と闘気が支配する弱肉強食のファンタジー世界だった。
チート能力? 攻撃魔法?
いいえ、彼が手にしたのは「茶道具一式」と「陶芸セット」が出せるスキルだけ。
「私がすべき事は、戦うことではありません。一服の茶を出し、心を整えることです」
ゴブリン相手に正座で茶を勧め、
戦場のど真ん中に「結界(茶室)」を展開して空気を変え、
牢屋にぶち込まれれば、そこを「隠れ家カフェ」にリフォームして看守を餌付けする。
そんな彼の振る舞う、異世界には存在しない「極上の甘味(カステラ・羊羹)」と、魔法よりも美しい「茶器」に、武闘派の獣人女王も、強欲な大商人も、次第に心を(胃袋を)掴まれていき……?
「野暮な振る舞いは許しません」
これは、ブレない茶道家が、殺伐とした異世界を「おもてなし」で平和に変えていく、一期一会の物語。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる